免許取り立ての人やペーパードライバーの人に多く見られるのが、バック駐車の途中で、車は今どこにあるのか分からなくなってしまうことです。

バック駐車では、車を傾けたりバックしたり、上手くいかなければ前進したりしながら、駐車スペースの入り口に向かって、車をコントロールしていきます。

自分の車の位置や方向を見失うのは、車をコントロール出来ていないからです。自分の車が今どの位置にあって、どの方向を向いているのかの認識が出来ているかが1つ。現在の位置や方向から、目的の位置や方向へ移動することが出来るかどうかが2つ目の必要になる能力です。

自分の車の現状把握とコントロールが出来れば、バック駐車で迷子になることはなくなります。

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車が今どこにあるかの感覚をつかむ方法

バック駐車の最中に、自分の車が今どこにあるのか、どの方向に向いているのか、といったことは感覚的なことです。

しかし、その感覚を正しくつかむには根拠となる確かなものが必要です。感覚を支える確かな実感のようなものです。具体的に言えば、運転席から見た感覚と実際の車の位置や方向の違いや一致などの、予測と実際の確認の経験の積み重ねによる確信です。

それを得るには、試して確認すること、トライ・アンド・エラーを繰り返して、予測と実際のずれを少なくしていく体験を通してしか、実感と確信をつかめません。

車の動きを俯瞰で眺める訓練

駐車している時に、運転席から見える景色だけでは、自分の車の位置や向きを把握するのは難しいことです。まだ確信は持てていない段階では、勝手な想像をしているに過ぎません。

一度、車の中から眺めることとは視点を切り替えて、自分の車を神の目で外側から客観的に見つめてみることが必要です。

模型の車を使ってシミュレーション

最も簡単で効果的な方法は、模型の車を使って、自分がバック駐車をするつもりでシミュレーションを繰り返すことです。

次の動画は、ミニカーを使ったシミュレーションの一例です。駐車スペースに入る角度を考察しています。

<出典動画:『【駐車】狭い場所で上手に駐車するコツ【理論編】』YouTube>

理想的な模型は小さなものよりもある程度の大きさがあって、前のタイヤの向きが動くものが良いのですが、手に入るものなら何でも活用できます。価格帯10,000円から30,000円とちょっと高級なミニカーなら『AUTOart』というブランドがあります。

前タイヤが自由に動かせるちょっと高級なミニカー『AUTOart』

手頃な1,000から10,000の価格帯では、『HOT WHEELS』というブランドがあります。

前タイヤが自由に動かせる手頃な価格のミニカー『HOT WHEELS』

トミカのトラックなどの大型車のミニカーなら、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が長いので、内輪差や外輪差を体感しやすいのでお勧めです。価格帯も1,000円以下から20,000以上までと豊富です。

トラックなどの大型車のミニカーが豊富な『トミカ』

トミカには色々な車種の車があるのと、どうせ買うなら大型トレーラーの方がシミュレーションに向いていると感じさせる動画はこちら。

<出典動画:『トミカ 駐車場 おもちゃ Tomica Parking』YouTube>

近くから車の動きをじっくり観察することも、車の操作を通して、実際の車の動きを俯瞰しながらシミュレーションできるラジコンカーも2,000円から10,000円の価格帯で手に入ります。

手頃な価格で手に入るラジコンカー

簡単そうで、意外と難しいそうに見えるラジコン駐車の動画はこちら。
<出典動画:『M3ラジコン駐車練習』YouTube>

カレンダーの裏などの大きな紙に駐車スペースを描いたり、割りばしや空き箱で駐車スペースを作って、通路から来て駐車スペースへ入るまでをシミュレーションします。

なるべく模型を浮かせないように、無理やり動かすのではなく、模型が自分で動ける軌道を守りながらシミュレーションします。機械としての車がどういう動きをするのか確認します。特に前のタイヤの向きと車の回転の関係を重点的に観察します。

  • 通路から駐車スペースへは間を詰めるように近づけた方が良いのか?
  • 駐車スペースに対してどの位置でどこに向けて車を傾けるのが良いのか?
  • 車を傾ける角度は大きい程バック駐車が簡単になるのか?
  • 駐車スペースの入り口までカーブするより直線的に下がった方が簡単なのか?
  • 車の向きを真っ直ぐにするのはどの位置で調整を行った方が良いのか?
  • 後方内側の後輪は駐車スペース入り口のどこを通るのが良いのか?
  • 車の前輪の動きはどのように変化しているのか?

