ホンダのエヌボックスは室内が広いだけでなく、カメラ、レーダー、センサーによる、衝突回避や急な後退防止、車線はみ出し検知などの安全システムが、標準で装備されているのが魅力です。

国内で最も多く販売されている軽自動車なので、これから購入を検討されている方も多いと思います。

中には利用している駐車場や、自宅の車庫の前の道路が狭くて心配な人もいるでしょう。

エヌボックスが、一発で直角バックできるのに最低限必要な道路幅(あるいは、駐車場での通路幅)を調べてみました。

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エヌボックスのサイズデータを調べる

エヌボックスの『主要諸元表』 から、必要な車両サイズのデータを入手します。

エヌボックスにはカスタム(Custom)というシリーズもありますが、今回は一般仕様のGタイプ(FF)で想定しました。(単位は全て㎜、1/1,000換算でm)

全長全幅ホイールベーストレッドオーバーハング(F/R)最小回転半径
3,3951,4752,5201,305437.5/437.54,500
  • ホイールベースとは前輪と後輪の中心間の距離。
  • トレッドとは内側と外側のタイヤの中心間の距離
  • オーバーハングとは前後輪それぞれの中心から、バンパー外側までの距離。今回データがないため前後に均等しました。
  • 最小回転半径とはハンドルを一杯に切って回転した時の、前輪外側のタイヤの中心が描いた円の半径。

FF仕様の最少回転半径は4,500㎜ですが、4WD 仕様ですと4,700㎜と少し大回りになります。狭い駐車場、車庫前の道路で検討するならFF仕様の方が有利です。

一発で直角バックするための最底限度の道路幅

切り返ししないで一発で直角バックするためには、最小回転半径を維持したまま、その円軌道に沿って駐車スペースに入れなければなりません。

最小回転半径の描く円の中心は、後輪の車軸の延長線上にあります。その円の上を、外側の前輪の中心が通ります。

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それでは、最小回転半径の円に沿って、エヌボックスを回転させてみましょう。今回は多めに30度ずつ回転させてみます。後輪の車軸が中心を基点にして回転している様子が分かります。

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時計回りだと後退、反時計回りだと前進しているシミュレーションになります。

時計の12時から3時にかけての回転が、直角バックの動きになります。3時の時点で車体が垂直になります。12時から9時にかけての回転が、前進駐車の動きになります。9時の時点で車体は垂直になります。

3時と9時を比較すると、9時の方が車体が大きく前に出ていることが分かります。これは何を意味するかというと、前進して車体を垂直にするには、円の中心をもっと上に上げた位置にしないと、バック駐車と同じ水平ラインの位置で垂直にならないということです。

ホイールベース分中心を上に上げると、直角バックと同じ水平ラインで垂直になります。エヌボックスのホイールベースは2,520㎜(=2.520m)ですので、直角バックに比べてそれだけ離れた位置から前進駐車する必要があります。一般的に前進駐車の方がやりにくい原因がここにあります。

それでは、エヌボックスの直角バックに最低限必要な道路幅はどれくらいになるのか見てみましょう。

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駐車スペースのサイズは幅2,500㎜(=2.5m)、奥行5,000㎜(=5.0m)に想定しています。分かったことは以下の通りです。

  • 必要な道路幅は3,311㎜(=3.311m)
  • 開始位置(Y方向)は、駐車スペースの入り口のラインから、車体助手席側面まで824㎜(=0.824m)、車体運転席側面から道路の向こうの端まで1,013㎜(=1.013m)
  • 開始位置(X方向)は、後輪の車軸と駐車スペースの中心の距離が3,076㎜(=3.076m)
  • 円の中心と駐車スペースの入り口のラインとの距離(Y方向)は1,514㎜(=1.514m)

上記の道路幅はぶつかるところを求めています。この数字を超えた幅でなければなりません。また、シミュレーションの車体は4角が直角で描いていますが、実際の車体は、角に丸みがあるので、外側は少し余裕があると思います。

また、駐車スペース入り口の内側(図の左側)を直角にして車体とぶつかる位置を出しています。ここを斜めにしてぶつからないようにすれば、更に道路幅が狭くても直角バックが可能になります。

トヨタ ヴォクシー(私のシミュレーションで4.442m)に比べると、1.1m程狭くても直角バックが可能です。