車を購入する時は、少しでも安く買いたいのが人情です。贅沢なメーカーオプションを少しでも省いて、市販の製品で済まそうとする気持ちは理解できます。
私も以前、ワンボックスカーの購入を検討した時、カーナビのオプション価格が高いのに驚いたことがあります。
その時はディーラーの担当者に、「純正のカーナビでないと綺麗に取り付かないですよ」と言われ、しぶしぶオプションに加えた経験があります。
本当に純正品でないとすっきり収まらないのでしょうか?結構値段に差があるので、はっきりさせておきたいです。せっかく新しく買った車やカーナビなのに見た目が大事ですから。

非純正品では見た目が綺麗に付けられない
非純正品は、どのメーカーの車にも付けられる様に、世界的なカーナビの標準とされる規格(DIN規格)に合わせて作られています。日本での主流は横幅180㎜(2DIN規格)が標準サイズです。
しかしメーカーの純正品は、その車固有の内装形状やデザインに応じてサイズが決まります。そのためDIN規格に必ずしも一致していません。縦横の長さだけでなく、厚みや取り付ネジの位置も違っていたりします。現在はコンソール(カーナビ取り付けボックス)一体型の幅200㎜の純正品が多くなってきています。
<画像:コンソール一体型純正カーナビ装着図>
そのため、非純正品を後から取り付けた場合、カーナビの厚みによって、飛び出したり沈んでしまいます。また、サイズがピッタリではないので、隙間が目立つこともあります。
次の写真はホンダN-BOXの純正品(写真上)と、非純正品を後付けした例(写真下)です。コンソールと同一のカラーの純正品と無関係なカラーの非純正品の印象の比較ができます。やはり統一感は欠けますね。
<出典画像:『純正カーナビ装着図』https://www.okigaru-migaru.net/entry/n-box-test-drive>
<出典画像:『非純正カーナビ装着図』https://ameblo.jp/dreams600/entry-12308246555.html>
見た目とは関係ありませんが、保証期間の点でも純正品の方が有利です。純正品が3年(または5万キロ走行)、非純正品が1年というのが一般的です。
純正品の利点
ステアリングリモコン対応
私の車にもついています。ハンドルの左側、時計で言えば9時の位置にあります。ハンドル操作の邪魔になりません。カーナビのオーディオのチャンネルと音量を操作するリモコンスイッチです。
一人で運転している時、音量を上げたり下げたり、ラジオの放送局を変えたり便利です。カーナビのパネルやボタンを操作するのに比べて、視線が正面から離れないので安全性は高くなります。
ハンドルとすっきり一体になっているので、違和感がなく運転の邪魔になりません。
<画像:プリウスの純正ステアリングリモコン>
内部の配線も専用の部品を使うので綺麗
メーカー専用の配線や中継端子を使って整理されているので、目に見えない部分ですが、安心感があります。カーナビの配線だけでも家電に弱い素人から見ると結構複雑です。
以前に、スズキワゴンRの純正のカーナビを盗難されかかったことがあります。カーナビを狙ったようでしたが、機材を引き抜いたままの状態を朝方発見しました。プロの仕業ではないようでしたが、面倒臭くなって諦めたような印象でした。
<画像:カーナビをコンソールから引き出した様子>
純正品の欠点
DIN規格外で使いまわしできない
DIN規格とはドイツの工業規格で、カーナビのサイズを表わす規格として世界的に使われています。
1DIN は幅180mm、高さ50mmで奥行きの規定はありません。このサイズはドイツのカーラジオのサイズを基準にしています。2DINは幅180mm、高さ100mmです。
トヨタ、ダイハツ、日産など、現在の純正のカーナビは、幅200mmの「ワイドコンソール一体型」と呼ばれるカーナビ装着用ボックスと一体になった製品が主流になってきました。市販の2DINの製品とは20㎜の差があります。
車を買い替え た時など、純正品のコンソール一体型のカーナビを、他の車に使いまわししようとしても装着できません。逆に言えば、汎用性がないので盗難に遭いにくいというも言えます。
価格が高い割には機能的に劣る
市販のカーナビは機種の開発スピードが速く、最新の機能が速いサイクルで搭載されています。それに比べると純正品の方は、最新機能が採用されるのが、モデルチェンジやマイナーチェンジなどの折になってしまうので遅れてしまいます。
市販のものより価格が高い割には、最先端から遅れた印象を受けてしまいます。カー用品専門店などの店頭でデモしている機種などと、自分の純正品を比べると古臭く感じます。
