• 血行を良くして冷え性を改善したい。
  • 食欲がないので食前に飲んで改善したい。
  • 寝つきが良くないので寝る前に飲んで改善したい。

恐らく養命酒を飲む人の動機はこのような人が多いと思います。私の子供の頃に、母が毎晩寝る前に飲んでいたのを見ていて、私が20代の頃、よく眠れないことがあったので、少しの間飲んでました。身体の内側から温かくなって、眠りやすくなった印象があります。

漢方薬ですから、直ぐに効果を期待するものではありませんが、販売元の説明では2カ月が効果の判断の目安とあります。

1回20mlを1日3回服用(3食の食前と就寝前の4回の内の3回)するのが飲み方の基本としています。しかし、通勤や仕事などで車を朝から乗る人には、運転する前に養命酒を飲んでも大丈夫なのか心配になります。

母や私は寝る前の1回しか飲んでいませんでした。夕食前や就寝前の服用だけでも差し支えないと思いますが、朝食前や昼食前に飲んで、その後車を運転して良いのかどうか迷っている人もいるかと思います。

発売元では「運転前には服用しないように」と説明しています。養命酒はアルコール分が14%(ワインと同じアルコール濃度)含まれているので、一般的なアルコール飲料と同様に、飲酒運転をしないようにとの注意です。

発売元としての責任から「建前」としての警告は理解できますが、実際にはどうなのかという疑問は残ります。その辺りのことを、もう少し調べてみたくなりました。養命酒を飲んで直ぐに運転したら、酒気帯びや酒酔い運転になるのかどうかを。

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飲酒運転には2種類ある

知らなかった人も多いと思いますが、いわゆる飲酒運転には2種類あります。身体の中に入ったアルコールの濃度が法定基準を上回った場合と、飲んだ量に関係なく、身体行動に影響して運転に支障をきたした場合です。前者を「酒気帯び運転」、後者を「酒酔い運転」と規定して、道路交通法の処罰の対象としています。

酒気帯び運転の基準

実際の取り締まり現場で、血中のアルコール濃度を調べることは出来ないので、吐いた息(呼気)の中に含まれるアルコールの量で判断します。

呼気1リットルから0.15mg以上のアルコールが検知されれば、酒気帯び運転とみなされます。

厳密には、血中のアルコール濃度は、アルコールの分解力の違いで個人差があります。当然呼気も個人差が表れますが、平均的には、ビール瓶なら1本(500ml)、日本酒なら1合(180ml)、ウイスキーならダブル1杯(60ml)、焼酎なら0.6合(110ml)、ワインなら1/4本(180ml)に相当するアルコール(これらの量を1単位といいます)を飲んだ時、血中のアルコール濃度は0.3%前後、呼気は0.15mg前後になります。

酒気帯び運転の違反行為に対しては、行政処分として、違反点数が与えられ、免許を失効(欠格)させられます。その上罰則として、懲役や罰金も科せられます。酒気帯び運転は、検知されたアルコール量によって処分が2段階に分かれています。

呼気1リットル中のアルコール量違反点数行政処分内容と欠格期間罰則
0.25mg以上25点免許取消(2年)3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
0.15mg以上0.25mg未満13点免許停止(90日)同上

運転者が酒気帯び運転の場合、運転者が酒を飲んでいたと知って同乗した人にも、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。

酒酔い運転の基準

血中や呼気のアルコールの量に関係なく、「正常な運転が出来ない状態」と判断されれば酒酔い運転とみなされます。

正常な運転が出来ない状態かどうかの判断として、直線の上を真っ直ぐに歩けるかどうかや、受け答えの話し方や目の動きの様子で、認知・判断能力があるかどうかなどを見ます。

酒酔い運転の行政処分と罰則は、酒気帯び運転より厳しいものになっています。

違反点数行政処分内容と欠格期間罰則
35点免許取消(3年)5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

運転者が酒酔い運転の場合、運転者が酒を飲んでいたと知って同乗した人にも、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。

養命酒で酒気帯び運転になるのか?

養命酒のアルコール濃度は14%で、ワインのアルコール度数に匹敵します。

酒気帯びの目安になるワインの平均的飲酒量は1/4本(180ml)です。養命酒の1回の服用量は20mlですので、20÷180=1/9の量になります。単純計算しますと、血中のアルコール濃度は、0.3%X1/9=0.03%、呼気は0.15mgx1/9=0.017mgになります。

従って、量的な意味では酒気帯び運転の危険性は非常に低くなります。(ただし個人差の問題が残っています)

時間的な観点からも考察すると、体重60㎏の人が、ビール瓶なら1本(500ml)、日本酒なら1合(180ml)、ウイスキーならダブル1杯(60ml)、焼酎なら0.6合(110ml)、ワインなら1/4本(180ml)に相当するアルコール(1単位のアルコール)を飲んだ場合、アルコールが体内に残る時間は3~4時間です。

血中のアルコール濃度の変化

<出典画像:『血中のアルコール濃度の変化』http://www.arukenkyo.or.jp/health/prevention/images/qa01.jpg

仮に4時間として、養命酒の1回の服用量20mlは1/9相当ですので、4時間(240分)x1/9=27分になります。養命酒を飲んでから27分以上経過すれば、体内からアルコールは消えていると想定できます。

時間的には、一般的に、服用後30分経てば車の運転をしても、酒気帯び運転になる可能性はなくなると考えられます。

養命酒で酒酔い運転になるのか?

先ほど算定した養命酒を服用した後の推定血中濃度0.03%は、アルコールの「酔い状態」のレベルでは「爽快期」に相当し、最も酔いの低い段階になります。(爽快期→ほろ酔い期→酩酊初期→酩酊期→泥酔期→昏睡期の6段階の分類の仕方があります)

症状としては、以下の点があげられます。

  • 爽やかな気分、陽気になる。
  • 皮膚が赤くなる。
  • 判断力が少し鈍る。

一般的には、この程度では「正常な運転が出来ない状態」とは言えません。

しかし、少なくとも平常時より「爽快」な気分になり、皮膚の紅潮などの変化がある以上、アルコールの影響が見られるます。気持ちよくなって、判断が甘くなる可能性はあります。

酒酔い運転として取り締まりの規制には該当しなくても、酒気帯びを回避するのと同様に、服用後30分以内での運転は避けるべきです。

全体の結論としては、養命酒を1回20ml服用後、直ぐに運転したとしても、酒気帯び運転や酒酔い運転の基準には達しない可能性が大きいですが、安全や個人差を考慮して、服用後30分以降に運転するようにするのが賢明といえます。

<出典動画:『裏道だって飲酒運転は取り締まるよーん!』YouTube>