駐車場でバック駐車の車と通過する車の接触事故を防ぐルールはあるか?

駐車場の事故で多いケースは、バック駐車を始めた車と、その横を通り過ぎようとした車の接触事故です。

バック駐車をしている車の後方の確認不足、横を通り過ぎようとした車の注意不足、原因は双方にあるはずですが、現場では自分の過失を認めたがらない場合が少なくありません。

  • 「バックを始めているのは見れば分かるだろう!」
  • 「止まっているから追い越そうとしたら突然バックして来た!」

果てには、「ぶつかりそうなら、なぜ後ろからクラクションを鳴らさなかった!?」、「まさかバックして来ると思わないから、びっくりして停車した!、止まってる車にぶつけた方が悪い!」と、事故の現場では相手の落ち度を探そうとする心理が優先してしまいます。

理由があって長く停車中の車への接触でない限り、一方的な過失の割合にはなりません。接触する前後には双方の車は動いていたわけなので、双方に過失の責任が発生します。

事故が起きてからは保険会社へ一任するのが得策ですが、事故が起きないように未然に対応をしておく必要があります。バック駐車での事故を起こさないためには、「これからバック駐車を始めますよ」という意思をはっきり伝える方法やルール(マナー)を知っておくことです。

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バック駐車の場面での運転者の心理

駐車場の通路に入って、「どこが空いているかな?」と、左右をキョロキョロ探しながら進んでいきます。「あっ、あそこが空いている!」と空きスペースを発見します。

自分がバック駐車をする側の論理

  1. 空きスペースの側に車を寄せて一旦停車する。空きスペースの前で停車しているから、これから駐車するのは分かるだろう。
  2. 前方、右側、後方の安全を確認して、ハンドルを切って車を斜めにする。もう、通路の妨げになっているから、まさか横を通る車はいないだろう。
  3. 車を後退させて駐車スペースに向かう。後方を確認しながら下がっていく。

他人のバック駐車に気づかない側の論理

  1. 停車しているのは、後方や横を通り過ぎる車を確認しているのだろうから、まだ横を通り過ぎても大丈夫。
  2. バック駐車の体勢になっていても、通路が広ければ、通り過ぎても相手はルームミラーで気がつくだろう。
  3. 車が後退を始めたらさすがに横を通り過ぎることはしない。

双方で「~だろう」という不確実な予測で行動しているのが分かります。事故はこの隙間で発生します。この双方の油断を封じるようにすれば、事故の確率を下げられます。

確実にバック駐車の意志を伝える方法

バック駐車する側が実行すべきこと

  1. 見つけた駐車スペースの前では、前方と後方の安全を確認したら、ハザードランプを点灯させて、通路を塞ぐようにして停車することです。駐車スペース側に寄せて停車すると、前後の車からは、側方を通過する車のために待機しているように思われる余地があります。ハザードランプだけでは、停車の合図しか伝わりません。いち早く車を斜めに傾けることで、より明確にバック駐車の意志が伝えられます。注意するのは、車を傾ける前には必ず前方と後方の安全を確認することです。確認したら素早く車を傾けて通路を塞いでしまうのです。BlogPaint
    <画像:車を斜めに傾けて通路を塞ぐ>
  2. 駐車スペースに向かって後退する時には、その前に必ず他の車の通行の危険がないか安全を確認することです。ルームミラー・バックモニターだけでなく、サイドミラー、目視で左右の確認をします。特に左右の確認が大切です。BlogPaint
    <画像:後退を始める前に必ず左右の通過車を警戒する>  ポイントは、いち早く車を斜めにすることで、バック駐車の体勢を作って疑いの余地を無くすことです。停車して他の車を先に通過させるのか、単に動き出す前の動作が緩慢なのか、判断の迷いを招かないようにします。

他人のバック駐車に遭遇した側が実行すべきこと

  1. 駐車スペースの前に停車している車があれば、ハザードランプの点灯の有無にかかわらず、突然動き出しても良い体制で接近します。ゆっくり接近しながら、直ぐにバック駐車の行動に入るか様子を伺います。暗い場所、夜間でヘッドライトを灯火している場合は、消灯してこちらの待機の意志を伝えます。
  2. こちらの通過を待っているようであれば、突然車が斜めに傾けようと動き出しても、ぶつからない空間を空けて通過するか、スペースがない場合は軽くクラクションを鳴らしてから通過します。あるいは、遠慮しているようならパッシングの合図をして、バック駐車するように促しても良いでしょう。

バック駐車中の接触事故には遭遇した双方に義務がある

バック駐車する側には、バック駐車しているのを周りの車は認知していて当然という思いがあります。他の車の側には、進路を妨害された、あるいは確認しないでバックして来たという思いがあります。

バック駐車する側にも、通りかかった車にも、双方に安全確認の義務があります。例え接触の瞬間にブレーキをかけて止まっていたとしても、責任は双方にあることに変わりはありません。事故が起きた後に、主張しても双方共に遅いのです。

ハザードランプやパッシング、ヘッドランプの消灯、クラクションなど、視覚、聴覚の合図と、通路を塞ぐという行動を合わせて、総合的な対応で事故を防ぐようにします。どちらか一方の義務ではなく、双方が行動しなくてはならないお互いの義務です。それが広く一般のルールになれば、事故は確実に減るはずです。