「この車、座席が低くてサイドミラーの白線も見にくいし、車の鼻先がどこまであるか分かりづらい。いつもの車と違うとバック駐車がやりにくい」

他人の車や、車検の時の代車を運転する時など、アクセルペダルやハンドルまでの距離が合わなかったり、サイドミラーやルームミラーの角度がずれていたりすることは良く経験します。

私は、他人の車を運転する時に、座席の位置などが合わなくても、いちいち調節することはしませんでした。そうすることが、運転が上手な(と思われたい)人の態度だと思い込んでいたからです。不利な状況を道具に頼るのでなく、自分の技術でカバーする、と格好つけていたのです。

思えば、これまでドライビングポジションなどセットしたことは一度もありませんでした。家族の誰かが調節したままの状態で運転していたのです。せいぜいルームミラーの角度を変えたりするだけでした。

しかし、今まで知らなかったドライビングポジションのセットの方法が分かると、何十年も損していたと思いました。安全性が向上するだけでなく、疲労や腰痛なども軽減するように思います。

どんな車でも共通したセット方法なので、買い替えた時や、今の車で運転しづらいと感じていたら、直ぐに試して欲しいです。運転席の高さを調節するだけでも、バック駐車が上達します。

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シートバック(座席の背)にもたれかかるのか?

よく若い男の人で、座席の背(シートバック)に寝そべるようにして運転している人がいます。そういう人の車の運転席に座ると、アクセルやブレーキのペダルが遠すぎて届かなかったりします。

そのまま運転したら、いざという時ペダルを踏み損ねたり、車の前方が見えなかったり危険です。それだけでなく、ハンドルに近づこうとするとシートバックから離れるので、腰や背中が疲れます。

背中やお尻の後ろに隙間ができないように、シートバックにもたれて体重を預けると、疲労が少なくなるだけでなく、ハンドルへもしっかり力が伝わり操作がふらつきません。カーブでも遠心力で外側に身体を振られないようにしてくれます。万が一の衝突事故の時にも、シートバックに背中が密着していた方が衝撃を吸収します。

ですから、シートバックには常にもたれかかって(密着して)いなければなりません。

シートバックにもたれかかる最適な角度は?

<出典画像:『シートバックの角度調節』https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1471/_27777.html

ハンドルやペダルを操作する必要がなければ、寝そべっている方が楽ですが、運転をしながらでは首や腰が疲れます。

ハンドルに手をかけた姿勢でも、疲れない最適な角度があります。

その角度の見つけ方は、シートバックを一度前に倒して前かがみになります。その姿勢から少しずつシートバックを起こして行き、お腹や背中に力が入らない最も楽な位置を見つけます。その位置が最適な角度です。

シート(座席)の前後の最適な位置は?

<出典画像:『シートの前後の位置調節』https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1471/_27777.html

シートの前後の位置は、ペダルから遠くても不安定だし、近すぎても窮屈です。足の長さで決まるのでしょうか?

シート(座席)を一番前にずらしてから、右足はアクセルペダル、左足はフットレスト(足休め)ペダルに置きます。

この窮屈な位置から、シートを少しずつ後ろへずらしていきます。

両足(両ひざ)の緊張感が取れて、最も楽な位置でシートを固定します。アクセルペダルが奥まで楽に踏み込めること、フットペダルでしっかり踏ん張れることを確認します。この位置がシートの前後の最適な位置です。この位置が適切でないと、衝突時に足の骨折の確立が高くなるそうです。

シートの前後の位置が適切でないと、アクセルとブレーキを踏み間違えたり、衝突時に踏ん張って上体を支えられなかったりします。

シートの座面の最適な高さは?

