「名古屋走り」という言葉を聞いたことはありますか?

私は知りませんでした。偶然知ったのですが、今時そういう、地方特有の「運転マナー」が存在することに驚きました。

昔、関西方面のそうした評判があったことは知っていましたが、車社会が均一化した現在も、そういうローカルルールみたいなものが残っているとは信じられませんでした。

もっとも、そういった風評は部分的な現象で、全体を表わすものではないとは思います。何度か大阪や神戸周辺を運転したこともありますが、特別な違和感を持ったことはありませんでしたから。

しかし、一部に「名古屋走り」と特別視したくなるような現象は確かにあるようで、多くの人の見聞がうかがえます。

私も興味があって「どんな運転をするのだろう?」と見てみました。最初は「名古屋人はしょうがないなあ」と他人事でしたが、次第に「私も同じことをしていた・・・」に変わりました。

県民性とかで片付く問題でなく、個人的な「欲」が原因だと反省しました。「名古屋走りは」私の中にもあったのです。

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こんな名古屋走りは私はしない!

全国的知られている「名古屋走り」には、「いくら何でもそこまではしたくない」という運転の仕方があります。

<出典動画:『名古屋走り#1 交通事故死数12年連続ワースト1位の実力』YouTube>

ウインカーを出さない

都市部では、左車線に駐車している車を避けるために、右側車線へ進路変更する際にウインカーを出さない場面が多く、郊外では右左折の際にウインカーを出さない傾向を指摘されています。

県内のドライバー間では意思疎通ができているので、前を行く車の動きを予想して、車間距離をとって警戒しながら運転しているようです。

<出典動画:『暴走名古屋走り タント現れる』YouTube>

直進車線からの右左折

ウインカーを出せば、直進車線からの右左折が普通の行為として横行しているようです。

ウインカーを出さない車に慣れているので、ウインカーを出すのは特別な明示行為なので、周囲の車には良く分かってもらえることと決めつけて運転しているに違いありません。

ウインカーさえ出せば、何でも出来る万能の免罪符のように見えます。

車線またぎ

名古屋の都市部では道幅が広く車線が多いので、左車線に駐車する車も多いため、左車線と右車線の両方にまたがって走るのが普通の行為になっているようです。

駐車している車を避ける度に右側に膨らむのが面倒なので、ずっと2車線をまたいだままにして、後ろの車に入られないように自分のスペースを確保したい心理が働いているのでしょう。

車線またぎが日常化してくると、駐車している車がない道路でも当たり前のように行う車も出て来て、タクシーなども進路変更がしやすくなるためか、車線をまたいで走ることが多いようです。

<出典動画:『名古屋走りというよりほとんど逆走』YouTube>

左車線は追い越し車線

車線またぎと関係しますが、都市部で左車線に駐車する車が多いため、左車線を走るのを避ける車も多いので、かえって左車線が空いている状況が生まれます。

そこへ我先にと考えている車が、追い越し車線のように、右側の斜線の車よりスピードを出して走る光景が見られます。

当然車線またぎの状態で速度を上げて走るので、自転車やバイクとの接触だけでなく、駐車している車から降りようと空けたドアとの衝突の危険性もあります。

ただし、高速道路での路肩走行は、渋滞の際には関東でも普通にみられる光景です。日常化していない点が異なります。

歩道を左車線のように使って、追い抜いていくドライバーもいます。

<出典動画:『これぞ名古屋走り!信号で停車中反対車線&歩道Wで追い抜き。無茶苦茶です。』YouTube>

車間距離のない割り込み

左車線を追い越し車線のように速度を上げながら、車線をまたいで走り、そのままウインカーも出さずに、スペースがなくても強引に右車線に割り込む場面や、右折車線が混雑して直進車線を塞いでしまっている時、左車線に無理に割り込む場面などが見られます。

車間距離がない場合でも、強引に割り込めば、後ろの車の方が察して譲ってくれるという、暗黙の了解があるようです。

ドライバーどうしの意識の共有があるので、ウインカーを出さなくても、後ろの車は前の車の動きの予測ができ、前の車も強引に割り込むことに、後ろめたさを感じることが少なくなっているのです。

<出典動画:『急に車線変更・名古屋走り[ドライブレコーダー映像]』YouTube>

車間距離を詰めて煽る

他人より少しでも先に行くことに優越感を覚えることが、日常化されると、感情を伴わなくても、速くいくことが当たり前になっていきます。

自分の車の前にスペースがあれば進み、前の車が自分の前に立ちふさがれば、ギリギリまで詰めてから我慢できずに追い越して行きます。追い越せなければ煽り続けます。

自分の前にスペースが空くことが罪悪のよう感じて、誰よりも先を急ぐことが、全員の目的であるかのような共通の価値観を持っています。車間距離を空けるのは、運転が下手な人のすることという認識です。

