バック駐車が苦手から得意になった30代主婦のメモ

バック駐車が苦手だった30代主婦が運転が得意になったコツのメモ

タグ:斜め

運転歴6年、無事故無違反でゴールド免許の32歳の主婦がいます。彼女は駐車する時には、毎回一発で白線内に入れられるし、他の車にぶつけたりする事は一度もありません。

彼女は昼過ぎから夕方の間だけ、実家のクリーニング店を手伝っています。彼女の仕事は、仕上がった品物の配達や、店では対応できない注文を、取引先の工場へ届ける役目です。使用している車はハイエースです。

彼女の悩みは、「ハイエースだと真っ直ぐに駐車できるのに、普段乗っている軽自動車(ムーブ)だと必ず斜めになってしまう」というものです。

ハイエースの方が大きいから、ムーブよりバック駐車するのは難しそうな気がしますが、彼女にはハイエースの方が綺麗に駐車できるそうです。

これには原因があるでしょうか?

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<出典画像:『トヨタ・ハイエース』https://ja.wikipedia.org/wiki/トヨタ・ハイエース#/media/File:Toyota_Hiace_H200_501.JPG>

ハイエースとムーブの大きさの比較

項目ハイエース(スーパーGL)ムーブ(L)
全長4,695mm3,395mm
全幅1,695mm1,475mm
全高1,980mm1,630mm
ホイールベース(前後の車軸中心間の寸法)2,570mm2,455mm
トレッド(左右のタイヤの中心間の寸法)1,470/1,465mm1,305/1,295mm
最小回転半径(最小回転時の前輪外側タイヤの描く円軌道の半径)5.0m4.4m

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車の大きさの違いが、バック駐車の際に車が真っ直ぐにならないことに、どのような影響を与えているのでしょうか?

普通免許で乗れる車であるならば、運転の操作や結果に違いが出てしまうのは、そもそも運転の根本が正しくない可能性を伺えさせます。

バック駐車の操作の過程のどこかに問題があるはずです。その前にハイエースとムーブが回転した時の比較を見てみましょう。

ハイエースとムーブの回転の差

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白い方がハイエースの回転の様子で、黄色がムーブです。円の中心から車体の側面までの距離の差は、2,706mm-2,261mm=445mmです。一方、車体前部の外側端が描く円の距離の差は、5,707mm-4,738mm=969mmです。

これらのことから次のことが分かりました。

  1. ハイエースは小回りが利く(中心から車体側面までの差が445mmしかない)
  2. ハイエースの外側オーバーハングが大きい(車体前部外側端の円半径の差が969mmもある)

分かりやすく言えば、両者の描く内側の円の半径の差は小さく、外側の円の半径の差は大きいのです。ハイエースはバック駐車する場合には小回りが利きますが、前向き駐車の場合には、前部のオーバーハング(前輪の車軸の中心と車体端との距離)が大きいので広いスペースが必要になります。

最小回転半径の差は、5.0m-4.4m=0.6m=600mmなのに比べて、車体内側側面の円の半径の差が445mmなのでも、ハイエースの小回りの良さを示しています。厳密に言えば、内側の小回りで、バック駐車にメリットのある性能です。逆に言えば、ムーブに比べて外側は大回りの度合いが大きいという性能です。

バック駐車する場合には、回転の内側(車体の内側)を主に注視することになります。ハイエースとムーブでは、回転の内側の半径の差が車体の長さに比べて小さいので、回転の動きに伴う難しさの差も少ないはずです。

ムーブの方が真っ直ぐ駐車しにくい原因は、回転の性能の差にはないようです。

長い線のほうが方向が分かりやすい

私が注目したのはボディの長さの違いです。特に運転席から後部までの側面の長さです。一つの目安として、前輪の中心と車体後部端との長さをひっかうすると、ハイエースが3,632mmでムーブが2,925mmです。その差は707㎜です。

