私は知りませんでした。最近「車中泊禁止」の看板を表示する道の駅が出てきているようなのです。余程目に余るマナー違反をする利用者が常態化して来ていると思われます。

一体どんなマナー違反をしているのか?道の駅側が「車中泊禁止」に踏み切るには、相当な決断があったはずですから。

私の親戚のある夫婦は、子育ても終わって、ワンボックスの軽自動車で車中泊の旅行を楽しんでいます。

車中泊を始めた10年程前は、今のような本格的なブームになる前でしたので、どの道の駅に行っても余裕で駐車出来たそうです。

ドライブを楽しむ人たちのための道の駅が、まるで敵対するような態度に出たのはどうしてなのか?私はとても気になりました。

私は、一部の確信犯だけでなく、知らずにマナー違反をしている善意の利用者が増えて来たのではないかと推測します。

親戚の夫婦によれば、最近では車中泊をする車が増え、遅い時間に行くと満車になっている場合があるそうです。利用者が増えれば、質の低下が起きるのも自然な流れのような気もします。

知らないことから起きる不幸は、知ることで少しでも減るのではないか?少なくとも善意のマナー違反者にとっては。

道の駅での「嫌われる車中泊」を調べていくうちに、道の駅から「嫌われない車中泊」の姿が浮かび上がって来ました。2つの違いを知ることが、道の駅を末永く利用するための必要条件です。

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「車中泊禁止」の実態

車中泊禁止(湯沢温泉村)

<出典画像『車中泊禁止(野沢温泉村)』https://syachuhaku.fxtec.info/index.php?車中泊禁止の道の駅>

道の駅側の車中泊する人たちへの本音としては、

  • 「施設を利用しゴミを増やすだけでお金にならない」
  • 「お金を落としてくれる利用者の邪魔になっている」

ということのようです。気持ちはよく分ります。

車中泊禁止(ぱぱすランドさっつる)

<出典画像『車中泊禁止(道の駅パパスランドさっつる)』https://syachuhaku.fxtec.info/index.php?車中泊禁止の道の駅>

ただし、車中泊禁止の看板は掲示されていても、車中泊をしている車を取り締まるような行為はなく、利用者のモラルに訴えかけるにとどめているようです。

車中泊禁止の看板も、撤去されたり、文字を消したり流動的で、道の駅側の苦悩も伺えます。それでも全体的には、車中泊禁止の看板を掲示する道の駅が増えつつあるのは確かなようです。

車中泊禁止を掲示するに留める理由

道の駅側としての「本音」はビジネスで営利を求めます。道の駅の認可の権限をもっている国土交通省も、道の駅側の立場も考慮しているのが分かります。車中泊をして良いかの質問に以下のように答えています。

「道の駅」は休憩施設であるため、駐車場など公共空間で宿泊目的の利用はご遠慮いただいています。

もちろん、「道の駅」は、ドライバーなど皆さんが交通事故防止のため24時間無料で利用できる休憩施設であるので、施設で仮眠していただくことはかまいません。<出典:『「道の駅」駐車場での車中泊は可能ですか?』https://www.mlit.go.jp/road/soudan/soudan_03_04.html

ただし、「宿泊目的の利用」という表現で、「車中泊」という言葉は解答の中に使っていません。さらっと書いているようで、相当吟味して答えています。

「車中泊」を全否定してしまうと、語弊が生じると判断したと思われます。「車中泊」には「休憩」から「車上生活」(キャンピング)まで、幅広い意味が含まれているからです。

「宿泊目的」は「車上生活」を指すのでしょう。道の駅としても、「宿泊目的」=「車上生活」としての「車中泊」を締め出したいのであって、「休憩」としての「車中泊」まで規制出来ないジレンマがあるのです。だから、「車中泊禁止」の看板を掲示するだけに留めているのです。

道の駅の設立目的の中に問題の根が

道の駅の設立目的を見ると以下のようになっています。

道路を利用する人へのサービスと、道の駅の運営側への利益を目的にしているのです。

従って、道の駅の一方的な利益だけを主張するのは限界があります。道の駅には、道路利用者へのサービスの義務があります。「車中泊」と、一括りで利用者の行動を決めつけることができないのです。

