真っ直ぐ中央にバック駐車が出来るハンドル操作とサイドミラーの見方

バック駐車の方法は、車に角度を付けて真っ直ぐにか、あるいは90度の位置から、駐車スペースに円弧を描いて後退していくなどのやり方で行います。

駐車スペースの枠に入ることも大きなバック駐車の要素ですが、今回はスペースの枠内に入るところからの問題点に焦点を当てたいと思います。

駐車スペースの入り口に入ってから、奥の車止めまで後退していく間のハンドル操作とサイドミラーの見方です。車が真っ直ぐにならない、中央に停められないなどの問題は、入り口から車止めまでのハンドル操作とサイドミラーの見方に原因があります。

  • ハンドルで真っ直ぐの位置が判断出来ない。
  • 曲がったまま、あっという間に車止めまで行ってしまう。
  • サイドミラーを見ているつもりなのに曲がってしまう。
  • 上手く出来たつもりでも、降りてみると真ん中に停まっていない。

誰でも確実に、駐車スペースの中央に真っ直ぐ停められるようになるコツがあります。それはハンドルの操作ですが、同時にサイドミラーの見方でもあります。サイドミラーの見方が間違っているから、ハンドル操作も間違うことになるのです。

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0)ハンドル操作は【送りハンドル】を用いる

バック駐車の前半部分、つまり、駐車場の通路に入って来て(あるいは車庫前の道路を走って来て)、駐車スペースの入り口に車の後部を向けるように車を傾け、入り口に向かってバックして行く。ここまでの部分はクロスハンドルでも構いません。

しかし、バック駐車の後半部分、すなわち、斜めに傾いていた車を真っ直ぐになるように回転し、駐車スペースの奥の車止めまでバックして行く。この工程にはクロスハンドルでなく、送りハンドル(プッシュプルハンドル:Push Pull Handle)を用います。

<出典動画:『ハンドルの回し方を使い分けろ!AT/MT車共通』YouTube>

クロスハンドルは大きな量を素早く回転させることが出来るので、瞬時の方向移動には向いていますが、その分、回転させ過ぎてしまう危険性も高いのです。

送りハンドルは回転する量とスピードが緩やかなので、慎重な方向移動を必要とする場面に適しています。私は、左折と右折の時と、バック駐車、縦列駐車の時などには送りハンドルを使っています。回転する量も少なくスピードも遅いので、その分正確で、視覚的な確認をする余裕も生まれます。

1)【出来る限り手前に】ピボットエリアを想定する

駐車スペースの入り口(間口)のライン上にピボットエリア(内側の後輪を軸として回転するエリア)を想定するのが一般的ですが、より簡単に確実に、車体を真っ直ぐ中央に駐車させるには、このピボットエリアを、出来る限り手前に想定します。

ピボットエリアで回転して、駐車スペースの枠内に入り込むことは特別難しいことではありませんが、1回で「完璧に」真っ直ぐ、「完璧に」中央に入り込むことは、そう簡単なことではありません。

<出典動画:『初心者運転 サイドミラーだけで車庫入れするコツ 駐車』YouTube>

この動画でも分かるように、ピボットエリアの想定が駐車スペースの入り口の角に想定すると、その後の修正に用いられる奥までの距離が短いために、前進して修正を余儀なくされています。この動画の駐車場のように通路に余裕がある場所では、もっと入り口よりも手前にピボットエリアを想定すれば、前進でやり直さなくても、奥までバックする間に修正が可能になります。

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<出典画像:『出来る限り手前にピボットエリアを想定する』>

駐車スペースの奥、車止めまでバックする間に、方向をハンドルで修正しますが、修正に用いられる距離が長い程、修正が容易になります。

斜めの角度から接近して、車を立て直すために回転するポイントの、ピボットエリアが手前である程、その後の修正に距離的な余裕ができます。

一般的な入り口ライン上の位置より、その延長線上の、より手前にピボットエリアを想定して、そこを目標に内側の後輪を接近させます。

2)【回転終わったら中央に】の意識

多くのバック駐車では、40度から60度くらいの角度で、駐車スペースに入ってきます。真っ直ぐ入ってくる場合もあれば、小さな円弧を描きながら入ってくる場合もあります。狭い場所では、角度を付けずに直角に円弧を描いて入る方法(直角バック、直角駐車)もあります。