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サイドミラーから車体の側面と後方の端を見た時、長い方がバックして行く方向を捉えやすくなります。長い物差しの方が短い物差しより、指し示す目標への方向が分かりやすくなります。

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サイドミラーから見た場合には、両者の長さは見た目には大きな差を感じませんが、ハイエースの後部の端はムーブよりずっと先の位置を示しています。サイドミラーが凸レンズのため、ミラーの端に写るものを中央に集めて反射するからです。

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イメージとしては、ハイエースの方が、ムーブより先の方に到達しています。運転席が同じ地点にあった場合、ハイエースの方が、ムーブより先の地点を通過するのを、予測でなく車体を見て確認できるのです。

一般的なバック駐車は、車を傾けた状態で駐車スペースの入り口へ向かっていきますが、車が長いと(物差しが長いと)、駐車スペースの白線と車の側面のラインとの角度の関係で、その車の角度で入れるかどうかの判断もしやすくなります。

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バック駐車の工程が進んで、車が駐車スペースの枠内に入ってきた時、車が長いと車の後部が駐車枠の奥に早く到達するので、車の後方と駐車枠の奥の空きと手前の近い方の車体側面との空き、車体の奥と手前の白線との平行関係を早く確認できます。

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下の動画はハイエースでのバック駐車の様子です。やはり、サイドミラーからも、後方の車体と駐車枠の関係から、車の位置関係を早く察知できるのを感じ取れます。

<出典動画:『駐車の方法』YouTube>

早い方向の把握と小回りの差が少ないこと

ハイエースは長いボディの割には小回りが利くので、バック駐車の時の回転が他の大きな車に比べて小さく操作できることと、ボディーが長いことによって、サイドミラーの中で車の方向や位置を早く知ることができることの2点が、軽自動車のムーブよりハイエースの方が、真っ直ぐに駐車しやすいという現象を生むのではないかと考えられます。

ムーブのバック駐車の仕方にも問題はないか?

ハイエースで出来てムーブで出来ないのは、バック駐車の仕方にも問題があるはずです。

ハイエースで真っ直ぐに駐車できるのなら、ハイエースの駐車の仕方が正しくて(少なくとも32歳主婦の彼女にとって)、ムーブの駐車の仕方が正しくないのです。

ハイエースでは、ボディが長いために、駐車枠に斜めに向かっていく時や、枠に入ってから奥までバックしていく時に、車の側面を1本の線のようにして、駐車枠の白線と絶えず角度や距離を比較しながら操作しているはずです。

ムーブの場合には、サイドミラーに写る車の後部が近いので、車体の側面を線として見ていないのではないでしょうか?むしろ後輪を強く意識してしまって、車体がどちらに向かっていくのかの判断が、車体の側面を物差しのように使った感覚ではなく、後輪を点のように使った感覚で行っていると思われます。

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ムーブのバック駐車が、駐車スペースの枠の白線と、車の後輪とを目安にした、線と点の関係であるのに対して、ハイエースは長い車の側面を物差しのような線として使った、線と線の関係であることが、真っすぐに駐車できる結果になっていると推測します。

従って、彼女の場合、ムーブでもハイエースと同じように、サイドミラーの見方として、車の側面から後部に掛けてのラインを目安にして、駐車枠との角度や位置関係を確認しながらバック駐車するのが良いと思われます。

 

バック駐車を極めるのは、意外に奥が深いのです。一発で駐車スペースの中に入れることが出来るようになっても、車体が斜めになってしまう人はたくさんいます。

車体が真っ直ぐに入れられるようになっても、駐車スペースの片側に寄ってしまう人もいます。どんなベテランでも、毎回のバック駐車で、

  • 一回で駐車スペースに入る。
  • 車体が真っ直ぐになる。
  • 駐車スペースの中央に停車する。

という3拍子揃って完璧に出来る人は少ないのではないでしょうか。

今回は、車体を斜めにならずに真っ直ぐにすることと、駐車スペースの中央に停めることが出来る方法を考えてみます。そのためのツールの使い方として、サイドミラーの見え方を知る必要があります。