シートの座面が低いと、車の横や前の方が見えにくいので、接触事故を起こしやすくなります。

<出典画像:『座面の高さと視界の違い』https://www.fiat-auto.co.jp/ciao/driving_posture_suv/

私はこれまでシートの座面を調節したことはありませんでした。セダンやスポーツタイプ、コンパクトカーは、座面がもともと低いのだから、周囲が見えにくくて当然と思い込んでいました。

どのタイプの車であっても、限界はありますが、座面は高く設定する方が良いということを知りました。それだけ、周囲への視界が広がるからです。こんな当然のことも深く考えたことがありませんでした。

<出典画像:『座面の高さ調節』https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1471/_27777.html

調節の目安としては、シートバックに背中をつけたまま背伸びをしないで、車の先端から6~8メートルの位置が見えるような高さです。分からない場合は、メーター類が見えなくならない範囲で出来るだけ高くします。「ボンネットの1/4が見える位置」という表現で説明する人もいます。結果的に、天井から握り拳(こぶし)1個分ぐらいの隙間が空くぐらいになるでしょう。

<出典画像:『座面を一杯に高くする』https://www.fiat-auto.co.jp/ciao/driving_posture_suv/

ヘッドレストの最適な高さは?

追突された時にむち打ち症にならないように、ヘッドレストで頭を受け止められるように調節します。

ヘッドレストの最適な高さはどこなのか?今まで考えたこともありませんでした。適当に頭を押し当てて、後ろに反り返らなければいいぐらいに思っていました。

「自分の耳が、ヘッドレストの中心に来るように」という調節の目安もありましたが、「シートバックにもたれて、頭の頂上とヘッドレストのトップが同じ高さになるのが最適な高さということです。」という説明の方が分かりやすかったです。

ハンドルの前後の最適な位置は?

<出典画像:『ハンドルの前後の位置調節』https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1471/_27777.html

勘違いしている人が意外に多いのですが、ハンドルを遠く離すほど、運転が上手く見えると思っているのです。

寝そべって足を延ばし、ハンドルの下を回して運転している人などは、その典型例です。

手が伸び切ってハンドルを操作するのは、効率が悪く安全性も劣ります。咄嗟の時の操作が遅れますから。

私は下の動画を3年前に見てから、ハンドルとの距離感が変わりました。ついでに、送りハンドルを右左折や駐車時に多用するようにもなりました。

<出典動画:『ステアリング操作の練習』YouTube>

ハンドルの前後の位置の調節の方法は、シートバックに背中を付けたまま、両手を伸ばして、手首の付け根がハンドルの上部に掛かる位置に固定します。

肩を浮かせたり、前かがみにならないようにして位置を決めるのがポイントです。

ハンドルの上下の最適な位置は?

<出典画像:『ハンドルの高さ調節』https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1471/_27777.html

ハンドルの向こうにメーター類があります。私はそんなことを意識したことはありませんでした。見えて当たり前だと思っていたからです。

しかし、ハンドルの上下の位置によっては、メーター類の一部がハンドルの陰になっていることもありえます。

もしかしたら、そんな不完全な視野の状態のまま、これまで運転していたのかも知れません。

ハンドルの上下の最適な位置は、シートバックに背中を付けたまま、ハンドルの隙間から、メーター類が完全に見えるように、上下の位置を調節します。

私の車のメーター類はハンドルの前でなく、カーナビの上にあるのでハンドルの陰になることはありません。しかし、そういう場合でも、メーター類がハンドルの後ろにあると想定して調節した方が良いのではないかと思います。

この2つの動画の説明が秀逸だった

この2つの動画がとても分かりやすくまとめられていました。

<終点動画:『Mazda人馬一体アカデミー』YouTube>

<出典動画:『JAFMate|なるほど運転レッスン「シートポジション」』YouTube>

  1. ハンドルを一番下、一番奥の位置にして、シートは一番後ろ、座面も一番下に下げて準備します。シートには深く腰掛け、隙間がないように座ります。

    <出典画像:『セット前の準備』https://www.carsensor.net/contents/editor/category_1471/_27777.html

  2. シートバックを前に倒した位置から後ろに上げていって、上体が最も楽な位置を決める。

  3. 両足をアクセルペダルとフットレストに掛け、シートを一番前にした窮屈な状態から、少しずつ後ろに下げながら、膝下が最も楽な位置を決める。

  4. 座面を上げて、車の先端から6~8メートル先の地面が見える位置(分からなければ、メーター類が見える範囲で出来るだけ高い位置)または、ボンネットの1/4が見える位置。

  5. 両手の手首のところがハンドルに掛かるように、ハンドルの前後の調節をする。

  6. メーターがハンドルの隙間から完全に見える位置に、ハンドルの高さを調節する。

  7. フットレストのトップと自分の頭のトップが、同じ高さになるようにフットレストの位置を調節する。