右からのバック駐車は、窓から顔を出して、右後ろのタイヤを直接見ながらバック出来るけれど、左からのバック駐車は、直接左後ろのタイヤを見ることが出来ないので苦手な人がいます。
原因はサイドミラーの見方が悪いのか、サイドミラーの角度が悪いのか、いずれにしても、サイドミラーの活用の仕方にあります。
私は窓から顔を出して後方を確認することはしていないので断定は出来ませんが、顔を出してバック駐車する人は、もしかしたら、サイドミラーの見方が良くないので、サイドミラーを信頼できずに、直接見て確認しているのではないでしょうか。
あるいは、サイドミラーを走行中の時だけ活用できる角度にしていて、バック駐車の時に利用できない角度になっているのかも知れません。
問題点は2つです。
- サイドミラーの調節の仕方
- サイドミラーの見方(サイドミラーでの判断の仕方)
この2つが出来ていれば、窓から顔を出して確認する必要はなくなります。窓から顔を出したり、中にはドアを開けて後ろを見ながらバックしている人がいますが、駐車場の中には柱などの障害物があるところがあるので、おすすめできない駐車方法です。
サイドミラーは、バック駐車だけでなく、走行中に命を守る大切な道具なので、十分に活用できていないならば、改善しておくべきです。
サイドミラーの調節の仕方
サイドミラーは上下と左右に角度調節できます。上下は、空と地面の割合を決め、左右は車体と外側の割合を定めます。
バック駐車だけをとれば、下に向けて地面の割合を多くすれば、後ろのタイヤや駐車スペースの白線が良く見えるので、駐車がしやすくなります。
しかし、バックミラーは走行中も斜め後方から来る車やバイク、自転車等を確認するためにも利用しますので、後方を遠くまで見通せる角度でなくてはなりません。
最近は、駐車時と走行時で自動的にサイドミラーの角度が変わる機能が、純正部品でも社外部品でも提供されています。
<出典動画:『これ知ってた!?有る機能は使いこなそう!ミラー編・・取説よりヴェルファイア ハイブリッド』YouTube>
<出典動画:『ウルトラ、ミラーサポート mirror support system』YouTube>
しかし、まだ多くの人は一度セットしたままで、駐車時も走行時も利用している環境にあると思います。私もその一人です。
自動的に角度が切り替わるサイドミラーでない限り、駐車時と走行時の両方で利用できる角度に調節するしかありません。(駐車の度に、上下の角度だけ変える人もいるかも知れませんが・・・)
一般的な乗用車のサイドミラーの形は横長です。横に長く縦に短い形です。便宜的に、縦方向を3分割、横方向を4分割にして考えます。(縦方向を4分割、横方向を5分割にする見方もあります。ベテランになるほど微妙な角度調節になる傾向があります)
<出典画像:『基本的なサイドミラーの分割』>
上下の角度で、地平線のラインが上から1/3以下になると後方の車が確認しづらくなります。基本的な上下の角度は、地平線が中央になる角度です。上下の角度は、上から1/3から1/2の範囲に地平線が来るように選択すれば良いでしょう。地平線が上にいくほど地面が多く写ります。
<出典画像:『サイドミラーの上下の角度の見え方の違い』https://www.youtube.com/watch?v=YhceT7uommc>
次の動画は、かなり下向きの角度になっていますので、左後方の地面と車体の位置関係が良く確認できます。地平線は上から1/3以下なので、遠い後方の車の確認はしづらくなります。
<出典動画:『駐車方法が知りたい「ミラーの見方」左側』YouTube>
サイドミラーの左右の角度によっては、下に向けてもタイヤが見えるとは限りません。また、タイヤ自体が見えなくても、車体の後方からタイヤの位置は想像できます。ですから、地平線が中央に来るように調節しても、駐車スペースの白線は確認できるので、この位置を基本にするのが良いと思います。
左右の角度ですが、内側の1/4に車体が写るのが基本です。それ以上車体を映すと後部が見やすくなりますが、それよりも、外側の死角が増えるのでデメリットの方が大きくなります。