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サイドミラーは凸面鏡

見通しの悪い所に立っているカーブミラーの表面が、膨らんだ球面なっているのは、なるべく広い範囲の景色を鏡の中に取り込みたいからです。

車のサイドミラーも、カーブミラー程ではありあせんが、微かに膨らんだ球面になっています。役割もカーブミラーと同じで、小さな鏡の中に広い範囲を映したいためです。

このような鏡を凸面鏡(とつめんきょう)といいます。凸面鏡の特徴は、広い範囲の光を鏡の中央に集めます。そのため、遠くの景色は実際よりも遠くに、実際よりも中央に寄って見えます。

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<出典画像:『凸面鏡の特徴』>

スプーンの膨らんだ面に、並行した2本の線を映すと、スプーンの端では間隔が狭く、スプーンの中央では間隔が広く見えます。

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<出典画像:『スプーンに移した平行な2本の線』>

駐車場の白線をサイドミラーに映した場合も、カーブミラーやスプーン程極端ではありませんが、同様の現象が起きています。

バック駐車で、車の横にある白線は、サイドミラーの中では、手前は実際よりも車体から離れて見え、奥の方は実際よりも車体に近く見えます。

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<出典画像:『サイドミラーに映る白線と車体との間隔』>

平面の鏡でも、遠近法で遠くのものは中央に寄って、手前のものは外側に広がって見えます。凸面鏡は、自然な遠近法よりも更に誇張された見え方になります。

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<出典画像:『遠近法によるものの見え方』>

車体は完全な直方体ではない

白線に平行になる様に比較する対象の車体のラインは、正確な直線ではありません。ほとんどの車は、正面(フロント側)や背面(リア側)から見た時、車の上の方が狭くなっています。完全に四角い箱のような直方体ではありません。

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<出典画像:『NOAHの車体寸法図』https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-15-e7/ogw2ogw2/folder/709574/62/38584962/img_0>

サイドミラーから見える車体の後部側面は、下側から続いた直線が上側にかけて斜めのラインになります。このため、遠くの白線と車の間隔の狭さを心理的に緩和させる効果を持ちます。車体の上側も下側と同じ直線のラインだったら、もっと狭く感じられるはずです。

サイドミラーに映る車体と白線

<出典画像:『サイドミラーに映る白線と車体後部のライン』http://carinformation.xyz/wp/wp-content/uploads/2017/03/c8ddd5eda68465cf5dc70bb8bf87a323_s.jpg>

特にエスティマなど、全長が長くて上体が丸みを帯びたワンボックスタイプの車は、遠くの白線と車体との間隔が実際より狭く感じられるはずなのに、上体の曲線のためにそう感じさせ憎くしています。そのため、白線と車体を平行させることだけを頼りに真っ直ぐにしようとすると、実際の距離感を複雑に惑わされて、結果は斜めになりやすいのです。

エスティマの丸みを帯びたボディライン

<出典画像:『エスティマの丸みを帯びた上体のボディライン』http://www.do-blog.jp/raisen/photo/20150502-1957.JPG>

サイドミラーのどこを見れば斜めにならないのか?

サイドミラーを見ながら車体の斜めを整える場合には、2つの鉄則があります。

  1. 片側だけに頼らず両側のサイドミラーを見比べること。
  2. 車体の側面と白線を平行にするのでなく、車体最後部両側と白線との間隔を見比べること。

サイドミラーは凸面鏡で、車体の上部は斜めのラインになっています。白線と車体を平行にさせるには、それらを勘案したコツが必要です。また、白線と車体側面を平行にしようとすると、どうしても片側のサイドミラーに偏ることになり勝ちです。