いずれにしても、重要なポイントは、駐車スペースの入り口から少し入った地点を、左右の後ろのタイヤが通過する時には、車体がスペースの中央になっていなければならないという意識です。

車を傾けた角度から入ってくる場合、内側のタイヤを軸に外側のタイヤが円弧を描くように入ります。(いわゆるピボットエリアを中心にした車の回転)この回転が終わった時点で、駐車スペースの入り口から3分の1付近で、車体がスペースの中央になっていなければなりません。

最も求められるのは、車体が中央にあることで、真っ直ぐになっているかは二の次です。

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1度で中央に入るのは難しいことなのですが、目指す理想は中央になっていることです。車体が真っ直ぐになているかどうかよりも、中央になっているかを重視します。

ピボットエリアでの回転が終わった時、両方のサイドミラーで確認するのは、手前の方ではなく、駐車スペースの奥、車止めや奥の白線から判断して、左右で同じような隙間になっているかどうかを見るのです。駐車スペースの奥の方をサイドミラーで確認することによって、車が駐車スペースの中央に回り込めたかどうかを判断します。

駐車スペースに回転した入り込んだ時に重視するのは、真っ直ぐであるかどうかよりも、車体が、特に車体後部が、駐車スペースの枠の中央に来ているかどうかを意識するようにします。その時点で車体が真っ直ぐでなくても、奥にバックしていく工程で真っ直ぐに修正されます。

3)【左右の隙間が均等に】なるようにバックする

車が駐車スペースの中央にあるかどうかは、スペース奥の車止めや白線が、車の後部からはみ出した分で判断します。

できる限り早い段階で、駐車スペース奥の左右の隙間が均等になるようにハンドルを操作します。サイドミラーで見るポイントは、手前ではなく車止めや奥の駐車枠の白線が、車の後部の左右からはみ出した分が均等になる様にするのです。

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<出典画像:『左右の隙間が均等になるようにバックする』>

車がバックするに従って、隙間の均等が整って行きます。均等を維持したままバックしていけば、自然に車体は真っ直ぐになっています。

左右どちらか片側だけの白線に沿って、車体を平行にしながらバックする方法もありますが、スペースの中央に停めることは同時には出来にくいのです。

サイドミラーの片側だけを見ながらバックして行くのではなく、両方のサイドミラーの奥の方、車止めや奥の白線を見て、均等になるようにハンドルを操作しながらバックして行きます。

4)大きなズレは【前進して修正】する

車の左右の後輪が駐車スペースに入り、車体が真っ直ぐ近くになる時点では、既に駐車スペースの3分の1に達しています。回転の後、中央の位置に回り込んでいない場合、ズレが大き過ぎると、その後のバックする過程で修正しきれません。

無理に修正しようとすると中途半端な傾きのまま車止めに達してしまいます。これは、バックしながら幅寄せしているのですが、距離が足りないために、幅寄せの途中、つまり車の傾きを元に戻せないまま停止してしまうことになるからです。

そのような時は、前進して幅寄せをしながら、車が中央に来るようにハンドルを操作します。この場合でも真っ直ぐさせようとする意識でなく、中央に移動させる意識で行います。

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<出典画像:『前進して幅寄せしながら中央に移動する』>

例えば、左側の隙間が大きすぎると判断した場合、前進しながら左にハンドルを切ります。左側に修正した分車が寄ったら、ハンドルを右に戻して車体を真っ直ぐにします。左右のサイドミラーで後方の隙間を均等になるように調節しながらバックします。

1回のバック駐車で曲がったり偏って駐車するよりも、一旦前進して、真っ直ぐ中央に駐車出来た方が、自分でする評価も、周囲から見られる評価も高いのです。駐車スペースの中に、綺麗に収まっていない自分の車を見るのは、いつまで経っても良い気分ではありません。