ですから、「車中泊禁止」と単純に看板によって利用を規制するのは、行き過ぎた行為とも言えます。「車中泊」の中のある部分、「宿泊目的」=「車上生活」(キャンピング)しか、規制することが出来ないはずなのです。

この動画の作者の主張が、現在の道の駅と利用者の関係や、あるべき関係を良く言い表しています。

<出典動画:『車中泊禁止の真実をお話します【道の駅】』YouTube>

いわゆる車中泊のイメージ

道の駅から車中泊が嫌われ出したのは、道の駅側の求める車中泊のイメージと、利用者の車中泊に抱くイメージが食い違って来たからではないのか。

「車中泊」という言葉からは、車の中で生活するイメージを受けます。おそらく、それは「泊まる」という意味から来ているのでしょう。

「泊まる」には、そこで顔や体を洗ったり、歯を磨いたり、飲んだり食べたりする、「生活」を含めて思い描くのが自然です。

熊本地震の際にも、段ボールで仕切られた避難所の体育館でなく、倒壊した自分の家の側や、避難所の敷地に置いた車の中で寝泊まりする人が大勢いました。

「車中泊」には、家に代わって車の中で生活するイメージが付きまといます。おそらくこれは、とても自然なことで、間違った理解ではないはずです。

道の駅で嫌われる車中泊

「車中泊」自体には何の罪もなく、問題はその場所に相応しい「車中泊」かどうかです。「車中泊」のTPOです。

車中泊一般でなく、「道の駅での」車中泊が嫌われているのは、どんなことなのか?道の駅での車中泊の実態を調べてみました。一部の人達でしょうが、凄いことになっていました。

洗面所で炊事や洗濯をする人

<出典画像:『洗面所での警告』https://blog.goo.ne.jp/yadokari274/c/c6381b9acdf3a2d7992c5f4b0f7cb8f5

洗面所で調理をしたり、使った食器を洗ったり、汚水をそのまま流したりしている人たちがいるそうです。

手や顔を洗ったりするのが洗面所です。ドライブの疲れを取るために、歯を磨いたり、口をすすいだり、うがいをするのは許される行為です。

少し広げて、頭や身体や足を洗うのはどうでしょうか?その場合は、タオルを濡らして、車の中で行うべきです。シャンプーなどを使用するのは行き過ぎです。

洗面所で行き過ぎた「生活」をすべきではありません。

食器を洗ったり、料理の準備をしたりするのは論外です。そういう「生活」をするのであれば、車の中で完結すべきです。

そして、車の中で行った「生活」から出た汚水やゴミは持ち帰るべきです。

車の周りで食事やバーベキューをする人

<出典画像:『道の駅でバーベキュー』http://mks0223.blog.fc2.com/blog-entry-480.html

車のバックドアを開けて屋根代わりにして、その周りに椅子やテーブル、コンロ、食器などの道具を出して、食事やバーベキューなどをするのも完全にマナー違反です。

駐車スペースの中で収まっていても、煙やにおい、騒音などの実害だけでなく、車外での食事には、必ずゴミが発生し、その生活ゴミを家庭に持ち帰りたくない誘惑を助長します。

このような車外の食事やバーベキューは、洗面所での調理や洗い物のマナー違反と結びつきやすいです。

また、それを見た人達の中に、真似をしてみたいと思うマナー違反者の予備軍を増産する悪影響が考えられます。

施設の電気を無断で使用する人

キャンピングカーの電源を確保したり、照明器具、ドライヤー、スマホの充電のための電源に利用します。

仮眠のためでなく、車上で生活するために電気を使うのは、道の駅の目的外の行動です。

延長コードなどを用意している人達もいるそうです。

連続して駐車場を占有する人

連泊や長期滞在して駐車場を占有する人。その道の駅を観光などの行動の基点にして、宿泊費用を節約するためです。

ただ、営業時間内は出かけて、営業時間外に戻って仮眠のために2,3日駐車するのはどうなのか?他の利用者の場所を奪わない限り許されるようにも思うのですが、どうでしょう?何カ月も利用し続けるのは問題と思いますが。

<出典画像:『長期間の利用禁止』https://blog.goo.ne.jp/mesureo02030403/e/65630fd3139ca6435803818483d96134

