車を斜めに傾けて、ゆっくりバックして駐車する、いわゆるバック駐車が普通で、ほとんどの人がこのやり方で駐車しています。
そんな中で、通路をスーッと入って来て、車を斜めに傾けることもなく、そのまま90度の円弧を描いて、切り返さずに1発で駐車してしまったら、「カッコイイ」ですよね。これが直角バック、あるいは直角駐車と呼ばれるやり方です。
直角バック(直角駐車)を解説した記事は少ないのですが、その説明は経験による感覚的な表現で、論理的な根拠が乏しいものが多いように思われます。
車種によって車体のサイズや小回りの度合いが違うので、おおざっぱな見当でしか説明できないのも無理はありません。
大きな車と小さな車では、直角バックするための位置取りが違ってくるのは当然です。直角バックは位置取りで決まってしまうので、正確な位置取りを知らなければなりません。
今回は軽ワゴンの中で人気のある、スズキワゴンRをターゲットにして、直角バックを1発でカッコよく決めるための位置取りを出したいと思います。
<出典画像:『スズキワゴンR』http://archive.tokyoautosalon.jp/2013/photos/car/S0130338-wagonR.jpg>
スズキワゴンRの諸元から必要な項目をピックアップ
直角バックを成功させるためには、正確な位置取りを知らなければなりませんが、そのためには正確な車体の寸法などを知る必要があります。
項目 | 寸法 |
---|---|
全長 | 3,395mm |
全幅 | 1,475mm |
全高 | 1,650mm |
ホイールベース(前後のタイヤの車軸の中心間隔) | 2,460mm |
トレッド(内側と外側のタイヤの中心間隔) | 1,295mm(前)1,300mm(後) |
最小回転半径(最小回転した時の外側前輪タイヤの軌道半径) | 4.4m |
<出典画像:『スズキワゴンR寸法図』http://www.suzuki.co.jp/car/wagonr/detail/img/spec/dimension.gif>
寸法図からは、オーバーハング(タイヤの中心と車体の前・後の端までの距離)は、前(フロントオーバーハング)の方が後ろ(リアオーバーハング)より大きく見えますが、正確な寸法が不明なので、均等に考えることにします。
ワゴンRはだいぶ前になりますが、長く乗っていたことがあります。前後の視界も良くて運転しやすく、長距離を運転しても疲れない車でした。ホワイトボディのエアロにターボの響きが似合って、高速道路でも安心して乗れました。家族が増えたので仕方なく大きな車に乗り換えましが、今でも記憶に残る車です。直角バックを1発で決めたらカッコよさが映える車です。
ワゴンRが直角バック1発で駐車できる条件
想定する駐車場のスペースサイズは、標準的な間口2.5m、奥行き5mで検討しました。ワゴンRの全幅が1,475mmですので、駐車スペースの中央に停めた場合、左右の余裕は512.5㎜、約51㎝あります。
検討して分かったことは、
- 駐車場や車庫の前の通路や道路は幅3.3m以上必要。
- 駐車スペースの間口のラインから81㎝以上車体を離した位置。
- 駐車スペースの中央から後輪まで3m離した位置。
間口のラインから81㎝以上であれば離れる分には問題ありません。離れた分だけ隣に停まっている車から離れるので余裕が出来ます。間口に対して真っ直ぐになるタイミングが早くなるだけなので、離れるほど駐車が楽になります。
位置取りをどのような目安で記憶するか
寸法的な位置取りは分かりましたが、実際の現場で計測するわけにはいきません。運転席から見た景色の中で、その位置取りの目安を決めておく必要があります。
運転席から後輪の位置を把握するのは容易ではありません。また3mの距離を目分量で測るのも正確ではありません。
間口のラインから車体の側面を81㎝以上離すのは、それ以上でも良いので難しくはありません。特別狭い通路や道路でない限り約81㎝以上1m位の感覚で離すように意識すれば良いでしょう。運転席から見た近くの場所の距離感ですので、馴れればその範囲で近づけることは出来ます。
問題は駐車スペース中央から後輪まで3m離す方です。こちらの位置は正確でなければ、駐車スぺ―スから外れて切り返しをしなければならなくなります。
前輪の位置は運転席に座って右足の先にあります。この図からも分かるように、運転席は目的の駐車スペースから2つ目の駐車スペースの中央辺りに来ています。以上からワゴンRの場合、
- 駐車スペースの間口のラインから81㎝以上車体を離す。
- 駐車スペースの2つ目の中央に運転席が来た位置で停車する。
<出典画像:『ワゴンR を直角バック1発で駐車する位置取りの目安』>
この2つの目安を守れば、余程狭いスペースの駐車場でない限り、1発で直角バック(直角駐車)出来ます。
最小回転半径が4.4の軽自動車であれば、この目安は共通で通用するはずです。