バック駐車が苦手から得意になった30代主婦のメモ

バック駐車が苦手だった30代主婦が運転が得意になったコツのメモ

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(photo出典:『Wikipedia』5代目ハイエース(2004年~))

トヨタハイエースの国内現行モデル(5代目2021年4月一部改良以降モデル)の駐車に必要な道路・通路幅がどのくらいになるかCAD上で検討してみました。

国内で販売されている五代目ハイエース(2019年2月、フィリピンにて海外向けの六代目が発表されている)は、ディーゼル車とガソリン車の二種類のエンジンタイプがあり、サイズ(全長・全幅・全高)的にはロング二種(標準幅、ワイド幅)とスーパーロング(ワイド幅)の三種類に分かれています。

今回はサイズ的に異なる三種類(2WD)について検討してみます。

(*オーバーハング寸法の情報がありませんでしたので、前後均等に仮定しています。駐車スペースの寸法は一般的な2.5mx5.0mで想定しています。)

5代目ハイエースの車体寸法(単位mm)

項目ロング標準幅ロングワイド幅スーパーロングワイド幅
全長4,6954,8405,380
全幅1,6951,8801,880
全高1,9802,1052,285
ホイールベース2,5702,5703,110
トレッド(前輪)1,4701,6551,655
トレッド(後輪)1,4651,6501,650
最小回転半径5,0005,2006,100

ロングとスーパーロングでは当然ですが、ホイールベースや最小回転半径にかなりの差があります。ロングでも最小回転半径で200mmの差がある二種でどのくらいの必要な道路・通路幅で差が出るか興味深いところです。

5代目ハイエース(ロング標準幅)が駐車に必要な道路・通路幅

ハイエース(ロング標準幅)
ハイエース(ロング標準幅)を切り返しせず一回で行うには、4.28m以上のスペースが必要です。

直角(90度)駐車する場合のスタート位置の目安は、駐車目標の中心から約3.55m前に後輪、駐車目標入り口の水平ラインから車体側面を約1.28m離した位置になります。

また前進駐車を切り返しせず一回で行うには、7.48m以上のスペースが必要です。

ボディサイズ、最小回転半径が小さいだけあって、かなりの小回りです。バック駐車でヴォクシー(ノア)よりも34cm以上、前進駐車で55cm以上小さく回れます。

⇒「トヨタのミニバンヴォクシー(ノア)の駐車に必要な道路・通路幅は?」

5代目ハイエース(ロングワイド幅)が駐車に必要な道路・通路幅

ハイエース(ロングワイド幅)
ハイエース(ロングワイド幅)を切り返しせず一回で行うには、4.65m以上のスペースが必要です。

直角(90度)駐車する場合のスタート位置の目安は、駐車目標の中心から約3.69m前に後輪、駐車目標入り口の水平ラインから車体側面を約1.47m離した位置になります。

また前進駐車を切り返しせず一回で行うには、7.91m以上のスペースが必要です。 バック駐車、前進駐車とも、だいたいヴォクシー(ノア)と同じくらいの数値になっています。

5代目ハイエース(スーパーロングワイド幅)が駐車に必要な道路・通路幅

スーパーロングワイド幅)
ハイエース(スーパーロングワイド幅)を切り返しせず一回で行うには、5.37m以上のスペースが必要です。

直角(90度)駐車する場合のスタート位置の目安は、駐車目標の中心から約4.42m前に後輪、駐車目標入り口の水平ラインから車体側面を約2.02m離した位置になります。

また前進駐車を切り返しせず一回で行うには、9.18m以上のスペースが必要です。 さすがにスーパーロングはロングに比べると大幅にスペースが必要になってきます。アルファードに比べてもかなり大回りです。

⇒「トヨタのミニバンアルファードの駐車に必要な道路・通路幅は?」

日産のワンボックス5代目キャラバンとの比較

日産キャラバンもライバル車種だけあって、ハイエースと同じようなカテゴリー分けされています。

⇒「日産のワンボックス5代目キャラバンの駐車に必要な道路・通路幅は?」

日産キャラバンとトヨタハイエースとの、駐車に必要な道路・通路幅を比較してみました。(CAD図面上で比較した結果になります。単位mm)

