各車メーカーから、自分の車を俯瞰してみたりして、車の周囲がカーナビのモニターから確認できるシステムが提供されています。
呼び方は各社まちまちで、「全方位モニター」、「全周囲モニター」「マルチビューモニター」等々、色々異なりますが、機能的には似通っていてほとんど大差はありません。
純正のアクセサリーとして標準装備されている車や追加オプションで選ぶか、社外品を後付けで装着することもできます。
高価なシステムなので、私の車には搭載していません。「こんな機能があったらバック駐車や縦列駐車が楽だろうな」と羨ましく思っていました。
最初は、どのメーカーの全方位モニターが最も優れているのかという好奇心を働けせていましたが、それよりも、モニターで自分の車を俯瞰しながらバック駐車をする様子を見て、これまでのバック駐車のやり方、というよりバック駐車をする際の目安、目標、目的とは違った視点があることに気がつきました。
全方位モニターがない車でも、この視点とアプローチに発想を切り替えたら、今までバック駐車が上手く出来なかった人の、大きなヒントになると思います。
全方位モニターを利用したバック駐車の特徴
<出典動画:『【一日でできる】誰でもできるバック駐車のコツ【超簡単】ミラーとハンドル操作 駐車の達人』YouTube>
バック駐車が上手くなるための方法の1つとして、車を運転するシミュ―レーションゲームが挙げられます。
操作する車を俯瞰して見ながら、駐車場に入れたりする練習を通して、実際の駐車のハンドル操作や車の傾け方などを習得します。
全方位モニターを利用したバック駐車は、そのシミュレーションとそっくりです。自分の車の3D画像がハンドル操作でコントロールできるのです。
<出典動画:『ソリオバンディット後期 全方位モニターを使って車庫入れ動画 ルーミー タンクとの比較にも』YouTube> あるメーカーのものは、前輪の向きまで3D画像の車に反映され、ハンドルの回転と連動して、更に精度の高いバック駐車が出来るようになっています。
俯瞰を眺めながらバック駐車する様子を見ていて、あることに気づきました。
自分の車を駐車スペースに入れようとすると、直感的に入りやすい位置取りをしていることです。
鳥の目になったように、上空から自分の車と駐車スペースを見ています。自分の車の全体を見れるので、駐車スぺ―スに対して、適切な角度や位置取りが自然に出来るのです。
これはミニカーや玩具の車を使った場合と同様で、駐車スペースと車が全体的に捉えられるからです。直感的に最適な角度と位置取りになるように、車を自分の手で自由に置くことが出来るからです。
全方位モニターは自分の車の一部でなく、全体を見ながらコントロールできる特徴があります。
一般的なバック駐車の欠点
<出典動画:『「車庫入れのコツ」を動画で解説』YouTube>
全方位モニターを装着していない車の方が、まだ圧倒的に多いと思います。
車のおしりを駐車スペースの入り口の方に傾けて、内側の後輪が駐車枠の入り口の角辺り(ピボットエリア)を通過するように近づけるのが一般的なバック駐車のやり方です。
しかし、あくまでも運転席から見える部分だけで判断します。車全体を見る事が出来ないので、どうしても一部分から全体を想像することになります。
その一部が、内側後輪になります。内側後輪が駐車枠の一定の位置(ピボットエリア)を通過するようにすれば、車全体も駐車スペースに収まるはずだという考え方です。
サイドミラーで内側後輪が駐車枠に沿って入るようにします。車の向きも、サイドミラーと駐車枠のラインとの比較で判断します。
このような一般的なバック駐車の欠点は、
- 最初の車を傾けた段階で、駐車スペースと自分の車の位置、角度の関係を正確に把握できない。
- バック駐車の過程でも一部の情報でしか判断できない。
- 習慣化に頼るので、駐車場に合わせた柔軟な対応が出来にくい。
ある程度の自分の型のようなものが出来上がると、どの駐車場でも「経験的な勘」に頼った同じようなアプローチになります。
