事故を起こしやすい人は注意をしていないのではなく、注意の払い方に無駄があるのではないでしょうか?

私は免許取り立ての頃、後ろから来る車がとても気になって、ルームミラーばかり覗いていました。そうすると、前方や左右への注意が欠けて、はっとした経験があります。

運転が苦手な人程、注意に費やすエネルギーは多いはずです。ただ、そのエネルギーが無駄に使われているのではないかと感じます。

人間の多くの行動は、8対2の割合が自然な現象として説明されています。例えば、100人の会社で、80人はあまり会社に貢献しておらず、20人が会社を支えている。その20人を分離して1つの集団にすると、その中の80%を除いた20%が集団を支える、といった類のものです。

この8対2の割合を、車を運転する時の注意に応用したら良いのではないかという提案です。8対2という割合は、バランスの取れた黄金律のように感じるからです。
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運転中は8対2の割合で注意する

直進している時の注意の割合

直進している時には、80%は正面前方に、20%を左右後方に注意を注ぐという考え方です。そして大事なことは、直進している間はその割合を固定して、首を回して横を見たり、ルームミラーで後ろをずっと見ていたりしないことです。

常に前を向いたまま80%の意識を保ち、左右や後方の気配を残りの20%の範囲内で感じるのです。正面を見ている視界の端の方で20%を感じ取る感覚です。これが直進している時の注意の割合です。

左折する時の注意の割合

左折する時は、80%を左後方、左側面に注を注ぎます。大事な点は残りの20%は前方に持ち続けなければならないことです。

横断歩道を右奥から渡って来る人や自転車がある場合もあります。対向車が割り込んでくる場合もあります。100%左側に注意を向けては危険です。20%は正面に残しておく意識が必要です。

右折する時の注意の割合

右折する時は正面の対向車や、正面からこちらに向かってくる横断者や自転車に80%の注意を注ぎます。残りの20%は右後方から横断しようと近づいてくる人や自転車への注意です。

つい先日、恐ろしい場面を目撃しました。その時私は歩行者で、歩行者用の信号は赤なので立ち止まっていました。目の前には右折待ちの車が、直進してくる対向車をやり過ごしていました。

右折車線の先頭に軽自動車、その後ろはダンプカーです。ダンプカーは前の軽自動車を追い越して、凄いスピードで右折していきました。「こういう人、本当にいるんだ」と驚きました。

もし、軽自動車が同じタイミングで右折しようとしたらどうなっていたでしょう。右折の時でも前方だけに注意していては危険です。

夜間や雨の時の右折で、右後方から走ってきて横断しようとする自転車もあります。私も経験があります。夕暮れの交差点を右折しようとしていた時、黒い服装をした無灯火の自転車が、全速力で横断歩道を右後方から走り抜けていきました。

バック駐車する時の注意の割合

駐車場や車庫にバック駐車する場合には、左右と後方に80%の注意を注ぎます。しかし、20%の注意は前方に残しておかなければなりません。前方を横切る人や自転車、車もあるからです。

左右のサイドミラーやバックモニター、ルームミラーを確認する時も、視野の20%の領域は正面に維持しておきます。ぼんやりとした情景でも良いので、視野の隅に残しておきます。

このように運転中の注意の割合を決めておくと、不必要にキョロキョロしたり、神経を使う割には効率の悪い安全確認にならずに済みます。

まとめ

簡単にまとめれば、正面を向いている時には正面に80%、正面以外を向いている時には正面に20%の注意を残すということです。

カーナビを見る時も、100%見てしまわないで、20%は視界の端に正面を意識します。

厳密には、瞬間的に正面の景色が視界から消える場面はあります。ただ、20%正面を見ていなければならないという意識があると、空白の時間は非常に短くなります。

●1か所に100%の注意を注がないこと。
●正面から目をそらす場合でも20%の意識を残すこと。
●正面を見ている時は、20%を正面以外に注意を向けること。