- 車線変更をする時に車の間に入れてもらうタイミングがつかめない。
- 駐車場で後ろの車の事ばかり気になって焦ってうまく駐車できない。
- 流れにうまく乗れていないのではと後ろの車が気になって仕方がない。
免許を取っても、最初から一人で運転できない人は多いです。私も数カ月の間、父や友人に助手席に乗ってもらって、家の近所や良く出かける場所まで一緒に付いて来てもらいました。自動車学校を卒業できても、自分の技能にまだ自信が持てていなかったのです。
車の免許を取ってから半年しても、まだ一人で運転できないとしたら、運転中に感じ取った危険や不安を、自分で回避する判断ができないためです。
感じ取った情報を、自分で判断して、体を通して車を操作する回路が出来ていないのです。この回路がスムーズに流れるようにするには、同じような場面を繰り返して、情報の感知から、判断、操作の流れを知識でなく、体の神経に覚えさせるしかありません。
反復練習が必要なのですが、一人で行うことが不安な場合は、運転経験の豊富な人に同乗してもらって、アドバイスを受けながら練習する以外に方法はありません。
具体的にどういう方法が良いのか考えてみました。まだ一人では運転できない中年主婦へのアドバイスになれば幸いです。
同乗者に横に付いてもらって練習する
自分の運転を助手席から冷静に見てもらいながら、前もって指図するのではなくて、操作した後から悪い点を指摘してもらうのがよいですね。
あくまでも、状況の判断と操作は自分で行います。その結果についてアドバイスを受けます。判断や操作の仕方までリードしてもらっていては、中々自分の力が身に付きません。
問題は誰に乗ってもらい、どんな内容の練習をするかです。
家族や友人に同乗してもらう
一番手軽なのは家族や友人に同乗してもらうことです。ただ、近しい関係なだけにアドバイスが感情的になってしまう危険性があることです。
ベテランドライバーから初心者を見ると、「どうしてこんなことができないのか?」「どうしてそんな判断をするのか?」理解できないと感じてしまいます。自分も通ってきた道なのにです。
教えようとする側と教わる側の双方に忍耐力がない場合には、両者の間で衝突が生じます。どちらも一生懸命になるほど、もどかしさや焦りが高まって、不満が爆発してしまいます。
教える側と教わる側のどちらも、
- 直ぐに結果を求めずに、繰り返すことを目的にすること。
- 指図でなく評価と改善に徹すること。
- 判断と操作は運転者の主導で行うこと。
経験豊富な同乗者は、初心者をコントロールしようとします。初心者にもプライドがあるので、全てを指図されたり否定されたりすることには耐えられません。運転を見てもらって、評価して、改善点を指摘してもらうようなやり方が良いのです。指導を受けるのではなくて、アドバイスをもらうことです。指導者の資格はないのですから。
「ペーパードライバー教習」を受講する
家族とでは喧嘩になってしまう、付き合ってくれる都合の良い友人もいない。誰にも知られずに運転が上手になっていたい。そういう場合の、次の選択肢としては「ペーパードライバー教習」が適しています。
自動車学校のペーパードライバー教習
自動車学校では、ペーパードライバーを対象とした「ペーパードライバー教習」のサービスを実施しているところが多くあります。
自動車学校のペーパードライバー教習は、資格をもった教官が、学科も実技も本科を基本にして行います。使う車両も補助ブレーキと補助ミラーが付いた教習車両を使うので、信頼感と安全性があります。
自動車学校のペーパードライバー教習の特徴としては、次のようなことが挙げられます。
- 急ブレーキの練習など、知識を持たずに路上では行えないようなことができる。
- 自宅から良く行くスーパーや幼稚園などの希望のコースや、車庫入れなど苦手な部分を集中して教えてもらえる。
- 貸しコース・貸し車できるところもある。貸しコースはマイカー持ち込み(3年以上の免許の同乗者が条件等)コースの中を走れます。
- 講習時間も柔軟に変更や追加ができる。
- 送迎サービスも本科の教習生と同じように利用できる。託児所のあるところもある。
- 教習中の事故があった場合、自動車教習所が加入している専用の保険が適用される。
- 繁忙期(1月から3月、7月から9月)は実施していないところもある。
出張型のペーパードライバー教習
指導員(サポーター)に自宅まで来てもらって講習を受けます。こちらも希望したコースや集中して練習したいポイントを選べますが、自動車学校のものとの違いは、
- 自動車学校のものと比べて料金体系が少し高めの設定。
- 最後まで同じ指導員が出張して教える。
- 講習の時間は受講する側の希望で決められる。
- 子供も同乗させて講習を受けることも可能。
- マイカーに補助ブレーキをつけて受講することも可能だが、条件付きな場合もある(最初の受講からは出来ない場合や、事故の場合の保険は適用されない場合など。)
- 教習中の事故は、教習車両の任意保険の範囲内に限定される。
どちらのペーパードライバー教習でも、短い受講時間で完全に体に覚えさせることは出来ません。正しい運転操作を実践的に知ることが重要で、体に馴染ませるには、やはり繰り返しの練習が欠かせません。
ただ、ペーパードライバー教習を受けたことで、一人で練習する自信になります。一人で練習することができるための手段と考えるのが良いと思います。
(注意:教習中の事故の場合、免許を持っている運転者にも刑事・行政・民事の責任は発生します)
一人で練習する時のコツ
一人でどこへでも自由に行くにはまだちょっと抵抗があるけれど、一人で練習することは出来るようになったら、自分の苦手に思う所を納得がいくまで練習します。その時にちょっとした練習のコツがあります。
若葉マーク2枚を車の後部の目立つ位置に貼る。
初心者の意識が集中してしまうのが、自分の後ろの車のことです。本来は前に集中していなければならない時に、後ろの車が自分の車にどう見られているかが気になってしまうのです。
