「バック駐車でピボットエリアを旋回するイメージが出来ている主婦は少ない」
「なぜバック駐車はピボットエリアまで真っ直ぐ後退した方が良いのか?」
確かにピボットエリアという目に見える標的を置くことで、漠然と行っていたバック駐車の基準とか拠り所ができて、動作が分かりやすくなる利点はあります。
その反面、限定されたポイントに集中し過ぎるあまり、全体の中での車の位置や方向を見失ってしまう可能性もあります。
バック駐車が上手くできない人は、ピボットエリアの狭い範囲でしか判断が行き届かずに、車が斜めになったり、片側に偏り過ぎたりといった、不満足なバック駐車になっていないでしょうか?
そういうバック駐車にお悩みのあなたに、日本刀を鞘(さや)に納める動作をイメージしてはどうかという提案です。
日本刀を鞘に納める動作とは
そもそも、日本刀を鞘に納める動作とはどういったものかご存知ですか?一旦抜いた細長い日本刀は、片手で持った刀の切っ先を空中でブラブラさせながらでは、中々さやの口先に収まりません。
右利きを例にとれば、右手に持った日本刀の背の部分(刃先でない方)を鞘の口先に当て、滑らせるようにして切っ先を誘導させます。
(出典:『解説:刀法の納刀』by HoukiryuShiseikan in YouTube)
鞘の口先まで水平に滑らせた切っ先を、収める寸前に直角に近い角度に起こして、鞘の中に真っ直ぐ納めます。
刀を車、鞘を駐車スペースに置き換えてイメージするのです。
刀と鞘は車と駐車スペース
共通ポイントは3つあります。- 刀(車)を出来る限り鞘(駐車スペース)に水平に沿って滑るように近づける。
- 鞘を持つ手の親指が刀がずれないようにガイドする(駐車スペースのピボットエリアを意識すること)
- 鞘(駐車スペース)に納めるには可能な限り刀(車)を鞘(駐車スペース)に対して垂直に立てる。
刀の場合には、親指のガイドがあるので切っ先が水平から垂直に変わるポイントを過ぎることはありません。車の場合には、物理的に車をガイドするものがありません。それに代わるものとして、ピボットエリアに車体の後部が近づく位置を水平から垂直に変わるポイントにします。
この車体の方向を変えるポイントが手前過ぎても通り過ぎても駐車スペースに綺麗に入れられなくなります。なおかつ、車体の角度は通路幅が許す限り垂直になるようにします。垂直なほど駐車スペースの中央に入れやすくなります。
バックしながら駐車スペースに納める時、ピボットエリアまで車体の後部角を近づけながら「直線的」にバックします。ピボットエリアと後部角が遠い位置で回転する程駐車スペースの中央に入れるのが難しくなります。ピボットエリアの中心点からの半径が小さい程、駐車スペースの中心が分かりやすいのです。
ピボットエリアから離れて車を回転させる程、駐車スペースの中心点を判断するのが難しくなります。車が曲がってしまう人、片側に寄り過ぎてしまう人は、ピボットエリアから離れた位置から回転を始めてしまい、駐車スペースの中心より手前か通り過ぎたところで車体が垂直になってしまっています。
刀を鞘に納める瞬間も、切っ先が鞘の入り口の直ぐ近くで回転しています。鞘の入り口から離れた位置で回転したのでは、切っ先がふらついてとても刀を納めることはできません。
「刀法の納刀」を無視して、離れた位置から鞘に切っ先を近づけて収めようとしても、切っ先がフラフラして安定せず、正確に入り口に入りません。
ピボットエリアが刀の場合の親指だと思って、鞘の入り口の角で刀の切っ先を回転するように、車の後部角がピボットエリアの近くになるように回転します。