バック駐車が苦手から得意になった30代主婦のメモ

バック駐車が苦手だった30代主婦が運転が得意になったコツのメモ

カテゴリ: 縦列駐車

免許を取ったばかりの19歳の姪からきかれました。「どうして縦列駐車はいつもバックでするの?前からしちゃいけないの?」と。

私は答えに困りました。縦列駐車はバックでするのが私には当然だったし、今まで理由など考えたこともなかったからです。自動車学校でも、縦列駐車はバックでしか教えてくれませんでした。

確か縦列駐車をするには車の長さの1.5倍ぐらいのスペースが必要だと、どこかで見たような記憶があります。

そんな計測をして縦列駐車をしている訳ではないですが、なんとなく入れそうだという「勘」でやっています。

勿論、ガラガラな場所では前進のまま縁石に寄って行きます。どこからバックで縦列駐車をするのか考えたこともありませんが、おそらく1.5倍程度の隙間を直感で判断しているのでしょう。

でも、どうして広くないスペースでは、前進でなくバックで縦列駐車をするのか、明確な答えが知りたくなりました。

vw-bully-1868890_640

前輪でしか方向を変えられないから?

調べていると、こういう回答がありました。

前輪からでも構わないんですが、前後の車の車間が空いてないと無理ですね(大変)。というのも後輪には操舵機能がなく、まっすぐしか動かないからです。ですから、まずまっすぐしか動かない後輪を押し込んで、ハンドルを切って曲がる前輪を後から入れるというセオリーになってます。前輪から行くと、後輪はただついてくるだけなので斜めに入ったまま、つまり斜めのままになってしまいます。後からハンドル切れる前輪がくれば、ハンドル切って斜め状態を直せるわけですから。街中で見てると理屈が分かりやすいと思います。参照:縦列駐車をバックでする理由

私は「そうかなあ」と思いました。前から入っても方向は変えられます。縦列駐車で方向を変えるというのは横に移動する「幅寄せ」のことです。幅寄せは前進でもバックでも出来ます。

BlogPaint

前から入ろうが、後ろから入ろうが、方向は変えられるので、この答えは正しくないように思えました。

姪の疑問の中には、「内輪差とか外輪差って関係ある?」というのもあったので、そちらも検討してみましょう。

内輪差や外輪差に関係があるか?

内輪差というのは、曲がる時の内側の前輪と後輪の関係で、後輪の方が前輪よりも内側を通る性質です。外輪差とは、曲がる時の外側の前輪と後輪の関係で、後輪の方が前輪より内側を通る性質です。どちらも後輪の方が前輪より内側を通ります。 BlogPaint

内輪差が問題になるのは、前進で角を曲がる時に内側を通る車の後部が角にぶつかることです。外輪差が問題になるのは、バックして曲がる時に外側の車や壁などに、車の前部がぶつかることです。 BlogPaint

内輪差は前から入る時に、外輪差はバックで入る時に、隣の車や壁にぶつかる危険性があります。どちらにも同じ危険性があるので、どちらが有利とは言えません。 BlogPaint

回転の円の中心が後輪の軸の延長線にあるから?

他の回答の記事の中に次の意見がありました。

前進ではいると車体をまっすぐにするのに
長い距離を必要とするのに対して
バックではいると前進の半分のスペースで駐車できるからです。参照:『縦列駐車をバックでする理由』]

やはり必要とするスペースの違いが一番有力な理由に感じました。ただバックの方が前進の半分のスペースというのは本当なのかと思いました。

といことで、図面上で調べて見る事にしました。前進とバックで縦列駐車に必要なスペースがどのくらい違うのか。

例として、ワゴンRを最小回転半径で回転した時の45度から90度までの軌跡を切り取ってみました。 実際の縦列駐車の場合も、この軌跡の範囲と同じ部分が行われています。

先ず、バックの縦列駐車を想定して、最小回転半径でバックした45℃から90度の軌跡が納まる長さを調べます。 wagonR-jyuuretu-back

4.64mのスペースが必要なことが分かりました。では、前進で縦列駐車をした場合を想定して、最小回転半径で前進した45℃から90度の軌跡が納まる長さを調べてみます。 wagonR-jyuuretu-front
前進した場合は5.95mになりました。バックした場合との差は、5.95m-4.64m=1.31mで、両者の比は、4.64m/5.95m=約1.28になります。よく言われる1.5倍より小さな割合になりましたが、バックで行う方が少ないスペースで済むことが分かりました。

この過程でもう一つ判明したことがあります。

前進ではオーバーハングのデメリットもある

上記の前進した図を見ると分かりますが、縁石ギリギリに入っても、車が90度になった時点では縁石から離れています。

これはオーバーハング(フロントオーバーハング)といって、前輪の車軸の中心から車体前部の端まで距離があるため、その分だけ縁石とのスペースが必要になるからです。これは外側は前輪が後輪よりも外側を通る外輪差の影響です。

バックで入る場合には、縁石の近くまで寄せることが可能です。バックの場合でも後部のオーバーハング(リアオーバーハング)はありますが、外輪差のために吸収されてしまうからです。 BlogPaint

前進で入った場合には、縁石に近づけるための幅寄せの手間が必要になります。

以上のことから、縦列駐車をバックでする理由として、

  1. スペースが少なくて済む。
  2. 一度で縁石の近くに寄せることが出来る。

の2つのメリットが導き出されました。前進でも外輪差が関係していましたね。私なりに疑問は溶けたのですが、いかがでしょうか?