微かですが、歪んだサイドミラーの中で、しかも片側のサイドミラーだけで、白線と車体側面を平行にするのは、実は難しいテクニックなのです。

もっと簡単で確実に車体を真っ直ぐにできるサイドミラーの見方があります。

両側のサイドミラーで、車体の左右の最後部と、白線の隙間が同じになるようにするのです。

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<出典画像:『車体両側最後部と白線の間隔が同じようにする』>

サイドミラーで色々なところを見る必要はありません。車体の後ろの端と白線との間が、左右で同じになるように調整するだけです。

  • 左右で一点だけ見れば良い。
  • 遠くのポイント(車の最後尾)を注視するので後部の衝突も防げる。
  • 斜めになるのを防ぐだけでなく、駐車スペースの中央に停車できる。

などの利点もあります。

私も片側だけのサイドミラーに頼るのを止めた

私も長い間、片側のサイドミラー(内側のサイドミラー)と白線を平行にする方法で、車体を真っ直ぐにしようとしていました。このブログでも最初の頃にその方法を紹介している記事もあります。

しかし、完璧に真っ直ぐにならなかったり、駐車スペースの中央でなかったりするのが不満でした。その両方の悩みを解決してくれたのが、両側のサイドミラーで、車体の後部と白線の隙間を等しくさせる方法です。

バック駐車はサイドミラーだけで行うものではありません。本当は、駐車スペースに入り込む段階で車体を真っ直ぐにしておくべきです。そのために、一旦入った後に前進して、幅寄せして車体を真っ直ぐにする方法も紹介しています。

『バック駐車でどうしても車体が斜めになって真っ直ぐに停まられない人へ』

斜めになった車体を、サイドミラーで真っ直ぐに操作するというより、ほとんど真っ直ぐなものを、微調整しながら中央へ停めるというのが理想です。一発でバック駐車しなくても良いのです。

駐車場で、真っ直ぐスペースの中央に駐車させている車を見ると、「この車の人、運転上手いな」と思います。

 

 

  • 他の人と同じようにやっているつもりなのに、駐車して降りてみると斜めになっている。
  • サイドミラーを見ながら真っ直ぐになるようにしていると車止めまで来てしまう。
  • ハンドルが真っすぐに戻っているのかどうかが分からない。

バック駐車で駐車スペースに入れることは出来ても、斜めになってしまうからカッコ悪いし、何度もやり直すのも気が引けます。

「みんなどうして真っ直ぐに駐車できるんだろう?」「自分のバック駐車のどこがまずいのか?」

真っ直ぐに出来ない原因があるわけです。駐車スペースに入れられるのですから、前半の基本操作は身に付いています。問題は後半にあります。バック駐車の理想的な基本動作のある部分を分解すると、

  1. 斜めにした車体を、ピボットエリア(駐車スペース入り口の左右の端を中心にした円)に向けて、内側後輪が近づくように、直線的にバックする。
  2. ピボットエリアに内側後輪が入ったら、そこを軸にするように回転して車体を真っ直ぐにする。
  3. そのまま真っすぐの状態を維持して奥までバックする。 のようになります。

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車が斜めになってしまうのは、2の時点で真っ直ぐになっていないわけです。これをどうやって解消するかが今回の問題です。

斜めの状態のまま3の工程に進むのか、それとも3に進む前に修正するのかです。不十分な状態で3に進むより、車体の向きを修正してから3に進む方が簡単で正確に出来るというのが今回の提案です。

ピボットエリアで回転するのは難しいと感じる人は、

  • どの位回転したら良いのか分からない。
  • 真っ直ぐになったかどうか判断できない。

このような理由です。車がどうしても斜めになってしまう人には、ピボットエリアでの回転よりも、もっと簡単で確実な方法があります。

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誰でも簡単に車体を真っ直ぐに停める方法

どんなに運転が下手な人でも、一人で運転をするのが怖いと思っている人でも、前に向かって走っている時には、右に行ったり左に行ったりフラつくことはありません。細い道であっても、誰でも真っ直ぐ前進することは簡単に出来ます。