<出典動画:『【カオス】原付に煽るアルファードにそれを煽るハイエース』YouTube>

右折車を追い越して右折

前の右折待ちしている車に、「自分なら行けるのになぜ行かない!」と感じた後続車が、先頭の右折車を追い越して右折するケースです。

先頭の右折車と接触することも、横断中の歩行者に気がつかない可能性もあります。大変危険な行為ですが、「誰よりも速く行きたい」、「他人のために無駄な時間を取られたくない」、「自分の方の運転が優れている」といった、多様な心理が働いています。

私は関東圏に生活していますが、この恐ろしい行為を、今までで2回ほど見たことがあります。「自分の運転が上手いと思ってやってるんだろうなあ」「そこまでして先に行きたいのかなあ」と思って眺めていました。

<出典動画:『右折待ちを追い越して右折して行った車』YouTube>

対向車線を逆走しての右折

片側1車線の道路で、渋滞している先の路地で右折したい場合、対向車線を逆走してまで、速く右折しようとする車があります。

対向車と鉢合わせになっても、自然な行為のように右折していきます。アンビリバボーな世界です。

<出典動画:『「また名古屋走りの怖さを知ってしまった・・」 投稿動画に驚きの声』YouTube>

右折フェイント

直進車線が混んでいる時に、右折車線で行けるところまで進み、直進車線の前の方で強引に割り込む行為です。

また、右折車線のまま交差点に進入してから、交差点の中で直進車線に入ってこようとする行為もあります。

この行為を最も奇異に感じて、最も名古屋走りらしくを感じました。「ここまで、自分のために都合よく何でも利用するのか!」と思いました。

<出典動画:『待ち:GW名古屋走り!?会社看板の車で、右折レーンからの割込みスゴイな!』YouTube>

信号無視

<出典動画:『トヨタ キャミ これぞ名古屋走り(-_-)【ドライブレコーダー】』YouTube>

●赤になってからの右折の続行

交差点の中に右折車が残るのは邪魔になるので、赤信号になりかけの右折はどこでも見られますし、私もそうしています。

しかし、名古屋走りのそれは度を越しています。赤信号に変わってから右折しようと飛び込んで来る車が何台も続き、青信号になっても直進車は右折が終わるのを待ってくれています。

●赤に変わる瞬間まで直進

<出典動画:『信号無視 右折できない 名古屋走り ドライブレコーダー』YouTube>

「黄色はスピードを上げて交差点を速く通過せよ」と認識しているようで、黄色で停車する車は、後続車に抜かされていきます。

赤に変わる瞬間までは、直進するのが当たり前になっています。「黄色は止まれ」と認識している車への追突や、青信号で渡り始める歩行者への接触も危惧されます。

黄色信号で止まっている車を追い越してまで直進する車もいます。アンビリバボー2。

<出典動画:『名古屋走り 小ネタ』YouTube>

●右折矢印が出ている間の左折

進行方向の右折矢印が出ている間は、当然対向車線の右折矢印も出ているタイミングなので、左折する車と鉢合わせになる可能性が高いのですが、「ラッキーな空白の時間」とでも考えているのでしょうか、隙あらば狙っていく精神なのか、他では見られない現象です。

速度超過

トヨタ自動車のおひざ元らしく、道路が整備されて、車線の多い広い道路なので、比較的渋滞が少ないこともあって、自然と制限速度を大きく超えて走る車の割合が多いようです。

しかし、スピード違反は全国的に見られる行為で、名古屋特有の印象はありません。

もし特徴があるとするなら、他の地域ではあまり見かけないような、普通の主婦がものすごいスピードで走り抜けていく、みたいな傾向でしょうか。

合流で譲らない

少数意見とは思いますが、合流で譲ろうとしない人が多いというものがありました。

私は合流で譲ってもらえなかった経験はほとんどありません。譲り合う必要のある合流地点は、双方の速度も落ちているところです。お互いのドライバーの表情が確認できるので、あからさまな態度はしづらいと思います。

名古屋走りと決めつけるには、まだ確証がありません。

名古屋走りは中国や台湾でも見たことがある

「路上はレースコース」「1㎜でも先に行くものが勝者」

こういう印象を受ける運転マナーを、私は中国や台湾で見た経験があります。

二十年近く前の台湾。特に台中から台南にかけての交通マナーは酷いものでした。バイクに家族全員乗せているのではと思えるような光景や、赤信号でも四方八方から車やバイクが押し寄せてきました。