全方位モニターのように、駐車スペースと自分の車を俯瞰して、車の位置や角度の取り方から、入口への接近の仕方、駐車枠への収まり、車の向きの調整に至るまで、全体の「調和」を直感的に受け取りながら行うことが出来ません。
一般的なバック駐車のやり方の最大の欠点は、最適な位置と角度を取るのが難しい、あるいは、位置や角度をあまり重視せずになんとなく習慣的に行っていることではないかと、私は思います。
<出典動画:『【死ぬほど苦手だけど】CX-8を乗りこなす為にバック駐車練習!!!』YouTube>
ピボットエリアを通ることを重視するあまり、本当は一番肝心な位置と角度の取り方に慎重になっていないように思います。位置取りや角度が違っても、ハンドル操作でピボットエリアを通過すれば良いと考えているのです。
通路幅(あるいは道路幅)と駐車スペース(あるいは車庫)にとって最適な車の角度と位置取りがあると思います。全方位モニターでは全体が見えているので、駐車場の状況に合わせて直感的に出来ることが、一般的なバック駐車では、臨機応変な最適な解(その場に適した位置と角度)でなく、習慣化された解(いつもの位置と角度)で毎回行っているように思います。
後輪1点でなく後部全体を意識する
内側の後輪をピボットエリア(駐車スペース入り口の角を中心にした半径50㎝の円の範囲)を通過するような、車の一部を焦点にするのではなく、全方位モニターの俯瞰した視点のように、車全体を駐車枠に入れるようにイメージするのです。
といっても、サイドミラーからは車の後方の一部しか見えません。そのため、出来るだけ全体を想像しやすい部分を見るようにするのです。
それは、車の後部が駐車スペースの入り口に収まるように見るのです。後輪がピボットエリアに向かう、点の流れる線として見るのでなく、車の後部全体が駐車スペース入り口に収まって入っていくように、面が流れる線を意識するのです。
表現が難しいのですが、後輪がピボットエリアを通過するのを、点が作る1本の線とします。それに比べて、車の後部(角でなく車幅として)が面として、駐車スペースの入り口に収まっていくようにイメージします。
勿論、車の後部は一部しか見えません。駐車スペースの入り口も一部しか見えません。しかし、その一部から面を想像します。
簡単に言えば、内側後輪だけ駐車枠に入れるようにするのでなく、車の後部全体を駐車枠に入れるように意識するのです。
そういう視点を持つと、最初の車を傾ける段階でも、内側後輪をピボットエリアに向けるようにするのでなく、車の後部全体が駐車スペース入り口に収まるように傾けるのです。
後輪1点に合った意識が、後部全体に広がります。後部全体を意識すると、最初の車を傾ける段階から、入り口に収まる位置と角度になるように、車全体を最適な位置取りになるように、全体の位置関係を意識するようになっていきます。
サイドミラーから見えている車の後部は部分的ですが、全方位モニターで俯瞰したイメージを持つのです。そうすれば、駐車場(車庫)が変わっても、全体の状況から直感的に反応した、最適な位置と角度が取れるようになるのです。
自分の車をシミュレーションゲームのように、俯瞰的に見ているようなイメージ、車や駐車スペースの1か所に焦点を定めるのでなく、全体の位置関係として捉えるように発想を変えてみるのです。
「後輪を角に合わせて」とか「隣の車のタイヤが見えたら」とか、どの駐車場でも同じやり方で、なんとなく出来たり出来なかったりで、どうも一部に合わせるやり方で上手く出来ていない人は、むしろ全体を上空から見下ろした視点で、発想を変えてみたらいかがでしょうか?
<出典動画:『【駐車の練習に最適!】駐車の達人4実況』YouTube>
<出典動画:『【Car Parking】自由度が高くて面白い駐車ゲーム!!車からも降りれる⁉』YouTube>
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