マンションの駐車場は、できるだけ駐車スペースを確保するために、機械式の立体駐車場になっているところが多いです。
平置きの駐車場になれた人にとっては、鉄で囲まれた狭いカゴの中に、無理やり押し込むようで、とても違和感を覚えます。
- 後ろに何台も待っていると、せかされているようで焦ってしまう。
- パレットに乗る時に段差があり、アクセルを踏むのをいつも緊張する。
- 人目もあるし、前に平置きの車があるから自由に練習できない。
- 斜めにバックして入れる時に、外側のタイヤが確認できなくて怖い。
仕事からマンションに帰って来て、機械の前で何人も待っている人がいたら嫌になるでしょう。
休日ともなれば、一層混雑するでしょうし、駐車が苦手な人にとっては、下手な運転をじっと見られているようで、気が重くなります。
空いている夜中に練習するのも、騒音で迷惑がかかるので出来ません。もやもやした気持ちのまま、嫌々ながらなんとか苦手なバック駐車をしているのではありませんか?
ターンテーブルもない。前向きに入れるスペースもない。バック駐車するしか方法がなくて、いつも四苦八苦している人のための対策です。
切り返しをルーチン化する
車を真っ直ぐにすることをルーチン化する
後ろで車が待っていたり、機械の前に居る人から見られていると思うと、バック駐車を一発で決めて、運転が苦手なのがばれないようにとパニックになるのが最も危険です。
それよりも、最初から切り返しの回数も決めて置き(何度かやってみれば、切り返しに必要な回数は分かります)、駐車スペースに対して車を真っ直ぐに(垂直に)します。
これは、一発で入ろうとして駄目だったからやり直す切り返しではありません。ルーチンです。ラグビーのゴールキック前にキッカーがやるルーチンと同じです。
焦ってやる切り返しではなく、決まり事のルーチンなので、何人見ていようと、後に何台車が待っていようと、堂々と自信を持って、当たり前のように振舞えます。
車が真っすぐになるのを目的にしたルーチンなので、切り返しの動作も素早いです。焦ってどうしていいか、もたもたやってる切り返しではありません。真っ直ぐになることだけに集中すれば良いのですから。
切り返しでハンドルを切るのは前進だけ
切り返しとは、車を前後させながら左右に移動させる操作です。車を傾けるには前進する時と、後退する時に行えます。しかし、前進の時の方が後退の時より遥かに安全で分かりやすいです。
切り返すスペースが狭い上に、後ろに鉄の柱が控えているのですから、安全の上からも、正確性の面からも、車を傾ける(つまりハンドルを回す)のは前進の時だけに限定します。
後退の最中に左右を確認しない
切り返しの最中で、車を傾ける(ハンドルを回す)のは前進の時だけに限定しましたので、後退している時はルームミラーかバックモニターで真後ろのぶつかりを警戒するだけです。
サイドミラーをキョロキョロ確認するのは、車を傾けさせるために必要な行為で、後退する時はハンドルを回さないのですから必要ありません。
サイドミラーを見ながら車を左右に操作しようとするのが、一番時間がかかり、難しい動作なので、この部分が必要ないようにする対策でもあります。
切り返しの最中は、後退時にはサイドミラーは見ない。見るのはルームミラーとバックモニターだけです。サイドミラーは、切り返しで前進して停止した時に、初めて入り口の中央に来たか、真っすぐになったかを確認するために見ます。
次の動画はありがちなバック駐車の例です。どこに時間をかけているか注目してください。切り返しのためにバックする時にサイドミラーで確認しています。これは斜めの体勢のまま、出来るだけ早く入庫したい心理から、「まだ、入れないだろうか?」と確認しているからです。
更には、パレットに乗った後も、斜めのまま入庫したために、車体を真っ直ぐにしようと、バックしながら位置を調節しています。そのために時間が掛かっています。
入庫する前に、ルーチン化した切り返しで素早く車体を真っ直ぐにしてしまえば、後は時間をかけずに駐車スペースの奥まで真っ直ぐ後退できるのです。
(動画:マンションの駐車場が立体駐車場です。切り返しをしないと無理―YouTube)
切り返しのスペースが十分にない場合は、パレットの前部に乗り上げて利用します。この場合でも、斜めのまま回転しながら、真っすぐになるようにハンドルを回して下がるより、車体を先に真っすぐにした方が、結果的に速く駐車を終わらせられます。
入庫する時はサイドミラーを下げる
切り返しで車が真っすぐ入り口の中央に来ました。いよいよ入庫です。後はハンドルは微調整だけでバックします。パレットに乗り上げる段差の確認、パレットの溝の壁にタイヤやホイールを擦らないように、サイドミラーはバックする前に下げておきます。(下げなくても普段から見える状態の角度になっていれば必要はないです)
車幅が広くてサイドミラーを入庫前に折りたたまないといけない場合は、切り返しの時点で、車を真っ直ぐにする精度を高める必要があります。後輪がパレットに乗って、サイドミラーに柱が来るまでは見ていられます。
バックモニターが搭載されていれば、サイドミラーの補完になります。パレットの中央を維持するように注意していれば、大きく左右にズレることはありません。
普段から、コンビニやスーパーの駐車場にバック駐車する時には、駐車スペースの中央に停められるように意識することです。サイドミラーなら左右の空きが均等になるように、バックモニターなら緑の枠が中央に収まるようにします。
最後に大事なことは、「危ないかも?」と思ったら、直ぐに停めて確認することです。最悪車から降りて確認しても構わないのです。
平場の駐車場の感覚・やり方と区別する
機械式の立体駐車場には、平場の駐車場にはない違和感があります。段差や溝、檻のような構造、サイドミラーをぶつけてしまいそうな狭さ。
バック駐車に自信がない人は、必要以上に見た目による恐怖感を覚えるのです。苦手意識に更に不安が重なって、その上、後ろに順番待ちされて注目されるのですから、パニックになるのは当然です。
でも、運転が上手な人程、苦手な人には優しい眼差しを向けるものです。焦りながら急いで何度もやり直すより、遅くても落ち着いて確実な人の方が有難く思うはずです。
不安や恐怖を克服するには意識を変えることです。平場のバック駐車のやり方は捨てて、機械式立体駐車場専用のバック駐車に変えることです。
車を斜めの位置から回転させながらバックして入れるのはとても難しい技術です。平場では白線を踏んでも支障はありませんが、機械式立体駐車場では鉄骨の柱に激突します。
車を斜めに傾け、一発で入るのは平場のやり方です。機械式立体駐車場では、車を真っ直ぐ(垂直)にするために何度も切り返すのです。失敗した切り返しでなく、予定通りの切り返しです。ルーチン化です。この意識改革が必要です。
「一発で決めないと恥ずかしい」のは平場の駐車場の感覚です。入庫する前に車体を真っ直ぐにするのが機械式立体駐車場の感覚です。
真っ直ぐの位置からバックするだけなら、慌てることも、サイドミラーの死角も、入り口の段差も、パレットの溝の不安も全てなくなるのです。