上の画像からは、推測ですが、「長時間」を「長期間」(時を期に修正)に修正したと思われます。休憩は時間で規定できませんが、不当な連続使用は、期間で規定できると考えたのではないでしょうか。

道の駅の苦心が垣間見えます。期間とは日数単位ですから。道の駅が想定しているマナー違反は、相当の日数を滞在する人達と思われます。

洗濯物を干す人

<出典画像:『道の駅で勝手にキャンプ』http://blog-imgs-35.fc2.com/c/a/b/cabcon/otDSCN4255.jpg

車と近くの電柱や植木などにロープを渡して、洗面所で洗濯した衣類を干します。

洗濯ものを干している景観から、車上生活が許されるような誤解を、他の利用者に与えることになります。

また、洗濯物に使う水を調達するところ、汚れを落とした水を捨てるところは、施設の洗面所を使う可能性が高いので、これも利用者の目的外になります。

車中泊で出た生活ゴミを捨てて行く人

<出典画像:『月曜日の朝6時の道の駅』https://plaza.rakuten.co.jp/sakamotodayori/diary/201407090000/

ゴミの捨て方は微妙です。私もまだ確信の持てる回答はありません。言えるのは、要するに程度問題ではないかと考えています。

家庭から持って来た生活ゴミを捨てるのは、明らかなマナー違反です。ドライブ中に出たゴミに限定されるべきです。ゴミの量的な制限を設けたいはずですから。

道の駅に来るまでのドライブ中に飲んだペットボトルなどを、ゴミ箱に捨てるのは許されると思っています。道路を走行していた間に出たゴミという解釈で良いと思います。

仮眠中に、車の中で食べたり飲んだりしたものは、ドライブ中のゴミでなく、生活で出たゴミです。車の中とは言え、生活ゴミは捨てるべきでないと考えます。

ただ、道の駅の自販機で買ったペットボトルなどは、道の駅の利益にもなっているので捨てるのは問題ないはずです。

敷地内にテントを張る人

キャンプ場と取り違えた論外の行為です。道の駅を公園や河原のように捉えているのかも知れません。

芝生の上でなく、車の隣の駐車スペースを堂々と占拠するような行為は、これからは出来にくくなるのではないかと思います。

オートバイや自転車で旅をする人たちが、敷地内にテントを張って宿泊する様子も多く見られます。私は個人的には、敷地の片隅で野宿する、こういう二輪の旅人には寛大であって欲しいと思うのですが・・・。

<出典画像:『道の駅での野宿』https://piiiiiiiii.exblog.jp/5744827/

道の駅で認められているのは仮眠

国土交通省の説明にもあった通り、道の駅ではドライブの疲れを取ってもらうための仮眠をしてもらう場所です。問題は、仮眠の中にどのような行為まで含まれるかという点です。

道の駅の主旨は、「24時間休憩を取れる施設」です。利用する時間帯の制限はありません。いつでも休憩して良いのです。休憩の中には仮眠も含まれます。

そうは言っても、最近の車中泊ブームで混雑した状況では、仮眠はなるべく営業時間を避けた利用が望ましいです。

仮眠の中の許容範囲の行為

仮眠をするためには、それに付随する行為も必要です。空腹では眠れないだろうし、仮眠の前後には歯を磨いたり、顔を洗いたくなります。

ですから、直接仮眠とつながる行為は許されるはずです。ただし、他人の仮眠の妨げになるような行為は許されません。従って、食事も車内で完結すべきです。

昼間であっても、誰かが仮眠をしていると考えれば、車外でバーベキューなどをして騒げないことが分かります。

嫌われない車中泊の姿

  1. 仮眠のために駐車する。なるべく営業時間外で利用する。
  2. 食事などの生活行為は車内で完結する。
  3. 話し声や音楽などの音は車外に漏らさない。
  4. 車中泊中に出た生活ゴミ、汚水は持ち帰る。
  5. キャンピング行為(テント、バーベキュー、炊事洗濯など)は禁止。

道の駅は、安全のためにドライブの疲れを癒してもらいながら、同時に地域の活性化を促す目的を持った施設です。

利用する側は疲れを癒す範囲の節度を持ち、提供する側は利益だけを求めない寛容さが必要です。

今は利用する側の方が、より多くの心遣いが求められています。