エヌボックスやノアなどのワンボックスタイプの車は、運転席から見下ろすような見通しの良さがあります。それに比べて、レクサスのように、座面も高くない大きな車は、前方や後方の車両感覚をつかみにくく感じられそうです。
- かっこいいセダンの高級車に乗ってみたい。
- でも、自分に乗りこなせるか心配。
- どんなところに注意すれば良いのか?
昔のCMに「いつかはクラウン」というキャッチフレーズがあったそうです。クラウンが庶民の憧れる最高級の乗用車だった時代です。今の時代、若い人が高級セダンに憧れることは少なくなったかもしれません。
以前、元SMAPの中居正広さんが白いシーマに乗っていたのをテレビで見た時、「かっこいい。センスがある」と思いました。ちょっとヤンキーな雰囲気もあるのですが、若い人の良い意味で「背伸び」した渋さを感じました。
新車ではとても手が出ませんが、中古車なら可能です。高級セダンは乗る人も丁寧な乗り方をするので、中古でも質の良いものが手に入り入りやすい利点があります。今なら「いつかはレクサス」になるのでしょうか?型落ちした中古でも、十分高級感は味わえます。
ただ、心配なのは、「大きすぎて扱いづらくて乗りこなせないのでは?」と、買ってから後悔するかも知れないという不安です。
エヌボックスやノアなどのワンボックスタイプの車に、「見通しが良くて運転しやすい」からと乗っていた人が、「高級感を味わいたいから、今度はレクサスのような高級セダンに乗ってみたい」と思った時の、不安を少しでも解消できるような情報をまとめてみました。レクサスを運転する時はここを注意すれば安全、というような内容です。
レクサスはどの位大きいのか?
車種 | 全長 | 全幅 | ホイールベース | 最小回転半径 |
---|---|---|---|---|
エヌボックス(G) | 3,395mm | 1,475mm | 2,520mm | 4.5m(FF) |
ノア(Si) | 4,710mm | 1,735mm | 2,850mm | 5.5m |
レガシィB4 | 4,800mm | 1,840mm | 2,750mm | 5.6m |
スカイライン(350GT) | 4,815mm | 1,820mm | 2,850mm | 5.6m(2wd) |
アテンザ(20S) | 4,865mm | 1,840mm | 2,830mm | 5.6m |
フーガ | 4,980mm | 1,845mm | 2,900mm | 5.6m |
レクサス(LS500,2018式) | 5,235mm | 1,900mm | 3,125mm | 5.6m(2wd) |
レクサス(LS460,2011式) | 5,060mm | 1,875mm | 2,970mm | 5.4m(2wd) |
センチュリー(2018年式) | 5,335mm | 1,930mm | 3,090mm | 5.9m |
(2019年1月現在の各メーカーホームページ掲載の諸元表を参照)
他の国産セダンと比較しても、レクサスの車体のサイズが大きいことが分かります。全長が5メートルを超え、全幅が1.9メートル前後になると、公用車向きの高級セダンセンチュリーに迫ります。
憧れの「レクサス LS500h」運転してみた‼️( ^ ^ )/ YouTube
現行モデルのサイズなので、中古の古い型では異なります。レクサスも色々なタイプでサイズも異なりますが、高級セダンということで、LS (Luxury Sedan)タイプを想定しました。現行モデルの新車の車両本体価格は1,000万円前後です。現行モデルの独特のフロントマスクに変わる2012から2013年式の中古価格は400万円前後です。2011年以前のモデルでも走行距離の少ない質の良い中古車が200万円代以下で手に入ります。
<画像:レクサスLS460 2011年式 https://media.221616.com/car-i/img/thumb/0780x0585/1356/20170423A0001356/51641737LF001.JPG)旧式のレクサスも風格があります。
<画像:レクサスLS500 2018年式 http://www.tr-garage.com/wp-content/uploads/2018/03/IMGP4338.jpg)
ワンボックスとセダンの車体のサイズの違い
エヌボックスやノアなどのワンボックスタイプは、タイヤから前に突き出た部分(オーバーハング)の長さが短くなっています。
車種 | 全長 | ホイールベース | 差(オーバーハング計) |
---|---|---|---|
エヌボックス(G) | 3,395mm | 2,520mm | 875mm |
ノア(Si) | 4,710mm | 2,850mm | 1,860mm |
レガシィB4 | 4,800mm | 2,750mm | 2,050mm |
スカイライン(350GT) | 4,815mm | 2,850mm | 1,965mm |
アテンザ(20S) | 4,865mm | 2,830mm | 2,035mm |