ベテランになるほど、車体の映る範囲を1/5と少なくして、死角を少なくする傾向にあります。次の動画が、サイドミラーの基本的な調節の仕方を良く説明しています。
<出典動画:『車運転初心者のサイドミラー調整方法 下手でも上達・苦手ペーパードライバー』YouTube>
サイドミラーの見方(判断の仕方)
サイドミラーの見方には、見るべきポイントが3か所あります。
- 車を傾ける角度をサイドミラーで判断する時。
- 駐車スペースの入り口の角を曲がる時。
- 左右の空間の均等を調節しながらバックする時。
車を傾ける角度をサイドミラーで判断する時
駐車場の通路(または車庫の前の道路)を進入して来て、駐車スペースの前で車を傾けます。この時、どこまで傾けるかは、通路(または道路)の広さに拠りますが、最終的な判断は、サイドミラーに映る、自分の車の車体後方と隣の車(または白線)との位置関係で決定します。
車体後方と隣の車(または白線)との距離が空き過ぎても、重なってもだめです。わずかな空間が認められた位置が、最適な傾ける角度になります。
<出典画像『車を傾ける角度のサイドミラーによる判断』https://www.youtube.com/watch?v=ZojUg7aq-hY>
駐車スペースの入り口の角を曲がる時
車を傾ける角度と位置が決まったら、そのまま駐車スペースの入り口に向かってバックしていきます。バックの仕方は、円弧を描いて行くよりも、ハンドルを真っ直ぐに戻して直線的に後退していくのをお勧めします。
車を傾けた時のハンドルを戻しながらバックすると、車はカーブを描きます。カーブしながら入り口に合わせるより、ハンドルを真っ直ぐの位置に戻してから、直線的に入り口に向かって行く方が正確だからです。
直線的にどこへ向かえば良いかというと、入り口の角に後輪を近づけるように向かいます。この時の入り口の角の周囲のことをピボットエリアと呼んでいます。
<出典画像『ピボットエリアとは?』>
ピボットエリアは、一般的に半径50㎝の円と考えています。では、このピボットエリアのどこに近づけるのが最も良いでしょうか?
私も最近まで、ピボットエリアの円の範囲ならどこでも良い、あるいはピボットエリアの中心が良いのではないかと漠然と捉えていました。
しかし、ピボットエリアのベストポジションがあるのではないかと思い始めています。その位置は、ピボットエリアの中心から延長した線とピボットエリアの円周の交わる点から90度の範囲です。
<出典画像『ピボットエリアのベストポジション』>
なぜここがベストポジションかというと、これより手前で回転すると内側に寄り過ぎ、これより後で回転すると外側に寄り過ぎることが分かってきたからです。ベストポジションにタイヤが入った時に回転すれば、偏る可能性は低くなります。
<出典画像『ピボットエリアのポジションによる進路の違い』>
次の動画は、ピボットエリアの範囲を通過するようにしていますが、ピボットエリアの奥の点を通過しているので、軌道の円弧が外側を通って、駐車スペースの外側に寄り過ぎるために切り返しをしています。もっと、ピボットエリアの手前にタイヤが来るようにすれば、切り返すことなく1回で収まるはずです。(この動画のサイドミラーもかなり下に向けて、駐車用の角度にしています)
<出典画像『初心者運転 サイドミラーだけで車庫入れするコツ 駐車』YouTube>
左右の空間の均等を調節しながらバックする時
ピボットエリアで回転した後は、左右の空間を均等にするように調節しながらバックしていきます。
その時、片側だけを白線に平行にしようとするのではなく、左右のサイドミラーを交互に見比べて、車体と白線との空間、車体と車止めのはみ出し具合が均等になるようにハンドルを微調整していきます。
ピボットエリアを適格に通過していないと、左右のどちらかに大きく偏ります。その大きな偏りをスペースの中で調整しようとしても、車止めまでの距離が短すぎて間に合いません。多くの場合車が傾いた状態で終わります。
大きく傾いた場合には、一旦前に出て切り返して中央に寄せた方が、結果的に満足のいく駐車になります。
左からのバック駐車の全体的な流れが良くまとまっている動画がありました。サイドミラーの見方とピボットエリアの通過点がよく分ります。