ところが、間違えて入ってしまった狭い道などを真っ直ぐバックするとなると、そうはいきません。右や左にフラフラしながら、恐る恐る後退しなければなりません。

前進する時は、微妙なハンドルの調整結果を、大きく開けたフロントウインドウの視界と車体の位置関係から感じ取っています。

それに比べてバックする時は、ルームミラーやサイドミラーからの情報量が少なく、ハンドル操作の効果を感じ取りにくいからです。振り向いてリアウインドウを通して直視したとしても、その傾向は変わりません。

自分の車を真っ直ぐにコントロールするには、バックよりも前に進んでいる時の方が遥かに簡単です。

ですから、バック駐車の場合でも、車体を真っ直ぐにするのが苦手で、どうしても斜めになってしまう人は、バックする時に真っ直ぐしようとするのではなく、前進する時に真っすぐになるようにすれば良いのです。

以下は、ピボットエリアの回転をしないでも、真っ直ぐにバック駐車できるシミュレーションです。

  1. 駐車スペースに対して車の後方を向けながら車を斜めに傾ける。
  2. 駐車スペースの入り口に向かってバックしていく。
  3. 駐車スペースの入り口に車の後部が入ったら一旦停止する。
  4. 車を前進させながら車体を真っ直ぐにする。
  5. そのまま駐車スペースの中へバックする。

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駐車スペースの入り口まで車を持って行くところまでは通常のバック駐車と同じです。違うのは、車の後部が駐車スペースの良い位置(車が駐車スペースの中央に入った位置)で、ここで車体を真っ直ぐにしたい位置まで入ったら、一旦停止して、少し前進させながら車を真っ直ぐにします。

当然ハンドルも真っすぐになっています。車が斜めになってしまう人の多くは、ハンドルが真っすぐの位置になるのが分からないのです。バックしながらハンドルを真っ直ぐにするのは分かり憎くても、前進で真っ直ぐにするのはとてもわかりやすいです。

私の観察では、バック駐車を一発で完璧に出来る人はそれほど多くはありません。一発で入っても真っ直ぐになっていない人が多いのです。また、一回前進して入れ直す人は意外に多いです。

どんなに混雑した駐車場でも、一度前進して入れ直すのは自然な駐車風景です。焦って車を斜めにしてしまうより、余程運転上手と認識されます。

車体が斜めになる原因

ハンドルの真っすぐの位置が分からないから

バックの時にハンドルが真っ直ぐになっているかの判断は、ある程度の距離をバックで走らないと分かり憎いのです。

通常のバック駐車の場合には、工程の半分は回転運動で、直線的にバックする距離が限られています。その中でハンドルが真っ直ぐの位置にあるかどうかを判断するには、

  • 前方の景色と車体の方向の関係を見比べる。
  • ハンドルの向きや軽さを感じ取る。 などの感覚的な情報から短い時間で下さなければなりません。

バックしながら真っ直ぐにしようとするから

前述したように、前進に比べてバックで車を真っ直ぐに保つのは難しくなります。前進に比べて、少ない情報の中で、時間的にも、距離的にも短い範囲で行わなければなりません。

真っ直ぐに調整するタイミングが遅いから

斜めになってしまう多くの場合、車が駐車スペースにほとんど入ってからも、ハンドルを右に左に回して調節しようとしています。

しかし、僅か数メートルの間に車体を真っ直ぐに調整するのは至難の業です。バックしながらだけでも難しい上に、短い距離での調整は斜めになって当然なのです。

駐車スペースの入り口で真っ直ぐになっているのが理想です。そこで真っ直ぐになっていない場合は、前進して真っ直ぐにする方が簡単です。

サイドミラーは白線がないと不正確だから

バック駐車でサイドミラーは重要な役割をします。駐車スペースの中に入ってからサイドミラーで白線との間隔を確かめながらバックしますが、この時のサイドミラーでの確認は、真っ直ぐな状態を維持するための確認であるべきで、曲がっているものを真っ直ぐにしようとするためではないようにしたいのです。