フーガ | 4,980mm | 2,900mm | 2,080mm |
レクサス(LS500,20181年式) | 5,235mm | 3,125mm | 2,110mm |
レクサス(LS460,2011年式) | 5,060mm | 2,970mm | 2,090mm |
センチュリー(2018年式) | 5,335mm | 3,090mm | 2,245mm |
オーバーハングは車体前部(フロントオーバーハング)と後部(リアオーバーハング)があります。全長からホイールベースの差は全体のオーバーハングの合計になります。
<画像:オーバーハングとは>
エヌボックスを基準にして、ホイールベースが長くなる割合と、オーバーハングが長くなる割合を比較すると、ホイールベースよりも2倍から3倍の割合でオーバーハングが長くなっています。
車種 | ホイールベースの差 | オーバーハングの差 |
---|---|---|
エヌボックス(G) | 2,520mm(0mm) | 875mm(0mm) |
ノア(Si) | 2,850mm(+330mm) | 1,860mm(+985mm) |
レガシィB4 | 2,750mm(+230mm) | 2,050mm(+1,175mm) |
スカイライン(350GT) | 2,850mm(+330mm) | 1,965mm(+1,090mm) |
アテンザ(20S) | 2,830mm(+310mm) | 2,035mm(+1,160mm) |
フーガ | 2,900mm(+380mm) | 2,080mm(+875mm) |
レクサス(LS500,20181年式) | 3,125mm(+605mm) | 2,110mm(+1,235mm) |
レクサス(LS460,2011年式) | 2,970mm(+450mm) | 2,090mm(+1,215mm) |
センチュリー(2018年式) | 3,090mm(+570mm) | 2,245mm(+1,370mm) |
ワンボックスから高級セダンに変わると、室内空間の広がりよりもオーバーハングの長さの変化の方が大きいのです。
全幅の差は、エヌボックスを基準にすると、350㎜から400㎜以上に大きくなっています。しかし、ホイールベースに関しては、車体のサイズの違いの割には、その差は小さく感じられます。
車種 | 全幅の差 | 最小回転半径の差 |
---|---|---|
エヌボックス(G) | 1,475mm(0mm) | 4.5m(FF)(0m) |
ノア(Si) | 1,735mm(+260mm) | 5.5m(+1.0m) |
レガシィB4 | 1,840mm(+365mm) | 5.6m(+1.1m) |
スカイライン(350GT) | 1,820mm(+345mm) | 5.6m(2wd)(+1.1m) |
アテンザ(20S) | 1,840mm(+365mm) | 5.6m(+1.1m) |
フーガ | 1,845mm(+370mm) | 5.6m(+1.1m) |
レクサス(LS500,2018式) | 1,900mm(+425mm) | 5.6m(2wd)(+1.1m) |
レクサス(LS460,2011式) | 1,875mm(+400mm) | 5.4m(2wd)(+0.9m) |
センチュリー(2018年式) | 1,930mm(+455mm) | 5.9m(+1.4m) |
車体のサイズの差から何が分かるか?
オーバーハングが非常に大きくなるので、運転席からの目視の確認でも、ルームミラーやサイドミラーからの確認でも、車の前後の奥行きの距離感の判断が難しくなります。前方と後方の障害物と車と、どの位離れているかが分かり憎くなります。
また全幅も大きくなるので、フロント側では、助手席側の車体側面、タイヤの位置などの判断、リア側では両側のバンパーの角の位置、タイヤの位置の判断がより重要になってきます。
つまり、車体の4角の位置、4輪のタイヤの位置の把握が、接触事故を防ぐためには絶対に必要になります。車長感覚と車幅感覚が絶対に必要になります。小さな車の場合には無意識で確認できていたことですが、大きなセダンになった場合は意識して確認しなければなりません。
車体のサイズが大きい割りに、ホイールベースが大きくないので、駐車の時に回転するための通路スペースが余計に必要となることはありません。むしろ、全幅とオーバーハングが大きくなった分だけ、ギリギリまで周りの車や障害物に近づけないので、小刻みな駐車、つまり切り返しを使った駐車が多くなることが予測できます。
車両感覚は、単に勘に頼るのではなく、確認しにくいポイントへの対策を立てる必要があります。
大きなセダンのための運転対策
車両感覚の目安【4つのタイヤとフロントの位置】
<動画:小金井自動車学校 車両感覚 YouTube>
運転席から見て、前輪と後輪の4つのタイヤの位置を感じられることが、車両感覚の基本になります。
運転席から5本のラインを想定することで、4つのタイヤのおおよその位置を感じることができます。
助手席側(左側)のタイヤの位置
運転席から見て、フロントウインドウの中央、ボンネットが見える場合はボンネットの中央が、助手席側(左側)のタイヤの延長線になります。