教習所の卒業検定の縦列駐車では、一連の流れの中で、各動作の前にしっかり止まってから、ハンドルを切るべきでしょうか?それとも、流れを止めないようにハンドルを切った方が良いでしょうか?

「ええと、次にどうするんだっけ?」などと考えながらハンドルを切っていると、右に切るのか左に切るのか分からなくなってしまいます。スムーズに出来たとしても、縁石から離れすぎていたら、前に戻ってやり直したり、苦手な切り返しをして左に寄って行かなければなりません。

かと言って、ゆっくり止まっていたら、ぎこちなく見られて減点されるのではと不安になります。ミスを少なくして検定に受かるには、どうすれば良いのでしょうか?どうせスムーズには出来ないとしたら、どこで止まって、どこでハンドルを切れば良いでしょうか?

bmw-768688_640

しっかり止まってハンドルを切る10ステップ

教習所の卒業検定の縦列駐車では、止まらないでスムーズに動作させようとするのは止めましょう。それよりもミスを少なくして精度を上げるやり方に決めます。しっかり止まってハンドルを切る10ステップです。

ポイントは、車をバックさせることとハンドルを切る動作を確実に分けることです。

1. 駐車したいスペースの横で止まり安全を確認する

BlogPaint

実際の場合は車の長さの1.5倍以上のスペースが必要ですが、教習所なのでスペース内の安全確認の目視だけを行います。

2. 駐車スペースの前の車の真横に車を進めて止まる

BlogPaint

駐車スペースの前に車が停まっている設定です。その車と丁度横並びするように車を停車させます。ポイントは両方の車の後部の面が揃うように並ぶことです。お互いの車の長さが違っても、後部の位置を合わせます。

3. ハンドルを駐車スペース側へ一杯に切る

BlogPaint

両方の車が並んだ位置から一杯にハンドルを切っても、内輪差があるのでぶつかりません。内輪差とは、前輪は後輪より外側を通ることです。隣の車の横を通過すれば、後輪が駐車スペースに回り込んでも、前輪はそれより外側を通るのでぶつかりません。だから、並んで止まった状態で、一杯に切ってしまって構いません。

4. バックを始める

BlogPaint

ハンドルは既に切ってあるので、バックを始めると自然に駐車スペース側に回り込んでいきます。駐車スペースと反対側(道路側)のサイドミラーに、駐車スペースの奥の縁石の角が見えたら車を止めます。これで車が駐車スペースへ入っていく角度が決まりました。

5. ハンドルを真っすぐに戻す

BlogPaint

この後、その角度のまま真っすぐにバックするので、そのためにハンドルを真っすぐに戻します。戻す間は車を動かしません。車を止めた状態のままハンドルだけ真っすぐに戻します。

6.バックを再開する

BlogPaint

ハンドルは真っすぐのまま動かさない状態で、バックを再開します。車は駐車スペースに向かって、角度を保ったまま、真っすぐにバックしていきます。駐車スペースの範囲に外側(道路側)の後輪が入ったら止まります。これで両方の後輪が駐車スペースに入りました。

7. ハンドルを道路側へ一杯に切る

BlogPaint

車は止まったまま、前輪を駐車スペースに入れるために、ハンドルを道路側へ一杯に切ります。この段階の時に、このまま車の前部が駐車スペース側に回転したら、前の車と接触しないだけの余裕があることを確認します。余裕がなさそうなら、駐車スペースへの入り込みが浅いので、もう少し深くバックしておきます。

8. バックを再開する

BlogPaint

前輪が駐車スペース側に回り込みます。前の車にぶつからないか、縁石と車の内側後部がぶつからないか、確認しながら慎重にバックします。車が真っ直ぐになったらバックを止めます。これで車全体が駐車スペースの中に入りました。

9. ハンドルを真っ直ぐに戻す。

BlogPaint

車を止めた状態でハンドルを元に戻します。

10. 必要があれば前後、左右の移動調整をする

駐車スペースからはみ出していたり、前後が空き過ぎていたら、切り返しなどをして、適切な位置に移動します。

特に、前輪が駐車スペースに回り込む時に、前の車に接触しないようにくれぐれも注意します。

しっかり止まることはしっかり確認するタイミング

  • 最初の駐車スペースの障害物の確認
  • 前の車の真横に止まって後方の確認
  • 真っ直ぐ駐車スペースまで下がる後方の確認
  • 車の角度を斜めにして前の車との余裕の確認
  • 縁石と車の後方との余裕の確認
  • 車が駐車スペースに完全に収まった状況の確認

ハンドルの操作と車のバックを区別して行えば、車を止めた場面毎に確認のタイミングも生まれます。スムーズに切れ目なく行おうとして、確認を怠たることで失敗し、何度も繰り返すより、多少ぎこちなくても、しっかり止まって確認を入れることの方が、良い結果につながります。

卒業検定のチェック項目にも、バックする前の目視による安全確認、バックする途中での目視による安全確認があります。縦列駐車の各ステップに、「止まる」という工程を挟めば、目視をする切っ掛けも生まれます。

教習所の中の縦列駐車は、日常生活の場面と違って、毎回同じ環境で行います。車をどの位置で止め、どのタイミングでハンドルを切るかを、検定の前に何度も試して再現できる条件が整っています。

しっかり止まって、確認して、そしてハンドルを切る。メリハリのある縦列駐車で卒業検定を乗り切りましょう。

 

↑このページのトップヘ