普通は40度から60度ぐらいの間の角度に車を傾けて、そのまま入るか一度切り返して、バック駐車を行っていると思います。

駐車場によっては、通路も駐車スペース自体も狭くて、いつものようなバック駐車が出来ない場所があります。私が経験したのは、繁華街の小さなコインパーキングや、古びた私立病院、混雑する税務署の駐車場です。隣に大きな車も駐車してあって、停めるのも車から降りるのも一苦労でした。

狭くて大きな角度が付けられない場所では、バック駐車をどうすれば良いでしょうか?勿論、前向き駐車など更に狭くて出来ません。

バック駐車するしかないのですが、直角バック(直角駐車)をする方法と、小さな角度で入って、何度か切り返しを繰り返す方法が考えられます。

今回は、ワンボックスカーのトヨタヴォクシー(Voxy)を例に検証してみたいと思います。このサイズの車が入れば、ほとんどの普通車は入るでしょう。
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ヴォクシーを一回の直角バックで駐車させるための条件

先ず、ヴォクシーを直角バック一回で駐車するための条件を検討してみます。ヴォクシーの車体サイズはグレードによって多少バラツキがありますが、以下の概算寸法で考えてみました。
* 全長 4.7m
* 全幅 1.7m
* ホイールベース 2.85m
* 最小回転半径 5.5m
ホイールベースとは、前輪と後輪の間隔です。最小回転半径とは、ハンドルを一杯に切って、回転した時に、外側前輪の描く円の半径です。
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最小回転半径の描く円の中心点は、後輪の車軸の延長線にあります。車はこの最小回転半径の円の軌道より小さく回転することは出来ません。

直角バックで一回で駐車するためには、この最小回転半径に必要な回転スペースが必要になります。それでは、そのスペースはどの位が必要なのか見てみましょう。最小回転半径で回転する90度の範囲に、駐車場の通路(あるいは車庫前の道路など)、駐車スペース(車庫)が収めれば良いわけです。

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駐車スペースの標準的なサイズは、幅2.5m、奥行き5mから6mです。しかし、狭い駐車場の駐車スペースは、通路が狭いだけでなく、幅も奥行きが標準より狭いことが多いです。今回は条件を厳しくして、駐車スペースの幅を2m、奥行きを5mで考えてみます。

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分かったことは、通路の幅(道路の幅)は5.12m以上必要になります。車のフロント外側は、最小回転半径より大きな円を描きます。

駐車スペース(2mx5m)の入り口のラインより、車体側面を2.14m離して、後輪を駐車スペース1つ置いたところの中央付近から直角バックすれば、一回で駐車することも分かります。

しかし、通路の幅(または車庫前の道路の幅)が5m以上あるなら、最早狭い駐車場(車庫)とは言えないわけで、一回の直角バックで駐車することは、狭い駐車場で行うには有効な方法ではないことが分かります。

ヴォクシーを直角バックと複数の切り返しで駐車させる方法

それでは、直角バックと複数の切り返しを併用した方法を検討してみます。途中まで直角バックで回転して、途中で切り返しを何度か行って駐車します。通路幅(道路幅)がどの位少なくて済むのか検証します。

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直角バックを開始して、45度に傾け駐車スペースに内側後輪が入ったあたりで限界が来ています。このまま回転すると左隣の車に衝突します。

ここから切り返しをして、車の傾きを大きく立て直していけば、駐車は可能になります。その条件として、3.6m以上の通路幅(道路幅)が必要なことが分かります。また、一回で直角バックする場合より、駐車スペース入り口ラインから0.62mに車体側面を近づけ、開始位置も駐車スペース寄り(車の後輪を手前の駐車スペースの端辺り)に近づける必要があることも分かります。

また同時に分かるのは、左方向から通路を前進して来て、左側に車を傾ける場合、この条件ではここまで車を傾けられないことです。前進してきた場合、周りが空車でない限り、駐車スペースに入り込むことが出来ないからです。通路を左側から前進して同じ45度の位置にするには、通路幅(道路幅)が5.3m以上必要です。
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幅3.6m以内では直下バックで車を傾けるのが最も効率の良い方法だということです。

ヴォクシーの場合、通路幅(道路幅)が3.6m以上あれば、角度0の直角バックで45度まで車を傾けられます。これは、駐車スペースが2mx5mの条件ですが、2mの入り口幅が広くなる程、もっと狭い通路幅(道路幅)でも可能になってきます。

狭い場所でのバック駐車の考え方(まとめ)

狭い駐車場でのバック駐車の場合、通路を前進して車が傾けられる余裕があるならば、角度が小さくても、そのまま傾ければ良いですが、もっと狭くて傾けられない場合には、直角バックで駐車スペースに車の後部を少し入れて、45度付近まで傾ける方法を取ります。

直角バックは、
* 駐車スペースの入り口ラインからの間隔をどうすべきか難しい。
* 駐車したいスペースからどの位離れて回転すれば良いか分かり憎い。
この2つのポイントを、その場で判断するのが困難です。毎回同じ駐車場(車庫)を利用する場合は、適切な位置を割り出すのは可能ですが、そうでない駐車場では正確な位置は直ぐに出せません。何度か繰り返して割り出す必要があります。

狭くて普通のバック駐車がとても出来ないと判断した場合のみ、角度をつけないで直角バックで45度ぐらいまで入り込み、後は切り返して入る様にするのが良いと思います。