この関係はリアウインドウを見た場合も同様で、リアウインドウの中央、トランクが見える場合はトランクの中央が、助手席側(左側)のタイヤの延長線になります。
<画像:助手席側(左側)のタイヤの延長線>
運転席側(右側)のタイヤの位置
運転席から見て、フロントウインドウの右から4分の1、ボンネットが見える場合はボンネット右端から4分の1のところが運転席側(右側)タイヤの延長線になります。(アクセルペダルの延長線上という表現もあります)
この関係はリアウインドウを見た場合も同様で、フロントウインドウの右から4分の1、トランクが見える場合はトランク右端から4分の1のところが運転席側(右側)タイヤの延長線になります。
<画像:運転席側(右側)のタイヤの延長線>
前輪の軸の位置
運転席側(右側)のサイドウインドウの中央が、前輪の軸の延長線になります。
<画像:前輪の軸の延長線>
後輪の軸の位置
助手席側(左側)のサイドウインドウの左端が、後輪の軸の延長線になります。
<画像:後輪の軸の延長線>
フロントバンパーの位置
運転席から見て、右側サイドミラーの付け根の下付近が、フロントバンパーの延長線になります。
<画像:フロントバンパーの延長線>
(以上の情報は「HONDA 交通安全運転の取り組み:車両感覚」を参照しました)
車両感覚の身に付け方【車体先端の位置】
助手席側側面
助手席側の車体の先端の感覚は、左側のドアミラーが最先端になります。左側に壁のある場所で、ゆっくりと近づける練習をすると良いのですが、空いている道路で縁石に近づけて停車する練習の方が安全です。狭い道での擦れ違いの時には絶対に必要な感覚です。
<動画:【教習】普通車で左側30cm以内に寄せて停車 YouTube>
左側のドアミラーは、上下の角度を地面の割合を2、空の割合を1になるように、左右の角度を車体が3分の1入る角度にします。この角度調節の意味は、助手席側(左側)の後方下部を捉えやすくするためです。左側後輪の一部、あるいはフェンダーが見えるので後輪の位置が確認できます。また角度をつけて見られるので、車体の後端が判断しやすくなります。
<画像:下側・内側に曲げた左側ドアミラーの角度調節>
フロントバンパー・リアバンパー
夜間にヘッドライトを点灯して、前方の壁にゆっくり近づきます。大きな光の輪が、近づくに従って小さく強くなっていきます。
同様にテールランプを点灯したまま壁に向かってゆっくりバックしていくと、テールランプの光が小さく強くなっていきます。
壁に向かって、前進やバックして、安全と思う余裕のある間隔で止め、外に出て確かめることが一番早い感覚のつかみ方です。
<動画:車幅感覚のつかみ方(前後)ついて解説>
特に注意する車体の部分
高級セダンならバックモニターは付いていると思います。リアの中央をぶつけることは少ないでしょう。またフロントオーバーハングが大きいとはいえ、フロントの中央をぶつけることも少ないはずです。
最も注意する部分は、フロントの助手席側のバンパーの角、リアの助手席側のバンパーの角です。
駐車の時に注意すること
縦列駐車では、助手席側のフロント、リア共にバンパーの角が、駐車中の車と縁石と接近する部分になります。まさに大型セダンの最も弱い部分を危険に晒す場面になります。一度に無理に成功させようとしないで、入り込んでから切り返すつもりで余裕を持って行います。
縦列駐車で前から入れるのは、オーバーハングと内輪差(後輪は前輪より内側を通ること)のため縁石に接触する危険性が高く、縁石に車体を一発で寄せられません。縦列駐車は出来るだけバックで入る様にします。
バック駐車で入る時には、片側(内側)を詰めて駐車スペースに入れるようにします。両サイド均等に入れようとするのは余程慣れてからでないと難しいので、一方の側(内側)だけを基準にして寄せていきます。
通路の広い駐車場では前向き駐車で構いませんが、そうでない場所ではバック駐車でないと、出る時に車体を完全に出し切るスペースが必要なので苦労します。それは、前向き駐車から出る時には、フロントオーバーハングが大きいことと、外側の前輪は外側の後輪より外側を通る(外輪差)ため、隣の車と接触する危険が高いので、フロントが安全な位置に出来るまで、真っ直ぐ後退しなければならないからです。
<画像:前向き駐車から出る時は、充分に安全な位置まで出てから回転する>
ドアミラーの重要性が高まる
フロント側の車両感覚は目視でできますが、後方の車両感覚はルームミラー(&バックモ二ター)とドアミラーに頼ることになります。特にドアミラーで奥行きのある間隔を把握しなくてはなりません。雨の日寒い日など、ドアミラーが見にくくならないように気を付けます。
純正のドアミラーだけでは見にくいと感じたら、補助ミラーなどの装備をすべきです。トラックやバスが補助ミラーを必要としているのは、長く奥行きのある車体の死角を無くすためです。エヌボックスより1,600mmから1,800mmも長く、ノアに比べても300㎜から500㎜も長いレクサスは、初めて運転する人には小さなトラックのような感覚になります。