バック駐車が苦手で、いつも前向き駐車をしている人だけでなく、駐車場の指定でやむを得ず前向き駐車をしなければならない場合があります。

中には通路のスペースが狭い駐車場があります。隣に駐車している車がない場合は問題ありませんが、両隣に車がある時には緊張します。

前向きで入る時と出る時に、車の外側前部の角を隣の車にぶつけないように神経を集中します。

狭い駐車場では1回で入りきらないので、何回か切り返して入ります。出る時も同様に1回で出られないので何回も切り返します。

つまり、狭い駐車場で前向き駐車するためには、切り返しが必須になるわけです。切り返しのテクニックをどのように活用すれば、パニックにならずに安全に前向きに入ったり出たり出来るのか、そのコツを考えてみます。

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切り返しの特性を知る

切り返しの再確認

切り返しで行っていることは、車を横に移動させること(この動作を幅寄せと呼びます)です。止まったままでは横に動かないので、前進や後退をしながら横に移動させます。前進でも後退でも切り返しの要領は同じです。

  1. (前進/後退しながら)車を移動させたい方に傾ける。
  2. (前進/後退しながら)車の向きを元に戻す。

<出典動画:『タブレット教材 幅寄せ左』YouTube>

 

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たったこれだけのことです。車を傾ける角度が大きい程、横に移動する距離が大きくなります。少しだけ移動する時は小さく傾け、大きく移動したい時は大きく傾けます。

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「切り返し」とは、車の進退が行き詰まった時に、横に移動(幅寄せ)して、その状況から抜け出すことです。

狭い通路の駐車場で前向き駐車をしている時に、スペースが足りなくて、1回で入ったり出たり出来ない場合にも切り返しが必要になります。

幅寄せの問題点

車が曲がる時には内輪差と外輪差が生じます。内輪差とは曲がる時の内側の前輪と後輪の軌道の差で、外輪差とは曲がる時の外側の前輪と後輪の軌道の差です。

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内輪差も外輪差も、どちらも前輪が後輪より外側の円軌道を通ります。前進する時も後退する時も生じます。

幅寄せする時の内輪差と外輪差の問題点を考えてみます。幅寄せする過程で、周囲の車や障害物との接触の危険性です。

左に前進する時で見ると、左後部の接触と左前部の接触の可能性が生じます。先ず左に車を傾けて進む時の内輪差で左後部が接触する可能性があります。そして傾けた車体を元に戻す時に左前部を接触させる可能性があります。

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前進時の幅寄せの前半で内輪差が、後半で外輪差が生じています。幅寄せは逆方向の円軌道がつながった動作なので、内輪差と外輪差が生まれるのです。

以上の点を踏まえて、狭い駐車場での前向き駐車で入る時と出る時のコツを考えてみます。

狭い駐車場に前向きに入る時のコツ

前提条件としては、

  • 1回で入れない狭い通路であること。
  • 駐車したいスペースの両隣には車が停まっていること。

になります。

狭い通路から前向き駐車する状況での問題は以下の2点です。

  • 内輪差のために手前の車に車体後部が接触する。
  • 外輪差のために向こう側の車に車体前部が接触する。

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このままでは入れないので、後退しながら切り返すのですが、この時の車の位置によっては、後退時の外輪差によって、隣の車に接触する危険性があります。上図で言えば、右側前部が接触する可能性が生じます。

切り返すための後退時の外輪差を考えて、最初に車を傾ける位置が重要になってきます。上図の場合、向かって左隣りの車の側に近づけて傾けるようにします。

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ここから、後退と前進を繰り返しながら切り返して(車を左側に幅寄せして)、車の角度を立てていきます。

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簡単に描いていますが、1回の後退しながらの幅寄せをもう少し詳細に図式化すれば、下図のような幅寄せの動作(車体を傾け、元に戻す)をしています。

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狭い駐車場から前向きで出る時のコツ

出る時も1回で抜け出せるスペースはありません。外輪差で接触しないように、理想的には駐車スペースから車体を完全に出し切ってから回転したいところです。

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狭くて、車を出し切ったら後退するスぺ―スがない場合もあります。その時には、曲がる方と反対側の、外輪差で接触する危険性のある方のスペースを、前後に動きながら幅寄せして空けます。その後出来る限り駐車スペースの外に後退してから回転します。

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それでも1回では出来れないので、再度前進しながら幅寄せして外輪差の分のスペースを空け、また後退しながら回転するという動作を繰り返します。

出る時は、内輪差で接触する状況はないので、外輪差による接触だけ注意して、スペースを確保してから後退しながら回転するようにします。