駐車スペースに入ってからサイドミラーを頼りに真っすぐに調整しようとしていると、白線がない駐車場では真っ直ぐ駐車することが困難になります。

駐車スペースの入り口付近で真っ直ぐな状態にしておくべきで、サイドミラーは曲がらないように、隣の車に接触しないように確認するために使います。

  • 車庫入れでバック駐車する時は45度になるように車を斜めにする。
  • 内側の後輪がピボットエリアに近くなるように近づける。
  • サイドミラーを見ながら内側の白線(枠)に合わせるようにバックする。

大体このようなアドバイスが多いと思います。しかし、車庫入れ、バック駐車が苦手な人には肝心なところが伝わっていないように思えます。

  • 具体的にどの位置でハンドルを切るのか?
  • どの角度で斜めにするのか?45度が理想なのか?
  • 何のためにそうするのか?
  • どうすれば出来るのか?

その辺りのことを詳しく説明します。

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できるだけ0度の角度を目指す

車庫入れで一番簡単なのは、ハンドルで操作することなく、車庫まで真っ直ぐバックするだけで済むことです。つまり、0度の角度で入ることですが、そういう車庫や駐車場はほとんどありません。

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<画像:0度の角度で入るのが理想>

多くの人が間違えているのは、45度が最善だと思って、まだ余裕があるのに0度に近づけないで車庫入れしていることです。45度より40度、40度より30度と、スペースが許す限り0度に近づけるように車を斜めにしようとする意識が重要です。なぜなら、その方が楽になるからです。0度に近づくほど、外側の見通しが良くなり、隣の車や障害物との距離感も把握しやすくなります。

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<画像:45度より0度に近づける意識が重要>

そのためには、通路に進入して来る時から位置取りが決まります。出来るだけ車庫(駐車スペース)寄りに進入しなければなりません。出入りの激しい駐車場では歩行者や、出ようとする車にも注意が必要ですが、可能な範囲で寄せて行くようにします。

よく言われる45度というのは、結果的に45度のように見えるだけです。多くの駐車場の通路が似たようなスペースなので、結果的に45度に見えますが、45度を目標にするのではありません。先入観があるので、もっと0度寄りに傾けられるのに、45度ぐらいで満足しているだけです。

通路スペースを最大限に利用して、可能な限り0度に近づけるように車を傾けます。45度が理想ではないのです。

ピボットエリアと内側後輪を最短にする

0度に出来る車庫(駐車場)でない限り、角度があるので外側の後方は、車庫(駐車場)の枠や白線が確認できません。隣の車や障害物との距離感を頼りにするしかありません。

安全な方法として、見通せる内側後方を基準にします。基準点は、内側の枠や白線と入り口の水平ラインが交差する点=ピボットエリアです。

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<画像:ピボットエリアとは>

外側の後方が見通せないので、内側の空きを基準内に抑えて、外側が確認できなくても安全な範囲に収めます。つまり、車庫(駐車スペース)の中央よりやや内側に寄せていく意識をします。

そのようにピボットエリアを目標とするので、できるだけピボットエリアに、内側の後輪が最短距離になるように車を位置づけます。

この時点で、

  • 車を可能な限り0度に傾ける。
  • 内側の後輪を最大限ピボットエリアに近づける

という2つの工程をクリアするようにします。

「運転席が駐車スペースの奥のラインに来たらハンドルを切って・・・」などの目安でなく、自分の車の後輪を意識します。後輪がピボットエリアに近くなるような位置でハンドルを切るという意識です。

ピボットエリアまでは直線でバックする

車を前進させる場合は、どんなにハンドルを操作しても方向をコントロールできますが、バックさせる場合は、方向のコントロールが難しくなります。

車を傾けた位置から、駐車スペースの入り口まで、円弧を描きながら方向をコントロールするのは、とても難しい技術になります。車体の角度を0度に近づけることと、入り口に合わせることの2つのことを同時に行うためです。





