ゴキブリは幼虫で1㎜、成虫でも3㎜の隙間があれば侵入することが出来ます。

新築の家でも、周囲に古い家や草むらなどがあると、エアコンの排水ホースや換気扇などの隙間から入り込んで来ます。

車もゴキブリにとっては隙間だらけの空間です。ジメジメした地下駐車場や雑草に囲まれた駐車場などに置いておく間に、いつのまにかゴキブリは侵入してきます。

私は家の中や玄関のドアの外側に「コンバット」という駆除剤を置いています。ただ幸いのことに、今まで車の中にゴキブリが入ってきたのを見たことはありません。

最近は温暖化の影響か、冬の次は直ぐに暑い日が来るような印象です。災害も多くて、ゴキブリに適した環境へ向かっているような気もします。

車中泊などもする人が増えてきて、車の中で飲食をする機会も多いです。もし、車の中でゴキブリを発見しても慌てないように、今から対策を立てておきましょう。車内に出たゴキブリをどう駆除するのが最も安全で確実な方法か、調べてみました。

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「 コンバット」・「ブラックキャップ」と「ごきぶりホイホイ」はどうか?

家の中でゴキブリ退治に使うポピュラーな製品に、「コンバット」・「ブラックキャップ」・「ゴキファイター」と「ごきぶりホイホイ」があります。

コンバット・ブラックキャップ・ゴキファイターは、餌を食べたゴキブリが巣に戻って死にます。死ぬ前にした糞を、他のゴキブリも食べるので、2度の効果があるとされています。ごきぶりホイホイは、餌に寄ってきたゴキブリを、粘着剤のマットで捕獲します。

コンバット・ブラックキャップ・ゴキファイターの餌は、ヒドラメチルノンやフィプロニルなどの殺虫成分が入っていますが、ごきぶりホイホイの餌は、魚粉、穀物、糖類などの食品から作られています。

<出典動画:『【実験】ブラックキャップの実力(コンバットとの比較)』YouTube>

車の中でコンバット・ブラックキャップ・ゴキファイターを使った場合、ゴキブリの死骸が車の内部に残る可能性が高くなります。また、餌に殺虫成分が含まれているので、小さい子供がいる場合には好ましくありません。

<出典動画:『【実験】ゴキファイターの実力』YouTube>

ごきぶりホイホイは、ゴキブリを捕獲して、そのまま捨てられる利点がありますが、ビーフ、エビ、野菜などの台所の臭いを再現した誘引剤を含んだ餌が、外のゴキブリを招き寄せる可能性があります。車にはゴキブリが入り込める隙間があるので、ゴキブリが好む臭いの餌を使った製品を車内に置くのは良くありません。

<出典動画:『【大量捕獲】ゴキブリホイホイの威力ヽ(゚Д゚;)ノ!!(※グロ注意…虫の苦手な方は見ないでください)』YouTube>

コンバット・ブラックキャップ・ゴキファイターを車内でなく、自宅車庫の中に仕掛けておくのは、車の外でゴキブリを退治する効果はありますが、車内で使用するのは適切ではありません。コンバット・ブラックキャップ・ゴキファイターもごきぶりホイホイも、車内に侵入したゴキブリの退治には向かないと判断します。

「バルサン」はどうか?

「バルサン」は殺虫成分を含んだ薬剤を煙や霧状にして密室に散布する殺虫剤です。バルサンの販売元では、「車の中では製品を使用しないでください」と回答しています。ただ、その理由までは説明されていません。

テレビやパソコンなどの電化製品に対してはビニールなどでカバーをかけて薬剤が触れないようにとの注意があります。また、エアコンは電気を切り、冷蔵庫や電話はそのままで大丈夫ともあります。

おそらく電化製品の中でも、特に精密機器への影響を考慮しているように思えます。販売元の説明だけでは、物足りないので、もう少し調べてみると、ハードディスクやCD-ROMなどの駆動部分の接触面に薬剤が付着すると動作に障害をもたらす恐れがあるとか、基板の電極を薬剤が酸化して皮膜をつくる可能性があるなどの推測がされていました。

<出典動画:『バルサンの使い方と破壊力を、ど素人の父に頑張って伝えてもらう』YouTube>

車にはエンジンをコントロールする精密機器は勿論、カーナビ、CD-ROMなどの電子機器が装備されています。車と一体になっているので、機器だけカバーで覆うことは不可能です。

また、車での使用は漏れた煙や霧の影響が周囲に及ぼしてトラブルになることも考えられます。薬剤には引火する可能性もあり、屋外での使用に懸念があるのかも知れません。

薬剤の成分に関しては、フェノトリンという物質が、幼児やペットに与える影響を心配する意見もあります。フェノトリンが皮膚に触れると炎症を起こしたり、体内に入ると痙攣や肝機能に障害をもたらすとされています。販売元では、使用後に空気を入れ替えて、掃除機をかけ、拭き取りをすれば危険はないとしていますが、狭い車の室内で使用するには不向きな製品といえます。

ホウ酸団子はどうか?

