左側からのバック駐車は一回で入るのに、右側からだと何故かいつも合わなくて、何回か切り返すことが多い。同じバック駐車でも、左と右では全く同じ感覚でできない。そういう人もいるかと思います。

  • なぜ右側からだと上手くできないのか?
  • 改善する方法はないのか?

上手く出来る左側のバック駐車は、なぜ上手く出来ているのか?その理由が右側からのバック駐車で活かされていないのではないのか?

右側からのバック駐車が上手く出来るように、失敗する原因を求めながら、どうすれば左側のバック駐車のように上手く出来るのか考えてみたいと思います。

左側では無意識に出来ていることを、再確認する作業になるかも知れません。バック駐車の本質は、左側からでも右側からでも変わらないのですから。

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右側からのバック駐車が苦手な理由

右側より左側からの駐車がやりやすい感覚

日本では車は左側通行なので、自動車学校で教えられた「キープレフト」(道路の左側を保ちながら走行すること)を基本に走りますので、運転中の注意は助手席側の方が多くなります。

左側の路肩に停まっている車を避けたり、左前方を走る自転車やバイク、路線バスなどを追い越すタイミングを図ったり、左の路肩に停車や縦列駐車をしたり、左折をする時の巻き込みを気を付けたり、左側を意識している割合は右側より多いのです。

右側の障害物より、左側の障害物との距離感の方が、普段の運転の中で判断している頻度が多いので、バック駐車の際にも、右側より左の側の方が、他の車との距離感がつかみやすいのです。

例えば路肩に車を停車させるのは、ほとんど左側の路肩です。(一方通行の道路で右側の路肩に停車させる場合もあります)

車を左にギリギリ寄せる方が、右に寄せる経験にょり圧倒的に多いのです。バック駐車でも、左に停まっている車にギリギリ寄せる感覚の方が、右側の車へ寄せていく感覚より安心感を持っているのです。

左側に比べて右側では、隣の車への寄せ方が離れてしまうのが、右側のバック駐車が上手く出来ない人の原因です。

また、駐車場でも通路を左側に寄って入ってきますので、始めから左側の駐車スペースから近い位置にいます。右側の駐車スペースへ駐車するためには、一旦右側に大きく寄って行く操作が、心理的にも操作的にも負担になることもマイナス要因です。

左側と同じ位置と角度で車を斜めに傾けていない

運転席から見て、助手席の窓から見た感覚と運転席側から見た感覚、また、左側のサイドミラーから見た感覚と右側のサイドミラーから見た感覚は異なります。

同じ様な位置でハンドルを切り、同じような角度に車を傾けても、左側と右側に駐車する場合では微妙に変わってきます。

右側のバック駐車だけ上手くできないのは、左側のバック駐車の場合と、位置や角度、ハンドルを切るタイミングなどが違っている証拠です。

距離感や見た景色が左右で異なるのですから、当然ではあるのですが、どうしたら右側も上手にバック駐車出来るか、問題点を解決する方法はあるはずです。

失敗しない右側のバック駐車

右側のバック駐車が失敗する原因は、右側の間隔を空け過ぎてしまうからです。どの時点で空け過ぎてしまうかというと、右隣りの車との間隔(車が停まっていない場合は白線)、もっと厳密に言えば、右隣の車の前方左側の角との間隔(車が停まっていない場合はピボットエリアとの間隔)が空き過ぎてしまうのです。

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<出典画像:『ピボットエリアとは』>

では、空け過ぎないようにするためにはどうすれば良いでしょうか?