駐車方法ハイエースロング標準幅キャラバンロング標準幅
バック駐車4,2844,401117
前進駐車7,4827,679197
駐車方法ハイエースロングワイド幅キャラバンスーパーロング標準幅
バック駐車4,6574,958301
前進駐車7,9138,647734
駐車方法ハイエーススーパーロングワイド幅キャラバンスーパーロングワイド幅
バック駐車5,3785,259119
前進駐車9,1818,984197

ロング標準幅ではハイエースが、スーパーロングワイド幅ではキャラバンの方が小回りで優位にあります。

その間に位置するのがハイエースロングワイド幅とキャラバンスーパーロング標準幅ということになります。

運転歴6年、無事故無違反でゴールド免許の32歳の主婦がいます。彼女は駐車する時には、毎回一発で白線内に入れられるし、他の車にぶつけたりする事は一度もありません。

彼女は昼過ぎから夕方の間だけ、実家のクリーニング店を手伝っています。彼女の仕事は、仕上がった品物の配達や、店では対応できない注文を、取引先の工場へ届ける役目です。使用している車はハイエースです。

彼女の悩みは、「ハイエースだと真っ直ぐに駐車できるのに、普段乗っている軽自動車(ムーブ)だと必ず斜めになってしまう」というものです。

ハイエースの方が大きいから、ムーブよりバック駐車するのは難しそうな気がしますが、彼女にはハイエースの方が綺麗に駐車できるそうです。

これには原因があるでしょうか?

Toyota_Hiace_H200_501
<出典画像:『トヨタ・ハイエース』https://ja.wikipedia.org/wiki/トヨタ・ハイエース#/media/File:Toyota_Hiace_H200_501.JPG>

ハイエースとムーブの大きさの比較

項目ハイエース(スーパーGL)ムーブ(L)
全長4,695mm3,395mm
全幅1,695mm1,475mm
全高1,980mm1,630mm
ホイールベース(前後の車軸中心間の寸法)2,570mm2,455mm
トレッド(左右のタイヤの中心間の寸法)1,470/1,465mm1,305/1,295mm
最小回転半径(最小回転時の前輪外側タイヤの描く円軌道の半径)5.0m4.4m

HiaceVan-Move-1

車の大きさの違いが、バック駐車の際に車が真っ直ぐにならないことに、どのような影響を与えているのでしょうか?

普通免許で乗れる車であるならば、運転の操作や結果に違いが出てしまうのは、そもそも運転の根本が正しくない可能性を伺えさせます。

バック駐車の操作の過程のどこかに問題があるはずです。その前にハイエースとムーブが回転した時の比較を見てみましょう。

ハイエースとムーブの回転の差

HiaceVan-Move-2

白い方がハイエースの回転の様子で、黄色がムーブです。円の中心から車体の側面までの距離の差は、2,706mm-2,261mm=445mmです。一方、車体前部の外側端が描く円の距離の差は、5,707mm-4,738mm=969mmです。

これらのことから次のことが分かりました。

  1. ハイエースは小回りが利く(中心から車体側面までの差が445mmしかない)
  2. ハイエースの外側オーバーハングが大きい(車体前部外側端の円半径の差が969mmもある)

分かりやすく言えば、両者の描く内側の円の半径の差は小さく、外側の円の半径の差は大きいのです。ハイエースはバック駐車する場合には小回りが利きますが、前向き駐車の場合には、前部のオーバーハング(前輪の車軸の中心と車体端との距離)が大きいので広いスペースが必要になります。

最小回転半径の差は、5.0m-4.4m=0.6m=600mmなのに比べて、車体内側側面の円の半径の差が445mmなのでも、ハイエースの小回りの良さを示しています。厳密に言えば、内側の小回りで、バック駐車にメリットのある性能です。逆に言えば、ムーブに比べて外側は大回りの度合いが大きいという性能です。