非純正の利点
最新型ナビを選べる
一般の電化製品と同じで、季節毎に新機能を搭載した新製品が出ます。店舗にあるのは常に最新の機能を持った製品に置き換わっています。
そういった製品をいつでも自由に選べるわけですから、純正品にはない大きな魅力があります。
メーカーの純正品は、特にコンソール一体型のものは、開発費や製造の手間もかかっているので価格面で割高になります。
豪華なケースに入ったパソコンでも、時間が経てば中身は直ぐに古くなってしまうのと同じです。見た目は綺麗にコンソールに収まったカーナビでも、中身の機能は直ぐに古いものになっていきます。
価格が安い
純正品と非純正品の価格の比較は単純にはできません。メーカーのオプションなので、値引き交渉の対象に利用されたりする関係で正確な数字に表れにくいからです。
それでもディーラーの資料に載っている価格だけを見ると、同等の市販の製品よりかなり高めの設定になっています。非純正品を後付けする場合、取り付け工賃を含めても純正品よりは安く抑えられるのは間違いないでしょう。
同じ価格帯なら性能は上
市販のカーナビは競争市場の中にあるので、商品の開発スピード、流通スピードが速いです。
それに比べて、車メーカーの壁の中で独占状態の純正カーナビは、黙っていても需要が約束されているわけですから、価格競争、機能競争の一歩外にいられます。
また、頻繁にカーナビの機種を入れ替えるのは、車の生産効率も落ち、現実的ではありません。ある程度、つまりモデルチェンジなどの、一定の期間を置いて入れ替えることになります。
純正のカーナビはコンソール一体型など、本体の機能的な中身よりも、車との内装的な関係に重点が置かれます。機能や価格だけで勝負できる市販のカーナビと、内装の一部であることや、製造ラインの制約を持っている純正のカーナビとの役割の違いでもあります。
非純正品の欠点
製品の中だけでこじんまりとまとまっている
色々な車に付けられるように、市販のカーナビ(非純正品)は長方形の形の中に、ボタンやスイッチなど全てのパーツが配置されています。
<画像:2018人気の市販カーナビ>
そのためほとんどの非純正品は同じようなデザインにならざるを得ません。形のデザインよりも中身の機能性で勝負するしかありません。
純正品のように、カーナビが納まるボックス(コンソール)の周囲を利用したオシャレなデザインを利用できません。
<画像:プリウスコンソル一体型カーナビ>
後付けのステアリングリモコンは見た目はダサい
後から付けられるステアリングリモコンも市販されています。カーナビと同様に、どの車のハンドルにも装着できるように没個性的なデザインになっています。
またハンドルの中に埋め込むことが出来ないので、ハンドル内側に装着しますが、ハンドル操作の邪魔になります。
<画像:後付けステアリングリモコンの例1>
あるいはハンドルのクラクションの周囲に装着した場合は、リモコンが盛り上がっているので、握りの邪魔にはなりませんが、見た目は美しくはありません。
<画像:後付けステアリングリモコンの例2>
作業する人の意識と腕次第
カーナビには本体の他に、取り付け金具、配線機材などが付いています。
<画像:古いカーナビを取り外した様子>
一部のカー用品店などで、作業時間に制約されて、雑な配線や機材の取り扱いをすることがあると聞きます。
カーナビの奥のスペースは、コンピューター制御の精密機器が集まている部分で、正しくアースなどを配線しないと故障の原因にもなります。
取り付けた後は外からは見えなくなるので、適当な作業をされてしまっても分かりません。作業員の意識と技術力にかかっています。
取り付け工賃が必要
カーオーディオ専門店に頼むと、カーナビ本体の料金の他に工賃がかかります。
ショップ | 工賃 | 作業時間 |
---|---|---|
オートバックス | ¥15,000~ | 2時間 |
〃(ポータブル) | ¥3,000 | 30分 |
イエローハット | ¥20,000~ | 2時間 |
(2018年12月現在、価格は税抜き)
オートバックスの場合、取り付けが簡単で本体を着脱できるポータブルタイプの場合の工賃は上記のようになっています。
ボタンが操作しにくい位置になる場合も
カー用品専門店などで自由に好きな機種を選べますが、運転席からの操作がやりづらくなる場合があります。
純正のカーナビは車の内装を考えたデザインや、運転する人の動きを考慮した操作パネルの配置になっています。汎用品の市販の製品は購入前に、運転席から操作した場合も想定して選ぶ必要があります。