バック駐車(直角駐車)を理論的に解説したものは少ないです。
「駐車中の車から1mぐらい空けて」とか、
「2台隣の車が助手席に来たら」など、
感覚的に説明したものが多いです。


でもどうしてそうなるのか知りたくなります。
理屈が分かれば自分の車に合わせて、
もっと正確な駐車開始地点の位置関係が出せるはずです。

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最小回転半径とボディ最小回転半径

バック(直角駐車)を考えるためには、
最小回転半径とボディ最小回転半径のことを、
正確に理解しておく必要があります。


最小回転半径とはハンドルを限界まで切って、
低速で運転した時に描かれる、
外側前輪の中心線の円の半径のことです。


ボディ最小回転半径とは、
車体前部のバンパーの外側先端が作る円です。
当然最小回転半径より大きな円になります。


そしてこれらの円の中心は、
左右の後輪を結んだ直線の延長線上になります。
前輪でなく後輪というのが意外なポイントです。

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駐車場と円の関係

バック(直角駐車)を具体的な数字で考察するために、
具体的な車種を決めて進めた方が良いので、
トヨタのアクア(Stype)のデータを参考にします。
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(出典:https://toyota.jp/aqua/grade/s/)

アクアの主な車体サイズデータは、
全長4050㎜(簡略化して4m)
全幅1695㎜(簡略化して1.7m)
全高1455㎜(簡略化して1.5m)
前輪左右間隔1470㎜(簡略化して1.5m)
(後輪左右間隔1460㎜)
ホイールベース2550㎜(簡略化して2.6m)
最小回転半径4.8m
ボディ最小回転半径5.3m

これらのデータから駐車場と円の関係を見ていきます。
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前輪の外側中心は4.8mの半径の円、
車体前部の外側バンパーの端は5.3mの円を回転します。
車体内側(助手席側)の側面は3.2mの円を移動します。


3.2mの円がこの後のバック駐車(直角駐車)を考える基準になります。

バック駐車の円

概略ですがCADを使って作図してみました。
白い枠は駐車スペースで2mX5mにしています。
隣の車の先端が駐車スペース前面の境界線上にあるという設定です。


3.2mの円上で車の側面がバックしてくると、
隣の車の右前方バンパーとは20cmm余裕で通過します。


駐車する車のスタート地点では、
駐車スペース前面の境界線(駐車中の車の先端)から、
1.5mの空間をあけています。


またボディ最小回転半径(5.3m)より20㎝余裕を考慮して、
3.8mの道路幅があればバック駐車(直角駐車)できます。

理論を実践する場合の目安

実際の駐車場では測量できませんので、
運転席から見た目安を探します。


今回の数字を元にすると、
トヨタアクアの場合になりますが、
駐車場の前面境界線ライン(駐車中の車の先端)から1.5m空けて進入し、
助手席の窓に2台目駐車スペースの奥の境界線が見えたら、
ハンドルを一杯に切ってそのままバックすると良いでしょう。


アクアより小さい車なら円が小さくなるので、
1.5mより狭く進入し2台目の奥の境界線より、
手前の位置が助手席に見えた位置からのスタートになります。


アクアより大きい車の場合は円が大きくなるので、
1.5mより空けて進入し2台目の奥の境界線より、
先の地点からスタートです。


次の動画のバック駐車(直角駐車)の場合では、
駐車中の車との距離は正確には分かりませんが、
2台目の車の中央が助手席の窓の来た地点からスタートしています。


今回考察したより手前からスタートしています。
そのせいか奥の壁際に近づき過ぎているように見えます。



(出典:『一発で駐車を成功させる「運転の神様」』by YouTube)





前向き駐車でも同じ道路幅が必要

CAD図を見ても分かりますが、
車は前進でもバックでも同じ円周上を回転します。


水平方向のスタート地点はバック駐車(直角駐車)と変わってきますが、
必要な道路幅は同じです。


隣の車(障害物)と道路の向こう側の壁(障害物)との余裕を、
20㎝とった条件で前向き駐車でも3.8m以上の道路幅が必要です。