ホウ酸は無味無臭の白色の結晶です。毒性は人間にとっては塩と同程度で、過剰に摂取しなければ問題はありません。(致死量は体重1㎏あたり2g~4gで、体重60㎏の人で120g以上)無味無臭なので、特に幼児やペットの誤食には注意が必要となります。

ホウ酸は腎臓機能のない虫にとっては毒性の強い効果があります。無味無臭のホウ酸そのものをゴキブリは食べないので、臭いを出すタマネギや焼き肉のタレなどを小麦粉と一緒に練り込んで作ります。

【ホウ酸団子のレシピ例(ホウ酸10%)】

  1. ビニール袋にホウ酸10g、砂糖15g、小麦粉40gを入れよく混ぜる
  2. 玉ねぎ20gをみじん切りにして、電子レンジで柔らかくなるまで加熱する
  3. 1の袋に、2の玉ねぎと水15g、焼肉のタレ数敵を加えて混ぜる
  4. ビニール手袋をはめる(ホウ酸は経口摂取毒性があるため、手につかないようにする)
  5. 3を小分けのお団子にして完成 (出典:『ホウ酸団子の作り方』http://cockroach.hajime123.net/10.html

ホウ酸の量は10%~20%がゴキブリの摂取量が最も多く効果的です。ただし、ホウ酸を食べたゴキブリの糞を他のゴキブリが食べて2次的効果を期待するには、ホウ酸の量を40%以上に増やす必要がありますが、ゴキブリの摂取量は減少するデメリットがあります。

作るのが面倒な場合には、製品も販売されています。

<出典動画:『【実験】ホウ酸団子ゴキンジャム試してみました Housan-Dango』YouTube>

ホウ酸団子を食べたゴキブリは、1週間から半月で死に至ると言われています。また、ホウ酸団子の毒性は、ホウ酸を食べたゴキブリが産んだ卵には影響せず、そのため、卵が孵化してホウ酸団子を食べるまでの50日程度の期間は続ける必要があります。

<出典動画:『【実験ゴキ注意】フマキラーホウ酸団子試してみた!』YouTube>

ホウ酸はゴキブリの足や触覚に付着した場合でも、毛づくろいで舐めたり、呼吸をする気門という穴に入って死ぬ可能性もあります。そのため、ホウ酸の粉をゴキブリの通り道に撒いておく方法もあります。

ホウ酸団子を車内で使うことを考えると、幼児が誤食しないかどうかの問題とゴキブリの死骸の問題です。幼児にはお菓子のようにも見え、食べたゴキブリはホウ酸団子から離れた場所で死にます。

ホウ酸団子は「コンバット」と同じように、車庫の中に置いて車の外側で退治するには向いていますが、車内で使うには不向きな方法と判断します。

ゴキブリが生きていけない環境を作る

いくつかゴキブリ対策を見てきましたが、ここで、そもそもゴキブリが生きていけない環境を知ることが重要だと思いました。ゴキブリが生きていけない、餌や温度や湿度の状態とはどういうものなのでしょうか?

ゴキブリは何があれば生きながらえるのか?

ゴキブリは食べ物の生ごみや食べこぼし、人や動物のフケ・髪の毛・爪などを食べているらしいことは良く知られています。改めて、ゴキブリの好物を調べてみました。

  • 砂糖
  • ジャガイモ・タマネギ
  • チーズ
  • ビール 「ゴキブリはグルメか!」と突っ込みたくなります。そして、ゴキブリは夜行性で、臭いをかぎ分ける能力が発達しているため、ネギやニンニク、山椒、干しエビ、煮干しなど、香りの強い野菜や乾物を好みます。食べ物以外では、固形石鹸も好物にしています。

車の中にお菓子の食べこぼしなどを、そのままにしておくのが良くないことが良く理解できます。

それでは、掃除機を入念にかけて、食べかすなどのゴミがなくなったとしたら、それでもゴキブリが生きられるものは何でしょうか?

