高速道路は勿論ですが、片側2車線以上の幹線道路に、加速車線から入っていく時の合流のタイミングが難しいです。
- どの車もスピードが速く感じられて、いつ入ればいいか分からない。
- 躊躇していると加速車線の終わりまで来て停止してしまうことも。
- 目視ばかり気にしてると前の車とぶつからないか不安になる。
- サイドミラーだけに頼ると死角に入った車に気がつかない。
まるでサーキット場のレーサーのような心境です。一瞬の判断の間違いが事故につながりかねません。
でも、道路はよく考えられて設計されています。何のためにあれだけ加速車線が長く設けられているのか?
問題はどうやって加速してくのかです。安全に加速するのはどういう手順ですれば良いのか。それさえ分かれば合流は怖くなくなります。
安全にうまく合流する5ステップ
1、加速車線に向かう途中で前の車と距離を空ける
加速車線は、陸上競技の走り幅跳びで例えれば助走路です。助走路を前の競技者に続けて走る選手はいません。
- 前の競技者にぶつかるので十分スピードを出せない。
- スピードが出ないから遠くへ飛べない。
高速車線への合流はこれと良く似ています。自分が加速するのに十分な空間が前方になければなりません。加速が足りなければ、スムーズに本線の車の流れについていけません。
加速車線へ向かうまでの間に、できるだけ前の車との距離を確保しておく必要があります。飛行機に例えれば、これから飛び立とうとする滑走路を空けておく必要があります。
加速車線に入ってからでは遅いのです。
2、加速車線手前でウインカーを出し目視で本線の流れをつかむ
本線の車に出来るだけ早く合流の合図を送る様にします。
ウインカーは本線の車にとって「速度を緩めて入れてあげなくてはいけない」あるいは「こちらの車線を変えて避けなければいけない」という心理を起こします。
これは、自分が本線を走る立場の時のことを思い起こせば理解できるでしょう。
ウインカーを出すと同時に、本線の車の流れ方を把握します。空いているのか、詰まっているのか。空いていれば、車間距離を余裕を持って入れるし、なければ素早く入り込まなければなりません。ここが1回目の目視です。
加速車線に入る手前にしておく2つのこと。ウインカーの合図と本線の流れの目視です。
3、加速車線で加速しながらサイドミラーで後に付ける車を決める
加速車線に入ったら新たな2つのことを始めます。
本線の流れの速度に合わせるように、自分の車を加速していきます。速度が違う程合流するのが危険になります。例え速度が高くても、同じ速度ならば合流の危険度は下がるのです。
宇宙ステーションなどで米ソの乗り物がドッキングしたりします。止まっているように見えますが、ものすごい速さで動いています。2つの乗り物が同じ速さなので静止しているように見えるのです。
加速車線と本線は平行に走っているので、サイドミラーに本線の車が見えるようになります。ここからは目視でなくサイドミラーで確認していきます。
「次に来ているあの車の後に付こう!」目標とする車を見定めます。
ここが高速合流の一番重要なポイントです。本線の車の「前に」入り込むのではなくて、車の後に付ける意識です。この意識の違いで合流に余裕が出来ます。追われるのでなく追う立場の違いです。
加速車線に入ったら、加速することと、サイドミラーで目標を定めること、この2つを行います。
4、合流地点に向かって目標の車の斜め後方に付ける
後に付ける車が目標設定されたら、後は「追う立場」になってその車を追走します。
まだ加速が十分ではないので、加速車線を加速し続けながら、目標の車の斜め後方に近づきます。
いつでも本線に入っていける体制を整えます。
加速車線は十分にありますから、焦らずに目標に向かっていきます。目標の車に「ロックオン」した状態は、後方から来る車にも「ああ、あの車は前の車の後に入りたいんだな」ということを知らせることにもなります。
加速車線を有効に使って、後ろから来る車に「ロックオン」していることを知らせましょう。
5、目視で後続車の安全を確認して緩やかに合流する
加速も本線の流れの速さに追いつき、ロックオンも十分、そうなったら、目視をしてサイドミラーの死角に後続車がいないことを確認します。2回目の目視です。
ここでいきなりハンドルを大きく切ってはいけません。緩やかな斜めに入っていくようにします。前の車の斜め後方から、ゆっくり真後ろに付けるような感覚です。
後ろに付けたら、後はゆっくりと車間距離を確保していきます。
追われる恐怖から追う余裕へ
前に入るから「恐怖」後ろに付ければ「余裕」
合流が怖く感じるのは、加速が十分にない内に、本線を、後ろから迫って来る車の前に入り込もうとするからです。
例え加速が十分であっても、前に入ろうとすると緊張します。どうしても自分の車に近づいてくる感覚になります。
そうではなくて、本線を、自分の横を通り過ぎて行った車の後を追いかけて、その車の後ろに付けるのなら、自分から近づいていくので恐怖はありません。意識は後方の車でなく、前方の車に集中します。
自分に迫って来る車の恐怖から、自分から遠ざかろうとする車を追いかける余裕に変わります。
目視は最初と最後の2度だけ
加速車線でもたつくのは、目視ばかりしていて加速ができないからです。加速車線は本線と平行しているので、目視しようとすると相当顔を振り返らなければできません。
後ろを見ながら加速する恐怖です。
目視は、加速車線に入る手前に全体の流れをつかむ時、本線に合流する直前にサイドミラーの死角を確認する時の2度だけにします。
加速車線では、サイドミラーで本線の確認に徹します。
後続車にとって加速しないのはかえって危険
本線を走っている立場から思い起こしてもらえればわかります。
加速車線から入ってくる車を確認して、追い越し車線へよけるか、速度を緩めて譲ります。
譲った相手が加速しないまま躊躇していたら、こちらはどんどん近づいていき、入りたいのか入らないのか判断に迷います。
本線を走る立場からすれば、多少車間距離に余裕がなくても、加速して合流してくる車の方が安全に感じます。合流する意図が見え、行動が予測できるからです。