  • 右側後輪を右隣の車の左前方の角(車がない場合はピボットエリア)に近づけるようにハンドルを左に切る。
  • 車を駐車スペースに限りなく垂直になるように、出来るだけ駐車スペースに寄せてから左にハンドルを切る。
  • 右隣の車の角(ピボットエリア)には、カーブでなく直線で近づく。 この3つの原則を守れば、切り返しすることなくバック駐車が出来ます。(この3つの原則は左側の場合でも同じです)

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<出典画像:『バック駐車の3原則』>

「隣の駐車スペースの奥の白線が運転席の横に来たらハンドルを切る」とか「車を45度に傾ける」とかの形式的な目安は忘れてください。

後輪を近づける位置でハンドルを切り、出来る限り大きな角度をつけ、真っ直ぐ下がる。

ハンドルを左に切る位置は、車によっても駐車場によっても変化します。固定的な感覚でなく、後輪が近づけるようにハンドルを切ります。

45度ぐらいに車を傾けるのではなく、めいっぱい可能な限りの大きな角度になるように車を傾けます。

左に切ったハンドルを戻しながらカーブでバックしていくのではなく、ハンドルを真っ直ぐに戻した後に、直線的にバックしていくのです。カーブで近づこうとするから離れてしまうのです。バックしていく目標は、右隣の車の角(ピボットエリア)です。

大きな角度で右隣の車の角(ピボットエリア)に寄せることが出来れば、その場所で車が真っ直ぐになるように回転するだけです。大きな角度で、角(ピボットエリア)に寄せられれば、小さな回転だけで車を真っ直ぐに出来ます。

バック駐車を失敗しないための補足

バックする速度を意識してゆっくりにする

車を左に出来るだけ傾けてからバックを開始する時、速度を意識して遅くする程、バック駐車の精度は上がります。

車を左に傾けた状態では、ハンドルは左に向いています。バックを開始するのとハンドルを戻すのを同時に行うと、どうしてもハンドルを戻す方が遅れて、真っ直ぐの位置に戻らない内にバックしていきます。

そうすると、車は左後方に一旦進み、ハンドルが右に戻るに従って、車も右後方へ向きを変えていきます。

そのままハンドルを右に一杯に回して、右後方へカーブしてバックしていくやり方をすると、右隣の車の角(ピボットエリア)から離れやすくなります。

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<出典画像:『ピボットエリアから離れてしまう原因』>

それを防ぐためには、バックを開始する前にハンドルを真っ直ぐの位置に戻しておくのです。車が停止した状態でハンドルを真っ直ぐにするのが確実です。慣れてくると、ほんの少し動かしながらハンドルを戻せるようになります。

車を左に傾けた後は、バックする前に(ほんの少し動いても良いが)ハンドルを真っ直ぐにすることを意識してほしいのです。目標までカーブしながら近づくより、直線で近づく方が正確だからです。

ミラーの確認は3拍子

バック駐車ではミラーを頼りにバックしますが、一つのミラーだけを集中するのではなく、ルームミラーと左右のサイドミラーの3つのミラーを均等に見るようにします。

例えば、左サイドミラー→ルームミラー→右サイドミラー→ルームミラー→左サイドミラーという具合にです。そのためには、車をゆっくり動かすことを意識します。

この3拍子を習慣にしておくと、車を後退させるあらゆる状況で行うようになります。近づいてくる車や人などの早期発見にも役立ちます。

私は前向き駐車したコンビニなどの駐車場からバックで出る時、この3拍子の確認はとても有効だと感じています。車の後方をまんべんなく見ていないと、とても危険なのです。

自転車でも練習できる

自分の家の車庫や駐車場でバック駐車の練習をする場合、車でなく自転車でも(バイクでも)可能です。

例えば右からのバック駐車を練習するとしたら、自転車の前輪を車の右側前輪、自転車の後輪を車の右側後輪に見立てます。

通路から入って来て、駐車スペースに寄って、自転車の後輪を奥の角(ピボットエリア)に近づけるように左にハンドルを切ります。出来るだけ大きな角度のなる様に傾けたら、ハンドルを真っ直ぐに戻します。そのまま目標まで真っ直ぐ近づき、後輪が近づいた位置でハンドルを右に切って自転車を真っ直ぐにします。

自転車でも、ハンドルの向きとタイヤの向きの関係、真っ直ぐ下がりながら目標まで近づいて行く感覚、回転をするポイントとハンドルの切る方向などの感覚が得られます。