このようなポイントを、車の模型の外側の色々な角度から観察します。

車とタイヤの動きを紙に描く

模型が手に入らない場合には、紙に直接シミュレーションを描いてみます。駐車場の通路から、駐車スペースに真っすぐに収まるまでの過程を、車を少しづつずらしながら同じ紙に書き込んでいきます。

車の車体は単純な長方形でよいですが、大事なポイントはタイヤの向きです。前のタイヤは向きが変化しますが、後ろのタイヤは固定です。前のタイヤの向きと車の回転を考えながら描き込みます。

描くポイントは、模型の車の観察ポイントと同様です。

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<出典画像:『バック駐車の紙上シミュレーション』>
サイズは適当よりも、縮尺を考えて描いた方が実践的です。いつも利用している駐車場の広さに合わせてシミュレーションすれば、どの位置から、どの位の角度まで車を傾けることが出来るかなどが分かります。乗っている車の最小回転半径も調べて考慮すると更に良いです。

車の型を紙で作って、それを動かしても良いです。前タイヤだけ動くように作れたら良いのですが、自分の乗っている車のサイズに合わせたり、トレーラーの型を作っても、タイヤの動きと回転がより分かりやすくて面白いです。

車の位置を内外から確認する(車両感覚)訓練

実際の車の動きを観察する方法です。広くて安全な場所で、バック駐車の過程毎に車を止めて確認するのがベストですが、そういう場所を確保できない場合には、駐車場に止めたまま、運転席から眺めた車の位置の予測と、車の外から実際の位置を確認することでも、自分の車の車両感覚を体感するには良い方法です。

エヌボックスやノアに乗ってた人がレクサスを運転する時に注意する事

運転席から見て予測する車の車体やタイヤ位置や、場所があればバック駐車の過程の、車の向きやタイヤの向きを、車の外に降りて一つづつ確認します。

  • フロントバンパーの位置の予測と実際との違い。
  • リアバンパーの位置の予測と実際の違い。
  • 助手席側の車体側面の位置の予測と実際の違い。
  • 運転席側の車体側面の位置と実際の違い。
  • 前のタイヤの位置(タイヤの向き)の予測と実際の違い。
  • 後ろのタイヤの位置の予測と実際の違い。
  • サイドミラーから見た車の向きの予測と実際の違い。

駐車場の白線だけでも、運転席のフロントガラスや、助手席、運転席側の窓、サイドミラーから予測した白線と車の間の間隔と実際の距離の違いを知ることができます。

バック駐車をしながら確認できる場所がある場合には、板のようなものを用意して、理想的なバック駐車でタイヤが通過するであろう位置に置いて踏むよう試みます。内側後ろのタイヤ、外側後ろのタイヤなどの通る位置の、予測と実際の違いなどを試します。

路肩で前進と後進の幅寄せの訓練

バック駐車の最中に、自分の車の位置や向きが分からなくなるのは、車の向きを変える操作が未熟なことも原因です。

バック駐車で車の向きを変える操作は幅寄せのテクニックです。幅寄せとは、行きたい方向に一度車を傾けてから、再び車の向きを元に戻すことで、車を横に移動させます。前進でも後進でも同じ要領です。
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<出典画像:『幅寄せとは』>

幅寄せが上手く出来ないと、ハンドルを無駄に回したり、ハンドルをどちらに回して良いか分からなくなり、その積み重ねで車の位置や方向を見失ってしまうのです。

幅寄せの練習で効果的なのが、路肩に車を寄せる練習です。路肩から離れた位置から、前進でも後進のどちらでも車を近づけることが出来るようにします。

前進しながらの幅寄せは、車のフロントやタイヤが路肩に接触しないように注意します。後進しながらの幅寄せも同様ですが、後進の場合にはサイドミラーから見た距離感を鍛えることができます。

路肩に近づける幅寄せは、縦列駐車の中身そのものなので、バック駐車だけでなく、縦列駐車の練習にもなっています。

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<出典画像:『路肩で前進と後進の幅寄せの練習>

幅寄せは、車の位置をコントロールするテクニックなので、幅寄せがスムーズに出来ると、自然と車の位置や向きの把握も出来るようになります。幅寄せは、バック駐車や縦列駐車の上手い下手のバロメーターでもあります。

路肩を使った幅寄せの訓練の場合も、幅寄せの度に、運転席から見た路肩と車体の間隔予測と、車から降りて見た実際の間隔を比べることが重要です。また、車の向きも、路肩と平行になっているかをチェックします。サイドミラーで平行に見えても、実際にはそうなっていないなかったりします。

また、路肩から離れる幅寄せも訓練します。路肩からバックしながら離れるとフロントタイヤやバンパーが路肩にぶつかるので、離れる時は前進で離れないと駄目だとかが体感で理解できます。