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<画像:回転しながらと直線でバックする比較>

それより、工程を2つに分ける方が簡単です。

  1. ピボットエリアまで真っ直ぐ(直線的に)バックする。
  2. ピボットエリアに入ったら初めて回転する(車の角度を0度にする)

直線的にバックするために、斜めに傾けた後、ハンドルを真っ直ぐな位置に戻す操作が必要になります。停止した状態で(微かにバックさせながらでも可能)ハンドルを戻します。

バック駐車が苦手な人の原因は、

  • 車の斜めにする位置取りの悪さ。
  • 回転させながら入り口までバックさせる難しさ。

の2つです。この時点までで、この2つの原因をクリアしています。

ピボットエリアで初めて回転する

ピボットエリアより手前で回転してしまうと、回転する基準点がないために、回り過ぎたり、足りなかったり、入り口の枠からズレてしまう可能性が高くなるからです。

極端にイメージするとこうです。駐車スペースから離れた位置で回転して、駐車スペースの枠に収まる角度にするのと、ピボットエリアに入ってから回転して枠に収めるのとの難易度が違います。

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<画像:入り口の遠くで回転とピボットエリアでの回転の比較>

入り口から離れて回転した場合は、

  • 車体の角度を比較する基準線が車の側面にない。
  • 駐車スペースの入り口の枠のどの位置にあるか判断しにくい。

という欠点があります。ピボットエリアで回転すれば、車の側面には枠や白線があり、入り口には既に入っています。ピボットエリアで回転するメリットは大きいのです。

車が真っすぐ(0度)になったかどうかの判断は、両側の車両や前面の景色との関係で判断しますが、この時点では完璧に真っ直ぐになっていなくても構いません。

左右の空きが均等になるようにバックする

ピボットエリアで回転した後の状態は、ピボットエリア側(回転の内側)寄りに車があるのが普通です。これは、見通しの悪い外側の空きに余裕を持たせたためです。このままの状態で真っ直ぐに奥までバックしても支障はありません。

更にバック駐車の質を高めるならば、サイドミラーを見て、左右の枠や白線との空きが、均等になるようにハンドルを微調整しながら、ゆっくりバックしていきます。

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ポイントは、どちらか片側だけを基準にしないことです。あくまでも左右の空きが均等になるように操作することです。サイドミラーから見るとボディーと白線は、平行であっても先の方が狭くなっているように見えます。片側だけで白線や枠と平行になるように合わせようとすると、折角真っ直ぐになっていた車体が傾いてしまう原因になります。

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両方のサイドミラーを交互に見ながら、ボディの後方の側面と、枠や白線の空きが左右で均等になるように調節しながらバックします。そうすれば、駐車スペースの中央に止められます。

ピボットエリアで回転した時点で車体が真っ直ぐ(0度)になっていなくても、左右の空きが均等になるようにバックして行く過程で、車体は真っすぐに調整されていきます。

以上のように車庫入れ(バック駐車)を完了させるために、最初に斜めにする車の位置が決まるのです。


バック駐車が斜めに曲がる原因が分からずに悩んでいませんか?

私も同じでした。

バック駐車で斜めに曲がるとカッコ悪いんですよね。

 

バック駐車で斜めに曲がることなく、

真っすぐに駐車できる人は、

「この人駐車うまい!」と見られます。

 

バック駐車で曲がる原因ははっきりしています。

原因が分かれば、

あなたもカッコよく真っすぐ駐車できます。

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バック駐車で斜めに曲がる原因は?