道路を一人では渡れなくて、日本からの旅行者が数人ずつ手をつないで渡ったことを覚えています。

しかし、先日訪れた台湾では、オートバイこそ洪水のように走っていますが、みんな2段階左折(台湾は右側通行なので)で、きちっと交差点を左折していました。

十数年前の中国のいくつかの都市を訪れた時は、台湾と同様に信号を守らないドライバーが多く、歩行者より車を優先する社会に驚きました。

車線変更でウインカーを出す車は皆無で、どの車もレースをしているように、少しでも隙間があると前に出ようと争っていました。それでも、最近の様子は、ウインカーを出す車も多くなり、信号は守るようになりました。

そういう体験も含めて名古屋走りを思うと、名古屋走りは人の欲望があからさまに表れている状態のように感じます。

自分勝手な運転は、車が少ない内は良いかも知れませんが、車が増えてくると、「やっぱりルールを決めて走った方が、安全で効率がいい」というところに落ち着くはずです。

いずれは姿を消すと思いますが、車の保有台数全国1位の愛知県で、しぶとく名古屋走りとして存続し続けるのは、道路事情だけでなく、もっと奥の深い原因があるのかも知れません。

この名古屋走りを私もしていた!

名古屋走りと言われる運転はまだあります。今まで見て来た名古屋走りは、「私はしていないし、これからもする気はない」と言い切れるものでした。

しかし、これから取り上げる名古屋走りは、他人事ではなくなりました。私も同じことをしていたか、その誘惑に惑わされることがあるものです。

右折の早曲がり

こちらが右折をしようとしている場面で、対向する直進車や左折車よりも先に右折してしまう行為です。

信号が青になる前からいち早く飛び出そうと待ち構えています。時には、フライング気味に走り出してしまいます。

私も大きな交差点などで、毎回ではありませんが、やっていた経験があります。誰かがやっていたのを見ていて、「ああ、こういうやり方もあるのか」と真似したのです。

急いでいる時など、今でも早曲がりをすることがあります。横断しようとする歩行者に気がつかないのが最も危険なことで、反省して、今後はこの行為は慎むようにしなければなりません。

<出典動画:『【名古屋走り】右折優先!?』YouTube>
<追記>2019/05/17
右折の早曲がりは、「伊予の早曲がり」、「茨城ダッシュ」などと呼ばれるものと同じです。左折する車に紛れて右折するのを、「松本走り」、「山梨ルール」などとも呼ばれています。自分の中にも目に見えない間違ったルールが出来ていました。この記事を書いた後、各地で子供たちが犠牲になる事故の報道が続いています。改めて猛省したいと思います。

歩行者軽視

自動車学校で、歩行者を優先するように指導されました。いつの間にか、横断しようとしている歩行者を見かけても、素通りしてしまうことが多くなりました。

後続車がなくて、横断しようとする歩行者とアイコンタクト出来た時などは、こちらも停まることもあります。

しかし、横断させることが出来た場面でも、自分の車を優先させてしまう自分がいることには変わりません。

初心に帰って、もう少し歩行者に優しいドライバーにならなければいけないと反省します。

信号無視への誘惑

名古屋走り程ではありませんが、黄色から赤に変わる時に、「速く先に行きたい」誘惑にかられて、危険な行為をすることもあります。

黄色の信号を止まれと思うより、速く行けという衝動に負けてしまうことがあるのです。

私の中の「他人より速く行きたい」という欲

愛知県民はプライドの高い性格という評判があります。推測するに、他人の車より遅く走ることは、そういうプライドを刺激するのかも知れません。

しかし、それは県民性でなく、誰もが持っている我儘な価値観のように思えます。

私も思い当たることがあります。

  • 後ろの車が車線変更して私の車より前に行った時。
  • 煽った軽自動車が追い越して行った時。
  • 右折で後ろの車から「遅い」と思われたくない。

愛知県の交通事故の死者数は減少傾向にありますが、2018年まで16年連続で全国最多の交通事故死者数の記録を更新してもいます。

死亡事故の特徴としては、

  • 交差点内で、
  • 横断中の、
  • 高齢者が、 最も多く犠牲になっています。これは、「名古屋走り」の特徴から導かれるような犠牲者に思えてなりません。

私も加害者になりたくないので、私の中に潜んでいる「名古屋走り」の欲が噴出さないように、肝に銘じて反省します。