「運転が下手と思われたくない」、「後ろの車に迷惑をかけたくない」という思いがそうさせます。バックする時と車線の変更、右左折などの軌道を変える時以外は、前方に意識がなければなりません。
若葉マーク2枚を後部に貼っていれば、後ろの車は初心者として扱ってくれます。上手く見せようとか、迷惑かどうかとか無駄なことは考える必要はありません。後ろのことは若葉マークに任せて、前方に集中します。
確認の前に合図を出してしまう
車線変更でも合流でも右左折でも、発車する時、駐車や停車する時でも、全ての動きの前には、ウインカーやハザードの合図を、確認する前に出してしまいます。
周りの車にとって一番迷惑なのが、合図と同時に車の進行方向を変えられることです。前の車の合図が早い程、後ろの車はその変化に余裕を持って対応できます。
ところが、運転が下手な人程、確認をしてから合図を出そうとします。車の流れの中では瞬間的な判断が求められます。タイミングを見定めてから合図を出していたら、合図と移動の間隔が短くて、周りの車から見れば急な変化と感じられてしまいます。
合図を出してから移動のタイミングを慎重に確認します。そしてそのタイミングに合わせて遅れないように移動します。そうすれば、合図から移動までに間があるので、周りから視認させやすく安全性が高まります。
更に、合図を出すことによって、周りの車(後ろの車)に意志が伝わり、そのためのスペースを空けてくれます。合図には、なかったスペースを作ってくれる働きもあるのです。
移動のタイミングを見定めてから合図を出すのではなく、合図を出してからタイミングの確認作業に入るようにします。車線変更が苦手な人は、合図を出さないまま、入り込む隙間を見つけられずに、焦ってしまうのです。この状態は後ろの車からしたら危険です。合図も出さずに、隙間ができた瞬間に前に飛び込んでこようとするのですから。
隙間の確認などする前に、思い切って先に合図を出してみてください。なかった隙間がさっとできたりしますから。合図を出したからといって、確認もせずに車線を移動するわけではありません。合図を出してから、慎重にタイミングの確認作業に入るのです。
遠く前方だけ見てサイドや後方は移動する時だけ見る
若葉マークのところでも言いましたが、初心者ほど自分の後ろの車を気にします。直進している時には後方を気にしても全く意味がありません。
初心者で運転が苦手と感じている原因は、運転中の神経を2倍使っていることも一つです。前方だけ注意していればよい場面で、前と後ろの両方に注意を払ってしまっているのです。
サイドや後方への注意は、車を直進させている状態から変化させる時だけで良いのです。運転の多くの時間は直進しているだけです。注意を払う割合を適切にしただけで、運転がとても楽になるはずです。
私の運転はこんな感じです。一般道などを直進している時はルームミラーもサイドミラーも見ません。例えば、左前方に自転車が走っているので追い越そうとします。自転車を避けるため、右に少し車の方向を変化させるので、初めて右サイドミラーで右後方を確認します。自転車を追い越してまた左に移動する前に、左サイドミラーで左後方を確認します。直進している時には前方しか見ていませんが、数センチでも車の方向を変化させる前にはサイドミラーで必ず確認します。信号待ちで停車している時に、ルームミラーやサイドミラーで車の周囲を確認しています。ルームミラーは車線の多い道路とか、速くて車の量も多いような幹線道路、高速道路でしか使いません。
一人の練習に向いている場所
私や家族が運転免許を取った後、よく練習の場所として利用したのが、区画された大きな住宅地です。近くに大きな新興住宅地あって、その区画の中は碁盤の目のように区画された道路が走っていました。住宅地なので、交通量もほとんどありません。道路の幅も5メートル以上と余裕がありました。
この区画の中を思いのまま縦横無尽に走ります。自動車学校で習ったことを思い出しながら、慎重に運転しました。特に慣れなかったハンドル操作にはとても効果がありました。右左折で回り過ぎたり、周り足りなかったりすることが矯正されました。
住宅地にはところどころに公園があります。トイレや疲れて休む時は公園の横に車を止めました。公園の横に駐車する時には、縦列駐車の練習ができます。大き目の公園には駐車場がありました。空きスペースでバック駐車の練習もできました。
バック駐車の練習でしたら、今ならショッピングモールなどが良いと思います。土日、祝日を避ければ、利用者のいない駐車場の片隅でなら迷惑にはならないでしょう。
練習の初期には、自分の住んでいる近くに安全な練習場所を見つけて、車の多い道路では出来ない練習をするのが良いですね。幅寄せ(切り返し)、縦列駐車、バック駐車などです。それで自信が付いたら、次に片側1車線の道路、片側2車線の道路、駅前や繁華街、そして長距離運転、高速道路という風に難易度を上げていきます。
自信をつけるには練習あるのみ
免許を取ったからには、どこでもスイスイ運転できて当たり前という考えが、「自分はどうしてできないんだろう?」という劣等感につながります。
免許は道路を車で走っても良いという許可であって、運転が上手いという保証ではありません。調理師免許を持っていても料理の下手な人がいるように、資格に縛られないことです。
道路で運転の練習ができる許可をもらったと考えて、基礎からじっくり練習すれば良いのです。運転の技術向上には際限がありません。何年運転しても「これで完璧」などということはありません。むしろ退化していることもあるのです。
安全に無事故・無違反を理想として、そのための運転技術に励みます。その立場はベテランドライバーも免許取り立てのドライバーも対等です。日々練習に励むつもりでいなければ、どのドライバーも安全を守れません。
自信は練習からしか生まれません。