バック駐車する場合には、回転の内側(車体の内側)を主に注視することになります。ハイエースとムーブでは、回転の内側の半径の差が車体の長さに比べて小さいので、回転の動きに伴う難しさの差も少ないはずです。

ムーブの方が真っ直ぐ駐車しにくい原因は、回転の性能の差にはないようです。

長い線のほうが方向が分かりやすい

私が注目したのはボディの長さの違いです。特に運転席から後部までの側面の長さです。一つの目安として、前輪の中心と車体後部端との長さをひっかうすると、ハイエースが3,632mmでムーブが2,925mmです。その差は707㎜です。

HiaceVan-Move-3

サイドミラーから車体の側面と後方の端を見た時、長い方がバックして行く方向を捉えやすくなります。長い物差しの方が短い物差しより、指し示す目標への方向が分かりやすくなります。

BlogPaint

サイドミラーから見た場合には、両者の長さは見た目には大きな差を感じませんが、ハイエースの後部の端はムーブよりずっと先の位置を示しています。サイドミラーが凸レンズのため、ミラーの端に写るものを中央に集めて反射するからです。

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イメージとしては、ハイエースの方が、ムーブより先の方に到達しています。運転席が同じ地点にあった場合、ハイエースの方が、ムーブより先の地点を通過するのを、予測でなく車体を見て確認できるのです。

一般的なバック駐車は、車を傾けた状態で駐車スペースの入り口へ向かっていきますが、車が長いと(物差しが長いと)、駐車スペースの白線と車の側面のラインとの角度の関係で、その車の角度で入れるかどうかの判断もしやすくなります。

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バック駐車の工程が進んで、車が駐車スペースの枠内に入ってきた時、車が長いと車の後部が駐車枠の奥に早く到達するので、車の後方と駐車枠の奥の空きと手前の近い方の車体側面との空き、車体の奥と手前の白線との平行関係を早く確認できます。

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下の動画はハイエースでのバック駐車の様子です。やはり、サイドミラーからも、後方の車体と駐車枠の関係から、車の位置関係を早く察知できるのを感じ取れます。

<出典動画:『駐車の方法』YouTube>

早い方向の把握と小回りの差が少ないこと

ハイエースは長いボディの割には小回りが利くので、バック駐車の時の回転が他の大きな車に比べて小さく操作できることと、ボディーが長いことによって、サイドミラーの中で車の方向や位置を早く知ることができることの2点が、軽自動車のムーブよりハイエースの方が、真っ直ぐに駐車しやすいという現象を生むのではないかと考えられます。

ムーブのバック駐車の仕方にも問題はないか?

ハイエースで出来てムーブで出来ないのは、バック駐車の仕方にも問題があるはずです。

ハイエースで真っ直ぐに駐車できるのなら、ハイエースの駐車の仕方が正しくて(少なくとも32歳主婦の彼女にとって)、ムーブの駐車の仕方が正しくないのです。

ハイエースでは、ボディが長いために、駐車枠に斜めに向かっていく時や、枠に入ってから奥までバックしていく時に、車の側面を1本の線のようにして、駐車枠の白線と絶えず角度や距離を比較しながら操作しているはずです。

ムーブの場合には、サイドミラーに写る車の後部が近いので、車体の側面を線として見ていないのではないでしょうか?むしろ後輪を強く意識してしまって、車体がどちらに向かっていくのかの判断が、車体の側面を物差しのように使った感覚ではなく、後輪を点のように使った感覚で行っていると思われます。

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ムーブのバック駐車が、駐車スペースの枠の白線と、車の後輪とを目安にした、線と点の関係であるのに対して、ハイエースは長い車の側面を物差しのような線として使った、線と線の関係であることが、真っすぐに駐車できる結果になっていると推測します。

従って、彼女の場合、ムーブでもハイエースと同じように、サイドミラーの見方として、車の側面から後部に掛けてのラインを目安にして、駐車枠との角度や位置関係を確認しながらバック駐車するのが良いと思われます。

 

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