バック駐車で斜めに曲がるのは3つの原因があります。

  1. 内側のサイドミラーに意識を集中していない
  2. ハンドルを回す方向と車が曲がる方向が混乱
  3. バックする速度が速すぎる

1.内側のサイドミラーに意識を集中していない

バック駐車で最も注意を集中させるものは、

内側のサイドミラーです。

 

左からバックするなら左側のサイドミラー、

右からバックするなら右のサイドミラーに集中します。

 

ルームミラーを見たり、

窓から顔を出して覗いたり、

身体を捻って半身で後ろを振り向いたり、

余計な確認動作の分だけ多すぎる情報で混乱するのです。

 

曲がっていく内側のサイドミラーに集中します。
もっと詳しい理由はこちらを参考にしてください。
→バック駐車のコツはたった1つ

2.ハンドルを回す方向と車が曲がる方向が混乱

ハンドルを回す向きが、

前進する時には分かるのに、

後ろへ下がる時には分からなくなってしまいます。


ハンドルは前進も後進も同じです
ハンドルを左に回せば左へ曲がり、
右へ回せば右に回ります。


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初心者は前進と後進で、
ハンドルを回す方向が、
逆になるのではと錯覚しているケースが多いです。

頭では分かっていても、
感覚的に間違えている場合が多いと思います。

 

3.バックする速度が早すぎる

初心者ほど後ろから来る車を気にします。
駐車場でもたもたしてると思われたくないのです。


後ろから車が来ていても、
バック駐車は
意識的にゆっくりした速度に落とします


焦って何度も切り返しをして待たせるよりも、
結果的には早く駐車して迷惑をかけません。


技量に比べて速度が早すぎると、
間違った方向へ余計に動いてしまうのです。

バック駐車で斜めに曲がるのを解決する方法

サイドミラーを見ながらゆっくりバックすれば良いのですが、
それには2つのコツがあります。
ハンドル操作と境界線です。

送りハンドルで少しづつ回す

両手を交差させるクロスハンドルは、
回転が速すぎて曲がり過ぎてしまいます。


ゆっくり曲がりながらバックしていくには、
送りハンドル(プッシュプルハンドル)の方が正確に操作できます。

言葉で説明するよりも、
分かりやすく実演した動画があるのでご覧ください。


(出典:『
クルマの運転の基本 ~ハンドル操作(回し方)~ 「プッシュプルハンドル」by YouTube)

片手でプッシュして(送って)片手でプルする(引く)ハンドル操作です。


参考までに、このハンドル操作はバック駐車だけでなく、
左折する時にも、右折する時にも使うと安全性が向上します。


歩行者や自転車、バイクの左折時の巻き込み、
右折時に右から来る歩行者や自転車との衝突を防ぎやすくします。


なぜならば、
ハンドルを少しづつ回すので、
それに伴って車の曲がる速度が抑えられるので、
周りを確認する余裕ができるのです。


クロスハンドルは一気に回転させるので、
車が曲がる速度も速くなってしまうので危険です。

片方(内側)の境界線だけに沿ってバックする

駐車スペースの真ん中に止めるのが理想です。
駐車スペースの左右に均等に空間を開けられるのは快感です。


しかし、最初からそれを目指そうとすると、
左右のサイドミラーにきょろきょろ視線を動かして、
肝心の境界線に沿って真っすぐにする注意が薄れます。


初心者は、駐車場のど真ん中に止めることよりも、
車を曲げないで駐車できることを目指すべきです。


内側のサイドミラーに映る境界線と、
車体が平行になることを意識します。


左右の境界線を意識するのでなく、
片方(内側)の境界線だけに集中することです。

こうして真っすぐ駐車できるようになってから、
外側のサイドミラーも見るようにして、
左右の空間を均等にすることを目指します。

注意を分散せずに的を絞る

 初心者がバック駐車で斜めに曲がるのは、
余計な情報を確認しながら、
余計な操作をするからです。


その上速度を緩めないのですから、
失敗しやすいのも当然です。


バック駐車に必要な最低限のポイントに的を絞って、
ゆっくり落ち着いて運転すれば、
誰でもバック駐車は克服できます。

サイドミラーで内側の境界線に集中して、
ゆっくり送りハンドルしながらバックしてください。


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