ゴキブリは水1滴で3日、油1滴で5日生き延びられるそうです。(出典:アース製薬『害虫なるほど知恵袋』)こうなると、掃除機をかけただけでは限界があることが分かります。

ゴキブリが嫌いなもの

ゴキブリの天敵は、ネコ、ムカデ、クモですが、車のゴキブリ退治に利用するのは現実的ではありません。嫌いなものとしては以下のようなものがあります。

  • アルコール
  • 食器用洗剤
  • ハーブの香り ゴキブリは塩を食べると脱水症状になってしまうそうです。アルコールや食器用洗剤は、呼吸する気門という穴を塞がないように、身体から出している脂分を洗い流して、気門を塞いで窒息させてしまうからです。

また、柑橘系や清涼感のあるハーブの香りは、ゴキブリは苦手です。ゴキブリが嫌いなハーブには以下のものがあります。

  • ミント、ハッカ
  • タイム
  • ローズマリー
  • ベチバー
  • キャラウエイ
  • セロリ
  • クミン
  • レモングラス
  • ニーム
  • ピレスラム(除虫菊)
  • シトロネラ
  • ナツメグ
  • メイス
  • クローブ
  • ユーカリ ハーブの中にも、バニラビーンズ、アニス、シードなど、ゴキブリが好物にしているものもあります。どちらかというと甘い香りのハーブです。

車を掃除するなら、掃除機の他に、柑橘系の食器用洗剤で、室内を拭き取るのも効果がありそうです。

また、ハーブのアロマオイルでスプレーを作り、車内にスプレーするのもゴキブリは嫌がると思います。 【ゴキブリが嫌いなアロマスプレーの作り方】 <材料>

  • ハーブのアロマオイル(数滴~10滴)
  • 無水エタノール(消毒用エタノールは水が20%入っているので不向き)
  • 水40ml(水道水でも可だが精製水がベター)
  • 遮光性のある青や茶色のスプレーボトル(ガラス製のものが良い) <注意>
  • プラスチックのスプレーボトルはオイルによっては劣化の恐れがあります。
  • 保存料を使用しないので使用期限は10日~2週間とします。
  • 無水エタノールを使うことで水とアロマオイルを混ぜることが出来ます。
  • 精製水は薬局で購入可
  • おすすめのハーブはキャラウエイ、ベチバー (出典:『ゴキブリに効果のあるハーブ14選』https://taskle.jp/media/articles/474

<出典動画:『【ゴキブリ回避100%!?】子どもがいても安心!ベチバーアロマスプレーの作り方【害虫対策】』YouTube>

ゴキブリが生きていけない温度は?

ゴキブリが生きていける限界の温度範囲は7℃~45℃で、活発化するのは18℃~35℃とされています。

7℃を下回ると成長できなくなり、-5℃~-10℃になると死んでしまいます。暑い方では、32℃を超えると少しずつ活動が鈍り、42℃を超えると体内のタンパク質が固まり始め死に至ります。

車の場合、室内が7℃下回るのは冬季で、45℃を超えるのは夏期になります。したがって、春や秋の頃に車に侵入するゴキブリへの対策が必要になります。ゴキブリの産卵期は5月~10月なので、5月と10月辺りが車への侵入の要注意月なのかも知れません。

ゴキブリが生きていけない湿度は?

ゴキブリが好む温度は分かっていますが、湿度については調べてもはっきりしませんでした。75%以上の湿度を好むという意見もありましたが、アース製薬で実験用に飼育しているゴキブリの飼育室の環境は、温度は25~28℃で、湿度は40~50%に保っています。これは人間が快適に感じる環境とあまり変わりません。

恐らく湿度を限りなく下げて、カラッカラの乾燥状態にすれば、水が1滴もない状態に等しく、ゴキブリの生きていけない環境になると思いますが、正確なデータもなく、車の中で湿度をそこまで下げるのは難しいでしょう。

掃除してアロマスプレーをエアコンで循環させるのがベスト

いろいろ対策グッズを見てきましたが、安全で手軽な車内のゴキブリ駆除の方法は、丹念に掃除機をかけ、柑橘系の食器用洗剤で拭き、ゴキブリが嫌いなアロマスプレーをして、エアコンで循環させることがベストではないかという結論に至りました。

毒性のあるものを車内に置くより、身体に安全な物を使った方が良いし、車のエアコンは一年中稼働させているので、特に面倒なこともありません。エアコンをかけることは車内の除湿をしていることでもあるのですから。(エアコンをかけていると、除湿した水が車のしたから垂れています)

ゴキブリを死なせる確実性よりも、車から追い出して寄せ付けない確実性の方が、安心してゴキブリ退治できる方法だと思います。

気に入ったアロマスプレーを、時々車内に循環させるのを日頃の習慣にするのも、気分のリフレッシュとゴキブリ対策の一石二鳥になりますよね。どのハーブが効果あるか試すのも楽しいかも!